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服を着るならどんな風に?…ファッション業界は男のカッコよさに寄り添えてない。

ファッション産業って、元来機能やサービスを提供するというよりも、
『カッコ良さ』『外部受け』『自己アピール』を価値として提供するビジネスだ。
レディスファッションに関しては、雑誌媒体、オンライン媒体、アパレルメーカーの企画などでもこのポイントを踏まえて生活者の気を惹いてる気がするのだが、メンズファッションに関してはここが見事に失敗してる!と感じる。なにがまずいのか?ちょっと考察してみた。

まずは、男性にとってのかっこ良さ(本来)の基準をちょっと抽象化してリストアップしてみた。見た目がイケメンかどうか?というのは置いておいて、以下の要素のどれか(または複数)持つような人が、少なくとも同性からみた場合は『かっこいい男』なんじゃないだろうか?

男性のカッコ良さのエッセンス色々

①仕事ができる
②遊び方を知っていてそつがない
③包容力・器・キャパ(懐の深さ)
④守備範囲の広さ・ギャップ・スキルやパーソナリティの幅

⑤インテリジェンス・教養・機知
⑥アグレッシプ・大胆さ・ワイルドネス
⑦反骨精神・独自性・迎合しない姿勢
⑧シニカル・アイロニカル・ハードボイルド
⑨エンタメ性・サービス精神

⑩ストイックさ
⑪深さ・奥行き
⑫人間性・馴染みやすさ
⑬フェアさ・ニュートラル性
⑭背負ってる感・責任感・リーダー気質

『仕事と遊びができる』に関しては、まあ誰でも納得するだろう。
がしかし…ファッション嗜好性に絡む部分はそこは直接は関係ない

単純に言って、高いビジネスウェアブランドを着てれば仕事できるように見えるとか、高いカジュアルウェアを着ていれば遊びが上手に見える……くらいのものだ。特定ハイブランドの上顧客にはなるだろう。
ちなみに以下は逆にカッコ良すぎ…(笑)

ファッション的なスキルと連動しそうなのは上記のリストの3番目以降だと思う。で、一番ファッションを幅広く買いそうな人を想定すると、僕の観点だと④かなぁ…と感じる。

⑤~⑨はファッションにリンクする時もあるけど、必ずしもリンクしない時もあるだろう。⑩以降はメンタリティに根差すカッコよさなので、ファッションとリンクしにくいだろう。

④を極端に言うと
とにかく毎日(場合によっては朝昼晩)、自分のイメージを変えて見せたい変身願望の人
。これは女性のファッション好きとはかなり違っていて、女性は自分のイメージを集中させる方向へ向かうと思われるが、男のファッションアイテムは、デザインバリエーションが乏しいので、それだと買うネタが無くなる
なので、男性でファッション好きは以下のような多面性やギャップ志向を目指す人じゃないだろうか?


超インテリで仕事はデータサイエンティストなんだけど、週末はストリートキッズの格好をしてるとか、見た目は超アウトドア派なんだけど、実は文学マニアでぼーっと思索してるのがスキとか……外見はヤワっぽいんだけど、実は救命士やってるとか……ホントは寂しがりやなんだけど、発言は超シニカルでハードボイルドとか……。

そんな、多面性や意外性がかっこいいだろ?という感覚の人、
色々な映画の主人公になりたい…そんな人がベストターゲットだ。(トムクルーズ好き??)
このタイプは、保有ワードローブが幅広くて、様々なファッションを楽しむ余地がある。すなわち、ミニマリストとは正反対の人だ!

なんだけど、外見とメンタルを含めたカッコ良さを追求する上で、
日本人の場合、例えば欧米人と比べてちょっと制限がかかる部分がある。
それも以下、洗い出してみた。
この辺の要素は女性が服を選ぶ際に工夫してるポイントと似通っていると思う。自分の体型の弱点を補って美しく見せる…ということだ。(あくまで平均的傾向)

体型や体質のカバー要素
●カラダや顔のつくりが平面的で彫が深くない
●足が短い、背が低い
●ムキムキ(筋肉質)になりにくい
●歳を取っても、あまり貫禄が出にくい

で、ここからがポイントだけど、
日本のメンズファッション業界が、日本人男性に訴求できてない原因。
それは、
男性が考える(女性から見ても同じかも…)カッコ良い男性像と
ファッション業界が提示するお洒落男性との間の乖離
…なんじゃないか?と感じる。

より詳細にその要素を分解するならば、以下にようなことだ。

【日本のファッション業界における男性向け訴求の問題点

40代以上のファッション専業モデルは、①割と軽そうなタイプ、②ヤンキータイプ、の2タイプが多くて、その歳の一般男性の憧れを喚起しない。
そもそも
『インテリなタイプ
はその歳になるまでモデルなんか(失礼!)やってない。俳優か実業家になってしまう。教養やリーダーシップが無さそうに見えて、憧れの男性像からほど遠い

●デザインやスタイルのカッコ良さ以外の、内面に踏み込んだ『幅のある訴求
がない。

●お洒落な人のイメージが、文系やアート系訴求が強くて、スタートアップ起業家やデジタルリーダー(ロジカル派)で、かつ『見た目も良い
といったイメージアピールが弱い。⇒そんな男性が憧れそうなビジネスパーソンやアーチストや俳優はギャラが高くてモデルとして使えないwww。

●服にまつわる『歴史とか記号性の魅力
が薄れつつある。
レディスにはまだ、オードリーヘップバーン的な…とかの時代的記号性があるが、男性で『ロバートレッドフォード的な』みたいな訴求は無くなった。

●メンズ関連の雑誌媒体は、著名人やオタクのモノ自慢的な『モノ志向が強すぎて
コト発想が薄い。

●コトを極めてる・コトを楽しんでる人物像とお洒落男性がリンクしてない。前者は大抵はスポーツマンやなりふり構わぬ趣味人であり、お洒落なイメージがない。
●ファッション業界が訴求する男性のライフスタイルイメージが『ステレオタイプ
過ぎる。ライフスタイル実感が湧かない。

●ファッションのデザインや企画に、『男性が憧れる男性
の意見が反映されたものが少ない。

どう感じただろうか?
完全に同意できないかもしれないけど、多少は思うところがあったら嬉しいな。もうちょっと業界を変えていきたいと思ってるのだ。