「すべてのつくり手」のための本屋
ひとり出版社・烽火書房の嶋田です。
昨年の春ごろ事務所を移転して以来「本屋をオープンさせる!本屋さんをオープンさせる!」と言い続けて早10か月。
いつまで経ってもオープンにたどり着けないでいましたが、そろそろ本格的に本屋・hoka booksの開店準備をしていきます。
その様子を少しずつお届けしていって、オープンまでの雰囲気を高めていこうと思います。
本屋さんをやりたい理由
そもそもひとりで出版社をやっている僕が、本屋さんをやろうと思った理由は3つあります。
一つ目は、つくった本を語りながら販売できる場所が欲しかったから。
二つ目は、他の出版社から出ている面白い本に悔しくならずに済むから。
そして三つ目は、つくり手の背中を押したいから。
一つ目、二つ目についても前提として話したいことではあるんだけど、今回記事を書きたいと思ったのは三つ目のことを伝えたいから。正確に言えば、三つ目のことをうまく語れそうなキーワードにたどり着いたから。
受け取り手の不在?
本屋をやりたい理由を考えていると、自分自身が本を作っているからか、「面白い本のことを発信したい」「素敵なつくり手と出会える場所にしたい」「つくり手が集まる場所にしたい」「新しいアイデアが生まれる拠点にしたい」という思いがたくさん出てきました。
気がつくと、つくり手のことばかり。本を読む人、受け取り手にどんな価値を提供できるかを全く上手にイメージできませんでした。
それでも自分なりに「つくり手のことがよくわかる場所になればお客さんも喜んでくれるよね」とか考えて納得しようとしていました。けど心のどこかで「あなたらしい、一冊が見つかる本屋」みたいな、受け取り手に提供する価値をことばにできることが必要なのかなあと悩んでもいました。
つくり手とは誰か
そうこうして本格的に準備をしようと思って、事務所をともにしている友人と話をしているときに、ふと言語化できたことがありました。
それはすべての人がなにかのつくり手になりえるということ。本屋さんに来てなにかモチベーションが高まる、やってみたいことの第一歩となる書籍に出会う、つくり手と交流してヒントを得る……。僕が実現したい本屋さんでは、訪れたくれた人が各人なりの「つくり手」としてのヒントを散りばめられるんじゃないか。
別に本屋だからといって、本のつくり手に限りません。料理を頑張ってつくることだってそうだし、日記を書くことだってそうだし、趣味に精を出すこと、仕事に活かすこと。色んな「つくり手」がありえると気づきました。
もちろん本やクリエイティブのつくり手にとっても、ヒントになる要素はたっぷりにしたいと思いますけどね。印刷や紙の見本帳もたくさん置くつもりだし、自費出版の相談のも乗れるようにするつもりです。自費出版とかリトルプレスも積極的に販売したいですし。
まあそう考えると、hoka booksは「すべてのつくり手のための本屋」とでも呼ぶのがぴったりだと自分で思えたのでした。だからhoka booksでは、つくり手へのリスペクトを全面に出すし、それを訴え続けます。
別に敷居が高い本屋にするつもりはありません。気軽な本屋にしたいです。でもひとつの可能性として、頑張ろうと思っているなにかの取り組み、やらなくなってしまった趣味や活動、日常に潜んでいる小さなつくり手としての行為に気づけるような、一歩踏み出せる背中を押せる本屋になりたいと思います。