花と植物コレクション(2) 紫陽花(アジサイ)
アジサイ
アジサイは、アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種。広義には「アジサイ」の名はアジサイ属植物の一部の総称でもあります。狭義には品種の一つ H. macrophylla f. macrophylla の和名であり、他との区別のためこれが、ホンアジサイと呼ばれることがあります。原種は日本に自生するガクアジサイ。
名前
分類
真正双子葉類(しんせいそうしようるい)→ キク類→ミズキ目→アジサイ科→アジサイ属→アジサイ
概要
狭義のアジサイ(ホンアジサイ)は、日本で原種ガクアジサイから改良した園芸品種で、ガクアジサイに近い落葉低木です。落葉広葉樹の低木で、樹高は1 – 2メートル。葉は対生し、葉身は厚く光沢があり、淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。夏を過ぎると、黄白色や黄色に黄葉します。
開花
6月から7月。
花序は大型で、若い枝の先端に紫(赤紫から青紫)の花を咲かせます。白、青、紫または赤色の萼(がく)が大きく発達した装飾花をもつ。一般に花といわれている部分は装飾花で、大部分が中性花からなり、4枚の萼片が大きく変化したもので、花弁状で目立ちます。
ガクアジサイでは、これが花序の周辺部を縁取るように並び、園芸では「額咲き」と呼ばれています。ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれます。
花の色
花(萼)の色は、アントシアニンという色素によるもので、アジサイにはその一種のデルフィニジンが含まれています。これに補助色素(助色素)とアルミニウムのイオンが加わると、青色の花となりmす。。従来は、理論の域に留まっていたが、最近、実際にアジサイの花で直接確認されたようです(※1)。
アジサイは、土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、一般に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われています。これは、アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに、pHが影響するため。すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色になります。逆に、土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さずアジサイに吸収されないため、花は赤色になります。したがって、花を青色にしたい場合は、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えればよい。同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの量に差があるため。花色は花(萼)1グラムあたりに含まれるアルミニウムの量がおよそ40マイクログラム以上の場合に青色になると見積もられています。
果期
7 - 12月。ほとんど結実しない。
栽培
栽培は、梅雨期に主に挿し木によって繁殖させています。日本、ヨーロッパ、アメリカなどで観賞用に広く栽培され、多くの品種が作り出されています。原産地は、日本で、ヨーロッパで品種改良されたものは、セイヨウアジサイ。
原産地
日本
分布
日本、ヨーロッパ、アメリカ
人間との関係
漢方で用いないが、民間では薬用植物として利用できるみたい。
変種の甘茶(あまちゃ)は、稀に山地に自生しますが、多くは寺院などで栽培されています。甘茶(あまちゃ)は、アジサイ科の落葉低木のアジサイの変種の若葉を、蒸して揉み、乾燥させた物、および、それを煎じて作った飲料です。
和歌
言問はぬ木すら味狭藍諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけ
(大伴家持 巻4 773)
紫陽花の八重咲く如やつ代にをいませわが背子見つつ思はむ(しのはむ)
(橘諸兄 巻20 4448)
あぢさゐの花のよひらにもる月を影もさながら折る身ともがな
(源俊頼『散木奇歌集』)
夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり
(藤原俊成『千五百番歌合』)
あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る(藤原定家)
絵画・日本画
参照
※1:
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