自分史的なクリッピング史料

急に温かさが増した週末になりそう。近所の桜は開花し始めていて、花びらのピンクは春を感じさせる。ちょっと前は、温かいランチと言えば、ついついうどんやラーメンを食していた。でもこれらは普遍的な食べ物。当然若い頃よりはその頻度や量は減ったけど、学生時代は二郎ラーメンに通いつめたことは今では遠い思い出となった(比較的近く二郎はあるけど、滅多に行かない)。

2023年5月19日 朝日 耕論(ラーメン2000円は高価かといったテーマ) 

3人のコメントが毎回掲載されているこの耕論という欄もよく読んでいる。
順に最初のコメントから。

飯田将太さん 「らぁ麺 飯田商店」店主
ラーメンに2千円払うべきかどうかは人それぞれ。関心の高さは歓迎している様子。(当時)飯田商店でも2022年5月にラーメンを300円値上げ(1600円に)。飯田さんの考えは、未来のラーメンを考えて自分なりに出した答えとのこと。ラーメンに対する価値観を変えていきたいと。そこには価値相応の仕事があるという自負があって、例えば毎日の天候に合わせて、小麦粉のブレンドを変えたり、加水率を変えたりいているとのこと。その他にも当然価値観を担保する調理方法があるという自信が述べられている。

店を開いた13年前(掲載当時から13年前)、ラーメンは650円で提供されていて、極めるものだとは思っていなかったと。シンプルだけど奥が深い。
これは食べているこちら側でもラーメン愛からか、その深さはなんとなく理解できる。飯田さんの主張では、薄利多売の業のままでは、いつまで経っても次世代が育たないし、店の出で立ちからも改革が必要だとおっしゃっています。同じ麺料理でもそばは懐石まであるじゃないかと。そばと同様に日本の文化まで昇華させることができればと。

田中 一明さん ラーメン愛好家
ラーメンは今や創作料理の域までに達した、B級グルメではないと冒頭で。
その証左が「ミシュランガイド東京 2016」でラーメン店に一つ星がつけられたことだと。田中さんは更に、1996年に首都圏に開店した3つの店が従前の概念を一新したというコメントをしている。魚介系スープと動物系スープを合わせたWスープという手法を編み出した店、サンマ節からスープを取った店、底が透けるほど透明でコクのあるスープを開発した店。この3店以降、ラーメンの多様化が始まったとその歴史を振り返っていらっしゃる。今ではこだわりの創作ラーメンがブーム。そしてSNSで安易に且つスピーディーに情報摂取ができることもプラス要因。

新規開店する店主は一流店で修行を重ね、その情報すら消費者に届けられ味を担保する機能が付与されることに。首都圏のトレンドは「スープから麺へ」だそうだ。スープは限界まで極め尽くされているという所感。麺への関心が高い店ほど麺は手打ちだそうで、ネオノスタルジーと呼ばれるブームも。こうした背景は置いといて、価格の多寡で判断するかどうかは人それぞれでいいと。自分はそこまでラーメン道を極めていない。結局行く店はほとんど何店かに固定されている。

最後は森本聡子さん。 ラーメンイベントプロデューサー。
高校生の時のアルバイトをきっかけに、今では年に600杯食べる猛者だ。
ブームの継続は、家庭料理では出せない特別な味を出しているからというのが理由ではないかと。スープも麺もバリエーション豊かで、食べ尽くせないほどの種類が世に存在する。ラーメン店では、ニンニク、辛子など、食べている最中にも自分好みの味に変化を加えることができると指摘。更に地域特性も反映されたりしてそれも魅力。これほどのバリエーションは他の麺類にはない。SNSの発展により、女性も入りやすい店の雰囲気であったり、画像から見える美味しさ、量なども事前に情報取得できる。でもここまで消費者に支持されるのは比較的廉価であるということも見逃せないと。子供にも手が届く食体験を提供できることはファン層を維持できる理由とコメント。森本さんも価格については、高い者から安いものまでレンジ幅があっていいとおっしゃっている。但し、そうした名店たちを次世代につなぐ意味では人件費だけは相応の確保をした上でで運営して欲しいと願っていらっしゃいます。

昨今のインバウンドの外国人インタビューを観ると、ラーメン人気は沸騰気味で、日本の文化食として許容されていると痛感。整理すれば、ラーメン文化を更に昇華できるのか、それによって価格レンジのバリエーションは広がっても良いのでは? 更に価値観を決めるのは最後は消費者だということ。先ごろ、スーパーで見つけた "ホープ軒のラーメン" を手に取り、家で早速調理。スープは確かに "懐かしい" と思いながら。これからもラーメンを文化として育てるメインは日本人。どんな価値観を付与できるだろうか。

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