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【再掲】お通夜にした合コンを思い出す

※以前掲載していた記事が消えたので再掲します

はじめに、私はこの合コンをお通夜にさせてしまったけど反省はしていない。
 
学生から新卒にかけてわりと合コンに参加していた。
初めて行った合コンは大学の時。大学の友人経由で3:3の合コンを下北沢といういかにも大学生が集まる場所で行ったのを覚えている。
全員が同い年ということもありかなり盛り上がったし、とても楽しかった。(ただし恋愛にはならなかった)
 
合コンといえば自己紹介から入り、なんやかんやで自分たちの情報を面白おかしく出していき、最終的にわいわい盛り上がってお開きになり、みんなで駅まで歩くか、誰かしら消える。そんな流れが主流だと思っている。
 
地獄の合コン
 
あの例の合コンは社会人2,3年目に行われたものだった。
会社の友人がマッチングアプリだか婚活パーティーだかで知り合った男性と、4:4で飲もうと誘われたとのことでお呼ばれ頂いた。
女子のメンバーは会社で仲良い4人。みんな同い年20代前半だった。
相手のメンバーは当日まで知らされていなかった。確か男性側が教えてくれなかったのだと思う。
 
当日は男性幹事が予約した洒落た表参道の居酒屋だった。もう記憶が薄いが京都を意識したような居酒屋で、安定の個室。とても綺麗だったのを覚えている。
 
さて、集合場所に着く前に女子幹事のAからこんな話を聞かされた。
 
「一人はインド人なんだって。その人が一番若くて27歳くらいらしいよ」
 
一瞬で不穏な空気が流れた。
 
まず27歳が一番若いってことはそれより上の人たちが来る。もう上司じゃんそんなん。
それに一番若い人がインド人てどういう情報?別に問題ではないけれどインド人という情報を売りにだしてくる相手どんなやつら?
 
Aの話を聞いたBとCと私はみんな目を合わせて苦笑いを浮かべていた。
 
 
「どーもー、今日はありがとっ!」
席につくと、男性陣が先陣を切って挨拶をしてきた。2人しかいないけど。
元気なうるさい感じの男性は、私が中学当時通っていた塾長に似ていたから塾長と呼ぶ。
塾長は果てしなくうるさかった。なんというか騒がしいというか、大学生の新歓のようなノリだった。
もう一人は物静かな感じの男性。この人は静かすぎて印象が地蔵のようだったから地蔵と呼ぶ。
地蔵はわりと受けごたえはできているものの、自分からは話題を振ってこない系のやつだった。地蔵はたぶん人数合わせで連れてこられたのだろう。全く興味なさそうだ。
 
で、この2人しかいない。
 
「他の人たちは…」
 
控えめに伺うと、あー、と男性陣2人は目配せする。
 
「ちょっと仕事終わらないみたいでさ、後からくるんだよね」
 
この時点で女性陣は若干萎えていた。
 
 
全員そろっていざ自己紹介へ
 
30分ほど過ぎた後、ようやっと全メンバーが揃った。
幹事の男性はこのメンバーの中では一番格好良い感じの人だった。(ただし4人の中では、という意味でだ)
ただ、幹事は常にこちら側のA(幹事の子)のみと喋っていた。もうずっとAのみ見つめてAのみと会話をする。絶対Aだけに話を振る。そんな35歳だった。
いや、もう男幹事はA狙い一択じゃん。なんでこの会開こうとした?
Aと男幹事は数回飲みにいっているらしく、別に合コンなんて開かなくても良いはずだ。なぜ。
 
そして最後のメンバー、インド人。日本語が上手いインド人だった。もうそれだけ。とくに特徴がない。正直一番話しやすかった。
 
さて、塾長、地蔵、男幹事、インド人と揃ったところで自己紹介をしたのだが、まず、4人揃った男性陣がマジでうるさかった。
もうノリが大学生超えて高校生。ずっと同じ話題で盛り上がる。しかもメンバーの一人を弄りまくった話題でずっと盛り上がる。その盛り上がり方に女性陣は作り笑いという地獄。何がそんな面白いのかわからないし、このノリをする35歳前後に若干引いていた。
 
確かインド人以外は全員30越えだった。そいつら全員20前半に引かれているなんて思ってもいないだろう。
 
また、女性陣の自己紹介中も大して盛り上がらなかった。あまりにも話を膨らませるのが下手で、こちら側が気を使わなきゃいけないくらいだ。
結局話が途切れると男性陣は高校生のノリでメンバーをおちょくった。
いや、本当に全くと言って良いほど面白くない。
しかも男性陣は飲み物を飲みまくり、食べ物は女性陣に任せっきりである。とりわけもお任せ。めんどくせえ。
 
唯一インド人だけは話が面白かった。ただそれだけ。なにも進展はない。
 
1時間ほど経ち、死んだ目の自分とBはトイレへと旅立った。
 
 
これが本当の地獄の始まり
 
Bと手を洗っている最中だった。
 
「やばくね?」
「やばいよね」
 
自然に声が出ていた。いや、今回の合コンはそれほどやばかったのだ。
 
男幹事はAのみアタックしているし
塾長はクソうるさい
地蔵は数合わせで嫌々来ているし
インド人はあまりにも弄られすぎて可哀想なくらいだ。
 
「いや、本当にあのノリなんとかならんか」
「高校生じゃねえんだから」
「30過ぎの大人に見えない。無いわ」
「てかマジで男幹事はAしかみてない」
「わかる。あとなぜ数合わせみたいな奴とかインド人つれてきた」
「それな。」
 
みたいな会話を手洗い場で淡々と話した。一通り話した後、トイレのドアをBが開けた。
 
Bは一瞬動作を停止した後、静かに開けたドアを閉めた。
 
「どうした?」
 
私が聞くとBは小声で言った。
 
「いや、ドアの前に塾長と地蔵いたんだが?」
 
私たちの声は扉越しの2人に丸聞こえだった。
 
地獄本番
 
やらかした、そう思ったのも束の間、私とBは即座に小声で話し出す。
 
「なんでドア前にいるんだよ」
「いやそれよほんと。てか今の全部聞こえてたよね、このドア隙間あるし」
「聞こえてたね100%」
「まじか、このあと地獄じゃん」
 
もう半分笑っていた。相手側の悪口を言っていた人たちと誰が飲みたいのだ。
 
とりあえず私たちは席に戻った。塾長と地蔵と目があったが、二人とも愛想笑いを浮かべていた。
正直すぐにでも帰りたかった。でもAとCにはまだ私たちがやらかしたことを伝えていない。
 
と、10分ぐらいすると、塾長が幹事を連れてトイレに向かった。その後入れ替わりで地蔵がインド人を連れてトイレに向かう。
 
こいつら!!情報共有してやがる!!!
男性陣はこれで全員、私たちの会話を共有したというわけだ。
 
返ってきた男性陣たちは皆半笑いだった。こちらはこちらでとっくに半笑いだったけど。
会話をしても続かない。お互いがお互いに興味がなく、それぞれ男性陣は男性陣で、女性陣は女性陣での会話が増えた。
 
なんの話をしたかも憶えていない。早く終われとずっと思っていたのは憶えている。
男性陣は相変わらずメンバーをおちょくった会話で馬鹿笑いしているし、女性陣はそれに対して笑わなくなった。
 
そして、ようやくラストオーダーの時間となった。
 
「女性陣、甘いものでも食べなよ」
 
幹事がしゃべった。こいつ、ちゃんとした提案もできるか。
皆さんも食べますか?と伺いつつ、食べる雰囲気だったので女性陣はみんなアイスを注文した。
ところが、男性陣は全員頼まなかったのだ。
 
あれ、と思ったのも束の間、アイスが届いたので私たちは口へ運ぶ作業をする。
男性陣たちはその様子をじっと黙ってみているだけだった。
 
いや、こわ!?何の時間!?
 
その様子があまりにも異様で、友人Cは今でもこのことを話す。
 
アイスを食べ終わると、いよいよ会計の時間だ。しかし、男性陣は会計を見るなり、4人目配せした。
変な時間が流れた。5分くらいずっとえーとお会計は~とか言いながらずっと周りを確認している。
こちらは「いくら払えばいいですかー?」なんて聞きながら待機している状態。
 
「じゃあ…、4000円で!」
 
正直驚いた。まあ私たちの会話を聞いていれば払いたくもなくなるか。けれど自分は驚いた。
自分より10近いほどの年下を男性側から誘っておいて、ビールを女性陣の何倍も飲んでおいて、4000円もとるのか。
 
高い授業料だった。女性陣はその値段に関して目を合わせた。
Bと私がたぶんこの値段にしてしまったのでAとCには大変申し訳なかった。
会計時、誰も何も喋らなかった。Lineの交換の話も一切でなかった。(当たり前か)
 
 
ようやく地獄から解放
帰り道、同じ駅にも関わらずなぜか男性陣、女性陣で少し距離をとって駅へと向かった。これも普段ならあり得なさすぎて笑ってしまった。
途中、Bと別の駅へ行こうという話になり、AとCに別れを告げて反対方向の駅へと向かった。
Bと私は即座にLineでAとCに謝った。
「本当にごめんって感じだよね」
「Aは相手といい感じだったしね…」
「でもちょっとやばい奴らだったよね」
「一番まともなのはインド人だったね」
 
そんな会話を改札前でする。その時だった。
 
「お疲れっした~」
 
塾長がへらへら笑いながら目の前を通って改札に入っていった。
いや、お前あっちの駅向かったじゃないか。
 
わざわざ私たちの行動を察してきてみたのだろうか。真相はわからないがマジで怖い。
その数分後、AからLineが入っていた。
『今回の相手めちゃくちゃ微妙だったね~』
 
その言葉にBと私はどれほど救われたことか。
 
教訓
 
合コンではいくら相手がクソつまらなくても悪口を聞かれては雰囲気をぶち壊してしまう。
今回はAが開催してくれたものだったしAに悪いことをしてしまった。以後気をつけようと思った。
 
ただし、自分がうわっもうこいつ無理、と思ったら何かと理由をつけて店を出ようとこの合コンで思った。
今回のお会計の時、長い時間相手にいくら払ってもらうか考えているのに付き合わされた。
もうそんなときは2000円だして、「すみません、これくらいは出させてください~」なんて適当に言いながら金額を決めてしまおう。
 
今回私たちが悪いのを棚に上げていろいろ言うが、そもそも誘った側なのに全額払わないのも、10以上年上なのに女性陣に払わせようとするのも、トイレの前でずっと立ち聞きしていたのも、年相応の振る舞いができず高校生から止まっているノリも(とくにこれ)、すべて受け付けなかった。
同い年でゆったりまったり合コンをしたほうがずっと楽しい。

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