しおり

早稲田3年 考えたことの記録・日記につかいます。 Twitter: @shiori_…

しおり

早稲田3年 考えたことの記録・日記につかいます。 Twitter: @shiori___34

最近の記事

  • 固定された記事

【小説】アキバ・メイド・メモリーズ

 カラフルでさわがしい世界で突然ひとりになってしまった。ママの手をしっかり握っていたはずが、気がつけばママとは全然違う髪が黒い知らない女の人の手を掴んでいた。びっくりした顔の女の人の手を振り払って、走る、走る、走る。知らない言葉ばかりが聞こえてくる世界で、僕はどうなっちゃうんだろう。一生ママにもう会えないのかな。鼻の奥がじんとして、涙がポロポロ落ちる。ふいに、お兄さんが僕を覗き込んでることに気づく。たいていの大人は、ぼくを「かわいくて仕方がない」って顔で見てくるのに、この人は

    • 対面面接を寝ブッチ | どうしようもない女子大生の就活日記 1

       スマホのバイブ音で目が覚めたら、03から始まる番号がスマホに表示されていた。 「どっかの企業かな〜」と思いつつ電話に出る。    アレ?13時20分?今日面接なかったっけ?てことはこれその企業からじゃん。と寝起きの頭でうっすら思いながら「〇〇会社の〇〇です」を聞く。ビンゴ。 うわ、え??え?? 私はいつも、私の予想を軽々と超える失敗をする。 眠気など一瞬で飛び、泣きそうになりながらなんとか電話を終えたが、どこか冷静な自分もいる。 「自分の予想を軽々と超える失敗をする」と書

      • 小説 中学受験狂想曲

         糸井くんの指先が、器用にペンを回す。そのリズムが乱れたとき、彼の白い指先に赤いものが滲んだ。ペンじゃない、と気づいたタイミングで、優里は停滞した教室の空気に引き戻される。まずい、先生の話を聞いていなかった。せめて、と思いホワイトボードを見ると、無慈悲にも板書は消されていた。もうだいぶ先の問題の解説をしている。  もう一度糸井くんを眺めると、彼は先程と同じ行為を繰り返していた。カッターが、まるでなんの害も及ぼさない棒のように、彼の手の周りでくるくると回っている。その、均等なリ

        • 5/25日記 学問のかみさま

          5月25日(木)  アルバイトで散歩をした。本当にありがたいことに、アルバイトの時間のうち2時間弱は公式インスタ用の写真を撮るために周辺を散歩する時間になっている。拠点が御茶ノ水駅近くなので、神保町に行ったり神田明神に行ったり湯島聖堂に行ったり、ひたすら神田川と橋の写真を撮ったり、と楽しく過ごさせていただいている。  今回はめずらしく「湯島天神の例大祭」と指定を受けたので、少し遠くまで足をのばした。「すずめの戸締り」の聖地巡礼をしている人々を横目に聖橋を渡って、湯島聖堂の前を

        • 固定された記事

        【小説】アキバ・メイド・メモリーズ

          5/23日記 "ジェンダーみたいな話"がしにくい

          5月23日(火)  学校帰りの高校同期と新宿で待ち合わせる。「ホストどうすか~」「お姉さんたちいまからどこいくの?」という声をガン無視しないで、毎回ニコニコと対応しかける彼女が心配だ。夕飯を食べはじめてしばらくすると、友人が酔っぱらいはじめた。高校同期は中高時代の思い出や雰囲気と結びつけられているので、その友人がお酒を飲んで酔っ払うという状況がなんだかおもしろい。弱いらしく、グラス半分ほどしか飲んでいないのにうとうととしはじめてしまった。  お会計まえ、友人が「小銭しかない」

          5/23日記 "ジェンダーみたいな話"がしにくい

          5/22日記 「言葉」の面倒さ

          5月22日(日)  9時に1度起きたのに、気づけば11時になっていた。起きて準備をしなければと思いつつ、アラームを鳴らしては止めを繰り返す。家を出る20分前になってようやく動き始めたので、メイクと髪のセット時間を大幅にショートカットした。    原宿駅で待ち合わせる。いつぶりだろうか。高校生の頃はよく放課後に遊びに来ていたが、大学に入ってからは数えるほどしか来ていない。大学入学後は「竹下通りに行ってみよう!」みたいな観光ノリで来た記憶ばかりだ。高校生の頃はというと、今どきらし

          5/22日記 「言葉」の面倒さ

          5/21日記 「伝統」のバランス

          5月21日(日)  いつもより着付けに時間をかけた。今日は和裁士の子と着物で美術館に行く約束がある。私はほとんど独学で覚えたので、プロから見るとかなりアバウトな着付け方をしていると思う。出来るだけ綺麗に着つければと思って緊張した。  そういえば、着物業界は若い人や素人に寛容だ。洋服の中に取り入れたり、観光地のレンタル着物のようにアレンジを加えたりすることを嫌がらないし、大抵の着物屋さんは「着てくれれば本当になんでもいいのよ!」というスタンスでいる。  「伝統」「昔ながら」と表

          5/21日記 「伝統」のバランス