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「すべてのつくり手」のためのブックレーベル

自分で出す本って、どんなイメージがありますか。

誤解を恐れずに書くと、イメージだけで言えば自費出版というジャンルに位置付けられて、「商業出版でお金を負担してもらえないので、自分で仕方なくだした」「出版社にうまく言われて、すごい部数刷って在庫を抱えた」みたいなことを思い浮かべることがあると思います(あんまり詳しくないですけど……)。

僕は、そういうイメージって違うんじゃないかなあというレーベルを作りたいと思っています。新しい自費出版、新しいセルフパブリッシングを提案するレーベルを作りたいと思っています。

例えば、会社が自分たちのことをPRする広報誌、商店街が活性化のためにつくるフリーペーパー、会社の歴史をまとめる社史。僕自身こういった、「自分で作る本や雑誌」に多く触れてきたのですが、これって別に変なことじゃなくて自然なことでした。だから、自分で予算を立てて、本を作って売るってことも、もっと自然なことになれば良いなと、考えています。

レーベル名は、hoka booksと名付けました。noteで前回の書いた記事で、本屋さんを始めるという想いを書きました
僕が始める本屋さんは、すべてのつくり手のための本屋、hoka booksと言います。

そうなんです。本屋さんとインディペンデントなレーベルを同じ名前に位置づけて、取り組んでいこうと決めました。

自費出版=新しい挑戦の仕方

僕自身が独立してひとり出版社をやっていることもあり、僕の周りには、なにか自分なりの挑戦をしようと思っている人が面白がって集まってくれています。また、僕が挑戦している人に惹かれて仲良くさせてもらっていたりもします。

自分の事業を大きくしたい、これまでの取り組みを周知したい、新しいことにトライしてみたい。
そんな人たちと話すうち、本を作ってみたいという声を聞くうち、自費出版に可能性を感じるようになりました。

やりたいことはあるし進めているけど、もう一歩先に踏み出したい。自分なりの前進を続けたいと思ったときに、みなさんはどんな方法に出ますか。実はこの新しい一歩ってすごく難しいなと実感しています。

やりたいことはあっても、なかなか自己実現する具体的な方法がない。youtube始めるのか、なにかイベントに顔を出すのか。でもなんとなく数回で勢いもなくなり、消費されてしまう……。

そう考えてみると、本をつくるって、ものすごく実践的で難易度が高くて、新たなステップになる可能性を秘めた行為なんじゃないか。

当然リスクはあります。お金がかなりかかります。百万二百万することもあります。当然在庫を抱えることになります。そんな中で納得いく本ができるかどうかは、わかりません。

自費出版でのキモは、第三者に響く優れた事業性や面白い取り組みかどうか自分を見直すこと、そして自分の取り組みに賛同してくれるファンを作り出していくことの2つです。

面白い取り組みであれば、ファンがつきます。もちろん何もせずに買ってくれるわけではないと思います。これまで出会った人、これから出会う人にとって、本を買うという行為はかなりやりやすい応援の仕方なのです。だから応援してくれる人との出会いを重ねていくことは欠かせません。

そしておそらくですが、面白い本、手にとってもらえる本というのは、他の本と差別化された本です。類書にはない魅力を秘めているから買ってもらえます。

ということは、本をつくってそれを成功させようと思うと、自分の取り組みの独自性を自ら発信し、応援者に届けることが必要になります。クラウドファンディングも近いかもしれませんが、これって、具体化された新しい挑戦の仕方だと思いませんか。

hoka booksの挑戦

ここまで書いてきて、疑問が浮かんだ人も多いかもしれません。「それって結局、全部著者次第ってこと?」と。

なんとも回答しづらいですが、ある程度そうだと考えています。というか、「自費出版したのに、出版社のせいで〜」みたいなことをどうにかできる術を僕は持っていません。これまで自分が取り組んできた技術とか知識を使って最大限お手伝いはしますが、自分の取り組みを一生かけてでもアピールしつづける!という強い主体的な思いがなければ本は売れません。だから、全部自分次第だと思ってほしい。それに寄り添うこと、伴走することはできます。

具体的にどう伴走するかというと、本作りの知識、技術の提供、そして一緒にプロセスを進めていく進行管理はもちろんやります。このへんはまあ当たり前ですね。どんな本ができうるのかは、烽火書房の本を手にとってもらえれば、嶋田くんはこういう本を編集しているわけか〜とわかると思います。

そのうえで売っていくお手伝いもします。流通もお手伝いしますし、僕のつくる本屋さんhoka booksでも、一緒に作った本として、制作の裏側やつくり手の想いがわかるかたちでPR・販売していきます。本屋さんと自費出版レーベルを、同じ名前にしようと思ったのはこういうことが理由です。どちらも、つくり手のためになることを目指しています。

レーベルという名のコミュニティ

烽火書房、hoka booksからあがるのろしを見上げて集まってきてくれたつくり手には、どこか共通点があるんじゃないかなとも思っています。

チャレンジングな人たちだろうし、変わり者な人たちだと思います。なぜなら、わざわざひとり出版社と一緒に本作りをしたいと思ってくれたのだから(大手出版社の自費出版が高くて手が出なくて声をかけた、という場合は、もしかしたらうまくいかないかもしれません)。

そんなチャレンジングな人たち同士の、横のつながりも大事にしていきたいなあと思っています。本をつくることをお互いに相談したり、良いなと思った隣ののろしと販売やPRを一緒にやってみたり。

一緒に山を登る

烽火書房では、烽火書房としての本作り(商業出版)もやっています。「そっちじゃなくて、hoka books扱いになるのって、ようするに商業出版では無理ってことですか?」って聞かれると僕は答えにつまづきます。これは正直微妙な話です。

大きな理由となるのは、烽火書房(嶋田自身)のお金に限界があるということ。予算があって、タイミングがあえば、こちらから商業出版としてお声がけするかもしれません。でもいつでもそうではないです。出版社とはいえ小さな出版社なので、いつどんな本を作ろうかというのは結構慎重だったりします。

僕が以前作って販売中の「のろし vol.01」というリトルプレスは300冊限定で手貼りです。こんな本は、たぶん商業出版のベースにはのりませんが、僕自身のチャレンジとしてやってみた本です。

きっとチャレンジとしての書籍づくりは「これを世の中に問いたい」というメッセージだと思うのですが、それをのろしとして出したいと思ってくださる方とhoka booksをやっていきたいと思います。

一緒に山を登って、その先からのろしを焚き上げる。そんなインディペンデントなブックレーベルになればいいなと思っています。

具体的な作品についても、近いうちにご紹介していきます!