【小説】アキバ・メイド・メモリーズ
カラフルでさわがしい世界で突然ひとりになってしまった。ママの手をしっかり握っていたはずが、気がつけばママとは全然違う髪が黒い知らない女の人の手を掴んでいた。びっくりした顔の女の人の手を振り払って、走る、走る、走る。知らない言葉ばかりが聞こえてくる世界で、僕はどうなっちゃうんだろう。一生ママにもう会えないのかな。鼻の奥がじんとして、涙がポロポロ落ちる。ふいに、お兄さんが僕を覗き込んでることに気づく。たいていの大人は、ぼくを「かわいくて仕方がない」って顔で見てくるのに、この人は