最近の記事

麻辣湯のすすめ

最近、麻辣湯ブームを肌で感じるようになってきました。 麻辣湯とは、四川省発祥の中華料理で 麻・・(花椒などの)舌が痺れるような辛さ 辣・・(唐辛子などの)熱をともなう辛さ 湯・・スープのこと 要するに、スパイスの効いた辛いスープのことです。 1.麻辣湯との出会い私と麻辣湯の出会いは、6年ほど前にさかのぼる。 当時、中国に留学していた私は2つの悩みを抱えていた。 1つは、ぼっち飯問題である。日本より1人で入りやすい飲食店の数が少ないので、気軽に入れるレストランを

    • ゴリラになった夏

      数年前の夏、体と心のバランスを崩していた。 なかなか寝つけず、常に頭にもやがかっているような感覚が続いた。 「このままじゃまずいぞ…」 なんとか重い腰を上げて病院に行く。比喩ではなく、本当に自分の体かと疑うほど重い。まるで、大リーグボール養成ギプスを装着された星飛雄馬のようだ。 病院では、医師からセロトニンと呼ばれる精神を安定させる働きのある脳内物質を増やす方法を教えてもらった。 とりあえず日光に当たることと、バナナを食べること。いたってシンプルである。 その日以

      • ラジオ体操の思い出

        毎年、夏になると決まって思い出すのはラジオ体操のことだ。 太陽が完全に顔を出す前、脳が半分寝たままの状態で会場へ向かう。 力強く天に向かって真っ直ぐに伸びた水稲の上で、朝の光を集めた露が輝いてるのを見つけるのが好きだった。そうやって、少しでも気を紛らわせないと夏の暑さにやられて家までUターンしてしまいそうになる。 「暑いと思うから暑いんだよ。」上級生の女の子がそう言うと、両腕を擦りながら「寒い!さっむ〜」と、ふざけて笑いあった。今では絶対にそんなことで笑えないので、小学

        • 幸福な呪い

          冗談を言うのが好きな人だった。 「魚の目玉を食べたら目が良くなるんだよ。ほら、食べてごらん。」 ふわっと味噌の香りがする湯気の向こう側で祖母が微笑んだ。魚を丸々一匹鍋で煮込んで味付けし、最後に味噌を溶かす漁師町に伝わる料理だ。片方の目玉は姉に。もう片方の目玉を私に。器用に取り分けてくれた祖母は、私達がそれを食べるのを嬉しそうに眺めていた。 それは幼少期の記憶で、祖母はもういない。魚の目を食べると視力が良くなるのかは、本当か嘘かわからないまま大人になってしまった。目の前に

        麻辣湯のすすめ

          家事と再生

          一人暮らしを始めて早4年が過ぎた。 しかし、恥ずかしながら家事に対して苦手意識が無くなったのは、つい最近のことである。 思い返せばこの4年間、のらりくらりと面倒な家事から逃げるように生活してきた。 もしラジオ体操が苦手だったとしても、学生生活を終えれば一生やらなくても良いかもしれない。 だがしかし、家事は生活を営むうえで避けて通れないため、一生かけてまとわりついてくる憂鬱さ100%のスライムのようなものだ。 私は憂鬱さ100%のスライムから逃げるべく、効率的に栄養を取

          家事と再生