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Fiona Apple 『Fetch the Bolt Cutters』

ビリーアイリッシュなんてこわくない。

鬼束ちひろが『STEAL THIS HEART』のビデオが顕著にビジュアルからメディアでのアウトなキャラでもう名前も出てこない変テコなバンド名義とアルバムを出してファンを奈落の底へ叩きつけたあの時期に比べれば、フィオナ・アップルの沈黙の八年間は正解で『Tidal』に自己嫌悪をぶつけ続けてのファンである身が保たれていた。
八年ぶりの今作『Fetch the Bolt Cutters』でもやはり、2ndアルバムに収録のシングル『Fast As You Can』に顕著なパティ・スミスのようなラップもポエトリーディングも通り越したボーカリゼーションが彼女の歌のスタイルが先行して耳に入ってくる。とにかく言いたいことがあり過ぎるの!ファンは彼女のトゥーマッチを欲していた訳でそれに関しては文句のつけようがないフィオナ・アップルの新譜である。
M9.を聴くとコーチェラフェスでヘヴィなバンドとタイムテーブルを並べて欲しい。
恐らく初のセルフプロデュースで、全ての曲を自宅で録音しているように感じる。
ピアノを弾かず殴り続けて音階を壊し、自らの声だけを頼りに世界に中指を立てているフィオナ・アップルの変わらないスタイル。
最近のアメリカンポップスに毒化されているリスナーには決してフィットしないだろう。このアルバムには「POPS」が欠如しているからだ、そう、このアルバムこそがフィオナ・アップルでしかない。

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