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Rykey『BEEF&CHICKEN』

同調、順応、適応、相応、至当。

また色々あり収監され出てきたRykeyの復帰作。その色々は実話ナックルズさんに任せておいて、Rykeyの復帰作はそれらをすべてリリックにする為だと思うと随分とサクリファイスだ。今作『BEEF&CHICKEN』ではこれまでの作品のような世間や特定の人への攻撃的なRykeyのリリックとは違い自身の「贖罪」に溢れた真っ当なヒップホップを成り立たせている。
M1.M3ではYDIZZYのシングが中心に新しく耳障りが良い。M2からM4.M5.M6とこれまでの本来のRykeyのラップが圧倒的にヘッズに支持される理由が分かる、詳細なストーリーテリング。そこまで書くの?と、Rykeyがドープに謳歌すればするほど気持ちがいい。M7はスペーシーなトラックに「あの事」を歌っていて、それをただただトラックに乗せるのではなくヴァース、コーラスととても工夫された構成にすることでRykeyの音楽的スキルが聴ける。この一曲だけでも一聴の価値がある。M8での「中坊の頃から好きな2pacを聴くと負けた気になる」「小節の最後に謝る」などRykeyのリリシストの才、正直ここまで達者にリリックを吐かれるとリスナーとして反応せずにはいられない。M10はイントロから特徴的なGreen Assassin Dollerのトラックにパンチラインの殴打。
Rykey以上にヒップホップのルールを守り実直にラップで自身を語るラッパーは今のところ他にはいない、何せ声にエフェクトをかけないところが好きだ。ラストのM11でもこのアルバムのコンセプトが「贖罪」という人間らしさであることを再認識する。
これからのRykeyには、もっともっと沢山の音源を期待したい。

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