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草見沢繁の1000字小説

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1000字前後の文字数でお話を書きます。
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外村さんのプレイリスト

帰り道で、同じクラスの外村さんを見かけた。 夏休み前の放課後、私は部活の片付けで少し帰りが遅くなっていつもと違う下校時間。赤い夕焼け空の下。外村さんは田舎道の交差点で信号が青に変わるのを待っていた。 マスクを顎まで引き下げて露わになった端正な横顔。切れ長のクールな目もと。後ろで結んだ髪は校則ギリギリの長さ。私は少し離れた位置から見つめる。 外村さんは謎めいた美人だ。いつも「危うさ」のようなものを醸している。私と同じ学年とは思えない、大人びた雰囲気。なんていうか、ミステリアス。