見出し画像

解熱鎮痛剤の王:ロキソニンシリーズの解説(2)

睡眠薬と睡眠改善薬の違い

薬の世界は奥が深い。
薬の名前だけを知っていても意味はなく、その薬が体のどの部分にどんな効果をもたらして、どんな副作用をもたらすのか。
それだけではありません。

薬の効果と副作用を理解するためには「体の仕組み」を理解しなければなりません。
鎮痛剤でいえば胃腸などの消化管と腎臓です。
それだけではありません(二度目)。

鎮痛剤は肝臓や血管にも影響を及ぼすので、それも理解しなければなりません。
だから毎日、時間を見つけて作って勉強しています。
勉強は覚える理解するだけでなく、新たな発見もあったりします。
つい先日のことです、こんな記事を見つけました。

睡眠薬と睡眠改善薬は全然違う

何が違うんだ、と興味を引かれずにはいられなかった。
というのも、私の記事では何度も目にするこの単語。

アセチル尿素(別名くせになる睡眠薬)
ちなみに今日も出てきます

睡眠薬と睡眠改善薬の違いを簡単に言えば、

・睡眠薬は医者が「不眠症」等の診断をして処方する医療用医薬品
・睡眠改善薬はドラッグストアで買える、処方箋のいらない市販薬

睡眠改善薬の成分表を見てみると、登録販売者試験ではおなじみの「ジフェンヒドラミン」でした。
ジフェンヒドラミンはくしゃみや鼻水など主にアレルギー症状を緩和する「抗ヒスタミン」成分です。
我々受験者は抗ヒスタミン成分の眠気は「副作用」として、薬を服用したあとは車の運転はできないと学んできました。睡眠改善薬が主成分であると学んだ人は少ないはずです(それだとたぶん1点落とします)。

つまり、ジフェンヒドラミンでさえ正式には睡眠改善薬止まりで、睡眠薬ではない

ということは、アセチル尿素も「睡眠薬」だと安易に言ってはいけないのではないかと、そう思ったのです。

睡眠薬と名乗れるのは「医療用医薬品」だけ。
私が本日、アセチル尿素の別名を何と命名するのか考えながら読み進んでいただけると、小難しい医薬品解説もおもしろくなるかもしれません。

ロキソニンがバージョンアップしたが


●ロキソニンSプラス 12錠768円(参考価格)
以下成分1錠中
・ロキソプロフェンナトリウム水和物60mg
(以下ロキソプロフェン)
作用は炎症や痛みのもとをおさえます
・酸化マグネシウム33.3mg
作用は胃酸を中和するはたらきがあります

・用法用量、その他
1回1錠、1日3回まで
症状があらわれたとき及び空腹時をさけて、服用間隔は4時間以上おいてください
1、2回服用しても症状がよくならないときは服用を中止して、医師や薬剤師にご相談ください
長期連用しないでください
※3~5日間服用しても症状が繰り返される場合は服用を中止して、医師の診療を受けてください

●ロキソニンSプレミアム 12錠768円(参考価格)
以下成分2錠中
・ロキソプロフェン60mg
作用は同上
・アリルイソプロピルアセチル尿素60mg
(以下アセチル尿素)
作用は痛みをおさえる効果を高めます
・無水カフェイン50mg
作用は痛みをおさえるはたらきを助けます
・メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100mg
(以下MAマグネシウム)
作用は胃粘膜を保護するはたらきがあります

・用法用量、その他
1回2錠、1日3回まで
他同上

そして大事なロキソニンSシリーズを使ってはいけない人たち

・ロキソニンSシリーズによりアレルギー、ぜん息を起こしたことがある人
・15歳未満の小児
・出産予定日12週以内の妊婦
・医療機関で次の治療を受けている人
心臓病、肝臓病、腎臓病
胃・十二指腸潰瘍、血液の病気
その他注意事項は各自でご確認ください

微妙に違う言い回しが気になるところだが

本シリーズから胃を保護する成分が追加されました。
そればかりかプレミアムでは毎度おなじみ「鎮痛補助成分」を加えてなお錠剤の大きさが小粒になりました。
イブクイックDXはロキソニンのこの姿勢を見習って欲しいところです。

参考
イブクイックDX:直径9.7mm
ロキソニンプレミアム:直径8mm

しかし、外箱に表記されている胃を保護する成分の説明が微妙に違うところが気になりました。

・ロキソニンプラス:胃にやさしい成分
・ロキソニンプレミアム:胃を守る成分

成分の違いでしょうか?それとも量でしょうか?
各ブランドの胃を守る成分を以下に示します。

・イブシリーズ:酸化マグネシウム100mg
・バファリンシリーズ:アルミニウムゲル70mg
・ロキソニンプレミアム:MAマグネシウム100mg
・ロキソニンプラス:酸化マグネシウム33mg?

ひとつだけ「?」な商品があります。
酸化マグネシウムの量を多くすると錠剤が大きくなってしまうのでこの量にしたのでしょうか。
参考までに医療用酸化マグネシウムの胃を保護する成分の用量は1日で500から1000mgです。
それを1日用量約100mg(3回服用時)は本当に必要でしょうか。

ロキソニンはそもそも胃への負担が少ない構造になっています。
もちろん胃にやさしい成分が入っているから「きっと大丈夫だ!」と思って服用すればプラセボ効果が働きます。
そして「ロキソプロフェン」を開発した優秀な製薬会社がわざわざ入れてくれたのだから何らかの意味はあるのかもしれません。

ロキソニンをドラッグストアで買うときは、薬剤師経由になります。
どうせならここぞとばかりに薬剤師にいろいろ聞いてみてください。
その過程や質問内容を考えるだけでもアセチル尿素(別名依存と眠気成分(仮))が必要ないくらいに痛みが緩和されるかもしれませんよ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?