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司法書士筆記合格~新人研修~就職活動(東京)

研修詳細はご自身で確認を

はじめに、私が受講したのは令和5年12月~令和6年1月に実施された新人研修です。どうやら新人研修は都道府県によってその量や日程にかなりバラつきがあるようです。
また、コロナ渦以降、毎年のように内容や日程の変更があり、来年以降も同じ日程になるとは限りません。
ただ、合格発表時点でも働いていた私としては、10月下旬に詳細が発表されるまで(されてからも)いったいどのくらいの時間の確保が必要か、予定を立てるために去年の情報を探してネットをさまよいましたので、来年の合格者のためにも、自分の受講記録としても残しておこうと思います。

研修開始まで

合格発表後に現職退職

筆記試験合格発表(令和5年10月10日)の数日後、成績通知で合格を書面で確認してすぐに、現在の職場に退職意思を伝えました。新人研修は育児や仕事との両立は難しいと考えており、研修前に退職したかったからです。(1日でも早く辞めたかったというのもありました・・)
相談の上、12月末まで在籍、12月中は有休消化をさせてもらうことに。結果的に保育園の都合を考えるととてもありがたかったです。

新人研修の詳細の発表時期

中央&関東ブロックの新人研修
 詳細の発表→10月上旬(筆記試験合格発表の前後)日司連HPにて
 申込期間→11月上旬(最終合格発表前)~11月中旬(最終合格発表後)
※申込期間2週間しかない!
※11月30日までに合格証書などをアップロード
※都道府県によって合格証書の交付方法は異なりますが、東京の場合、原則郵送での交付申請&交付なので、合格発表から合格証書を受け取るまでに1週間程度かかります。先に申込み、後日合格証書のアップロードするのがいいと思います。

東京司法書士会の新人研修
 詳細の発表→10月下旬(口述試験の日)に東京司法書士会HPにて
 申込期間→11月上旬(最終合格発表日)~11月中旬
※申込期間11日間しかない!!
※裁判所や法務局の見学は受付開始直後に定員締切になるので、参加希望する場合は申込開始時間後すぐに申し込む必要あり。

筆記試験合格発表(10月10日)から11月末まではバタバタ

筆記合格発表までは、まだまだ本試験まで時間がある時期の受験生(のんびり休憩モード)だったのが一転、人生でも大事なターニングポイントに立たされた合格者。心は落ち着かないし、やること多いし、すすむ道は不安だらけ、、、この期間にやったことをざっと書き出してみます。()は優先度
【司法書士関連】
・口述試験対策(低)
・口述試験のための有休取得、スーツの準備、予定の調整(高)
 →口述試験が午前で朝早く、娘の保育園へ送迎できないことが発覚。
  自分だけではなく、家族の仕事の調整も必要に。
・ネットで新人研修申込(高)
・研修申込のための必要書類など準備(高)
 →住民票、ゆうちょATMからの現金振込、免許証コピーなど
  朝4:00~6:30しか自由時間がない私には結構大変だった・・
・合格証書の交付申請と受取(高)
・合格者掲載の官報の入手(低)
・答案の開示請求(低)
・名刺の作成(中)
【その他】
・ノートPCの買い替え(中)
・上長との退職面談(中)
・現職の業務の棚卸しと引継ぎ(高)
 →在宅メインだったのが、出社メインになり時間が足りなくなった
・娘の保育園の転職の手続き(高)
→転職期間は3ヶ月以内。12月末まで在籍したので、4/1勤務開始がギリギリと確認しました(自治体によって違うかも)
・スケジュール調整(高)
・お世話になった人への合格報告、退職挨拶など(高)

この時期、頭はまだまだ合格の喜びでフワフワしてるけど、絶対に落としてはいけないタスクがたくさんあるし、申込期間が短かったりして、ぼーっとしているとすぐに置いて行かれそうな感覚がありました。
合格したらPCやプリンターを買おうと思っている人は、筆記合格発表前に機種まで決めておくといいです。あと、住民票が必要なことがちょこちょこあるのでマイナンバーカード便利です。

新人研修開始

新人研修受講のコツ

web動画の視聴にはPCが必要です(スマホでも見れますが、視聴記録が残らず受講完了にならない)中央研修の小テスト以外は動画を再生すれば(実際は見ていなくても)受講完了にはなります。また、一度受講して再視聴の場合は倍速ができたり、途中からの再生ができたりします。初回は聞き逃したところを少し戻ろうとしても動画の最初から等倍で見なければならず、ちょっとイライラしますので、一度最後まで聞いてから再受講するのがいいと思います。

テキストはPDFで配布されます。それを印刷するか悩みましたが、同期の中でも印刷している人とそうでない人半々くらいでした。私は受講中はPDFで閲覧し、PDFにコメントで講師の言葉などのメモを残し、すべて受講後にコメント込みで印刷しました、がその方法は少数派だと思います・・。

12月~1月の2か月間、毎日2~3時間程度確保できれば動画の視聴は完了できます。休日や年末年始に時間が取れる方であれば、働きながらでも受講は可能と思います。
ただ、試験勉強と同じように、動画を見ることと、内容を理解することと、内容を実践できることの間にはかなり差があります。視聴できる期間は限られているので、研修を自分のものにしようと思って、繰り返しの視聴や一時停止してメモを取りながら視聴していたら、いくら時間があっても足りませんでした・・。
私は前述したように研修期間中は仕事をしていませんでしたが、土日や年末年始は家族のために時間を使ったので、平日は受験生時代と同じように朝4時に起きて受講していました。また、すでに司法書士事務所に就職している同期もいましたが時短勤務などで研修時間を確保してもらっているようでした。

研修の内容はざっくり言うと司法書士業務のすべてです。試験では重要視されていない、渉外登記(海外在住者や外国法人などの手続き)や信託、後見、遺産承継業務(預金など不動産以外の手続き)も実務レベルで教えてくれるので、初めて知ることも多かったです。
不動産登記や商業登記でも、どの書類をどの役所からどんな申請書でもらえるのかなどを教えてもらえます。
試験だけではぼんやりとしていた実務のイメージがくっきりしました。

東京司法書士会の研修からスタート

東京会の研修は12/4~1/31の中で計36時間の動画を視聴するというもの。期間内なら自分の都合の良い時間に視聴可能。後述する関東ブロックや中央の研修期間を除くと18日間なので、1日2時間以上で間に合う計算です。

また、東京司法書士会では希望者は開閉会式、裁判所法務局の見学、Zoomでの講師との交流会があります。
開会式:各団体からの挨拶、同期との交流時間(名刺交換会)
 →各団体からの挨拶は後日、講義動画(任意視聴)としてアップロードされるので、出席していなければ見た方がいいです。後見やりたいならリーガルサポート、業務の保険に入りたいなら協同組合など、それぞれの団体がどういう役割なのか理解できました。
裁判所、法務局の見学:かなり有用なので都合があえば参加した方がいいが、定員が非常に少ないので、申込期間の開始直後に申し込む必要あり。私の時は16時申込開始で夜には締め切っていたそうです・・。研修時間が午後なので、午前中から集まってランチを企画してくれた同期がいて、それもつながる場になりました。
Zoomでの交流会:これも都合があえば参加するといいと思います。不動産、商業、後見でひとつずつくらいは質問用意していった方がいいです。
先輩司法書士と話せる貴重な場です。
閉会式:式そのものより、そのあとの懇親会(立食パーティー)がかなりよかったです。講師もいるし、他の先輩司法書士、もちろん同期もいて、おいしいごはんとお酒も出る。すでに働いている同期の話、即独準備中の同期の話、研修講師の研修では言えないぶっちゃけ話、先輩司法書士さんの勤務から開業の話などなど、どんな話でも何かしら得られるものがあります。

12月後半は関東ブロック研修

関東ブロックの研修は動画の視聴と、参加必須の集合研修(2日間)があります。動画は東京会と同じように期間内いつでも視聴可能。12/18~1/14の28日間で約35時間ですが、後の中央研修の方が量も多く期間も短いので、中央研修が始まる前には視聴完了するペースがいいと思います。

唯一の参加必須の集合研修は、昨年は1日だったのが今年は2日間になりました。来年はどうなるかわかりません。
新橋の貸会議室で、自己紹介から始まり、同期とのディスカッションや不動産売買の決済シミュレーション、講師(先輩司法書士)の体験談を聞く時間がありました。
予習用の動画が上記の動画視聴の中に含まれていますので、なるべく直近で見て内容を覚えている状態で行くのがいいと思います。
夜は有志で懇親会を企画し、大いに盛り上がりました。

1月に入ると中央研修

中央研修は1/5~22の18日間で約36.7時間の動画視聴プラス小テストがあります。期間中いつでも、自分の都合で受講できます。東京会や関東ブロックの研修に比べて期間が短く、ボリュームも多いです。関東ブロックは年末年始を挟みますが、中央研修はそれもないので、ギリギリまで苦労している人もいました。
小テストの内容は全員同じなので、どうしても解けなければ同期に協力をお願いするという方法もあります。

新人研修を終えたら就職活動

本試験の翌日から就職活動をする人もいれば、翌年の簡裁代理の特別研修まで働かない人もいて、就職時期はバラバラです。東京ならいつでも求人はそれなりにあります。
合格したものの、司法書士の実務のイメージが持てなかった私は、新人研修で実務の話を聞いてから就職活動をすることにしました。

就職活動は主にエージェントを使う方法と使わない方法があります。
私はエージェントをまったく使わなかったのであまりエージェントについて詳しくはわかりませんが、同期では合同説明会に参加した人やそこから面接、就職した人も数多くいます。
以下は私の個人的な意見です。

エージェントを使う方法

大手に就職したい人、転職活動はじめての人はとりあえずエージェントの合同説明会に参加したり、登録してみるのはお勧めできます。
大手は同期入社や1~2年先輩も多く、相談しやすい友だちができる可能性は高いです。案件が多く、まずは簡単なものから順番に習得できたり、司法書士としてのデビューも早い印象です。また、給与や福利厚生などの条件面も明確ですし、気になることはエージェントを通して事前に匿名で確認することができます。
分業制だといろいろなことを教えてもらえない。という側面もありますが、そもそも長期で働くつもりがない(数年で独立を考えている)のであれば、新しいことを学べなくなった時点で辞めて違う業務をしている事務所に移るという考えもあります。
エージェント利用する際に気を付けてほしいのは、自分が就職することで事務所からエージェントに対し成功報酬が発生するということを常に頭においておくことです。その報酬が高価なので、小さい事務所はエージェントを利用できないのです。

エージェントを使わない方法

エージェントを通さず、求人広告を見て自分でメールなどで連絡を取る方法です。東京司法書士会ならホームページに求人が載っています。地方だとそもそもエージェントもなければ司法書士会の求人情報もなく、配属研修などで就職活動中であることを伝えると、ツテで探してもらえる。みたいなところもあります。
その他、司法書士JOBサーチやハローワークなどにも求人があります。
無料もしくは安価で求人広告の掲載ができるので、比較的小さな事務所も掲載されています。
給与や勤務時間など基本的なことしか書いておらず、事務所の雰囲気や業務内容、残業の程度などは面接かメールなどで聞くしかない。ということもあるので、面接の場でしっかり質問することが必要になります。そもそも、面接で応募者の質問に対応しないような事務所は、こっちからお断りなので、その点はあまり心配しなくても大丈夫です。

またどこかで会うかもしれない

もし大手か個人事務所か、不動産か商業か迷ったら全部受ければいいと思います。なるべく短期間に複数の事務所を受けて、全部受け終わってから、自分の中で順位決めをするのが理想かなと思います。司法書士業界は1年未満で退職する人も多いので、期間限定と割り切って条件を広げて検討してもいいと思います。
でも、司法書士業界は狭いです。東京でも同じエリアで働けば支部の活動などで顔を合わせるかもしれませんし、事務所を移るときにまた面接を受けるかもしれません。他で決まったからといって、面接を無断欠席したり、採用の連絡に対し入社の合意をしたのに、それを破ったりするようなことはしてはいけません。

私はもともと女性のボスの下で働きたかったので、それまでに出会った先輩司法書士に聞いたり、求人を探しましたが1月中旬になっても見つからず、自分の中で1月末までに就職を決めたかったので女性ボスの事務所という条件はあきらめました。
結果的に、私は1月最終週の1週間に面接を複数詰め込んで、その中から就職先が決まりました。

最後に

同期とのつながりを大切に

合格発表後から同期のX(Twitter)をたくさんフォローし、LINEグループに入ることで情報収集できます。名刺の作り方、官報の取得方法、研修の詳細が発表されたら誰かしらがXでポストするし、研修中にこれってどうなの?と思ったらLINEグループで質問したりできます。実際、アンケートまで答えないと受講完了にならないなど重要な情報や参加自由ですが、各団体が実施する新人司法書士向けの研修の案内などの情報ももらえました。
集合研修が少なく、LINEやXでつながっていないと情報が来ないという状況もあるので、自分は発信しない人でもLINEとXのアカウントは作った方がいいと思います。
ネットを通して知り合った同期に集合研修で挨拶に行って、名刺交換したりするところから、同期の仲間の輪が広がっていきます。

先輩とのつながりも大切に

合格発表後から青年司法書士会などで新人司法書士(今年度合格者)に向けた講習会や先輩との座談会が実施されます。先輩の話を聞ける場は貴重なので、都合が合えば懇親会まで参加するといいと思います。特に私は司法書士としてどの分野で仕事がしたいかすら決められなかったので、先輩の話をたくさん聞いてどの分野はどういう客層で、どういう実務で、どういう司法書士が向いているとか大手と個人事務所の違い、実際どのくらいで独立したか。などなどためになる話をたくさん聞くことができました。

計画的に積極的に

自分の将来に役に立つのかわからない(役に立つと信じるしかない)受験勉強と違い、合格後の研修も出会いも、自分の未来につながっていることが実感できることばかりです。毎日が輝いて、合格しなければ出会えなかった人たちとの出会い、今日の学びや経験を忘れたくないと思う日々です。新人研修は青春のようだと受験生時代に聞いたことがありますが、こういうことかとわかりました。
受験勉強と違い「こういう場合はどうすればいいですか?」と聞いても怒られません(むしろ褒められます)が、明確な答えがなかったり、人によって違ったりします。ありとあらゆる場合を想定し、準備できる人が実務では強いと言われます。受験生時代に感じていたもやもや(気になるけど試験範囲外だから見ないようにしていたこと)が晴れていく感覚もあり、どんどん学びが広がっていきます。
ぜひ、研修やその他の機会を最大限に楽しみ、将来に活かすためにも計画的に、積極的に吸収してほしいと思います。

さて、3月から私も事務所勤務です。
次は新人司法書士の勤務についていつか書きたいと思います。

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