各国の国債の利回りと変動する理由
国債の利回りって変動するの?
答え:します。
2022年8月26日現在の日本を含めた各国の年利回り。年利回りは、日本の国債がもっとも低く、ハンガリーの10年国債は8.61%ともっとも高い。
問:国債は、なぜ利回りが変動するのか?
2022年4月、日銀は大規模な金融緩和策の一環として、長期金利 =「10年もの国債の利回り」を0%程度にするとしていて、具体的にはその変動幅を「±0.25%程度」にするとしています。国債を取り引きする債券市場で、4月19日に日本国債が売られて値下がりし、長期金利が0.25%まで上昇しました。日銀は通常は、利回りを示さずに買い取り量を示す形で国債の買い入れ措置を行っていますが、「指値オペ」は利回りを指定する点が違います。そして、その利回りであれば買い取り量に上限を設けず買い入れるというもので、金利の上昇を強力に抑え込む効果があります。日銀としては、長期金利が変動幅の上限に達したため、これ以上の金利上昇を抑え、今の金融緩和を継続する姿勢を重ねて示した形です。
しかしなぜ、国債が値下がりすると金利が上がり、国債が買われると金利が下がるのでしょうか?
「国債が買われて値上がりすると、金利が下がる」、逆に「国債が売られて値下がりすると、金利が上がる」、国債と金利はそうした関係にあります。
国債は、満期になると元本が返済されるほか、発行時に決められた利率で一定期間ごとに利子が支払われます。また、発行された後は、債券市場で国債を売買することができ、需要と供給に応じて価格が変動します。この価格変動によって、国債の利回りが変動します。
満期までの期間が1年、額面100円の国債で1000円分、利率が1%のケースを想定します。発行と同時に1000円で購入し、満期まで持ち続ければ、額面の1000円+利子10円=1,010円を得られます。この国債の購入額に対する利回りは「1%」となります。
この国債が債券市場で買われて値上がりし、1005円で購入した場合は、満期まで持ち続けると、償還の際、額面との差額にあたる5円の損が出ますが、利子が10円つくため、差し引き5円の利益となります。購入額に対する利回りは「約0.5%」になります。
このようにして、市場での価格が上がることで、国債の利回りが下がります。
逆に、これが債券市場で売られて値下がりし、995円で購入した場合です。満期には額面との差額にあたる5円の利益と10円の利子つくため、合わせて15円が利益となります。購入額に対する利回りは「約1.5%」になります。この場合は、国債が市場で安くなり、そのおかげで利回り上昇ということになります。
長期金利の代表的指標となっているのは、「満期までの期間が10年の国債の利回り」ですので、日銀はこの10年もの国債を大量に買うことで(国債の値段が上がり)、利回りの抑制・低下につなげているというわけです。
答え
アメリカは長期金利が上がっている
アメリカの長期金利は、2022年4月20日時点でおよそ3年4か月ぶりに2.9%台まで上昇しました。アメリカでは、中央銀行にあたるFRB = 連邦準備制度理事会がインフレを抑え込むため、金融引き締めのペースを速めるという見方が出ています。金融引き締めは、FRBが国債などを買い入れる量を減らす(売れないので値下がりする→値下がった国債は金利を高める)ことも含まれていて、国債の値下がりが見込まれます。
このため、債券市場では実際の金融引き締めの動きを先取りする形で国債が売られ、長期金利の上昇につながっています。
日米の金利差が円安ドル高につながる
日本とアメリカの長期金利を比べると、2%を超える差があります。これだけ金利差が広がると、手持ちの資金をドルに替えて運用したほうがより確実に利益を得られるため、投資家の間で円を売ってドルを買う動きが強まります。
金利と通貨について理解しやすくするとために、簡単な例をあげてみましょう。上記の国債の利回りを見ると、あなたならどこの国の国債を買うでしょうか?
日本の国債を買っても金利は1%以下です。1億円分買ってもたった21万円の利益しか得られません。長期金利が高い = 国債の利回りが高い ものを購入すれば、たとえばハンガリーの10年国債を購入すれば、日本の43倍です。1億円買うと10年後には、861万円の利益が得られます。変動しますけれど。
参照
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