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アトピーっ子の親と専門医がガチンコで作ったアトピー性皮膚炎の本

小児科専門医でアレルギー専門医・指導医でもあるほむほむ先生とじっくりコトコト練りに練った本が発売されました

こちらの本はリアルに我が子のアトピーで一喜一憂した経験のある漫画家(私)と
専門医の堀向先生がガチンコで作った本です。

本の内容としては漫画のストーリーを読み進めるだけでアトピー性皮膚炎の仕組みからケアまで理解でき
専門医である堀向先生のコラムでは出典(その記事の根拠のこと)を基に、より詳しくこまやかにわかる二重構造となっております。
「あれれ…なんだかお肌が不安だな?」の方から「アトピー性皮膚炎と診断されてケアをしているけど、このままでいいのだろうか?」とお悩みの方
そしてコラムは出典マシマシでアトピーが専門でない医師の方にも「なるほど!」と
幅広く納得して頂けるのではないか…とおもっております。

漫画しか描けない漫画家

この本のお話を最初に頂いた時、私は堀向先生に「私はただの漫画家で漫画しか描けないので”漫画”を描かせてもらえますか?」と言いました。

現在、小児科や皮膚科にはアトピーに関するパンフレットがおいてあったりします。
専門医が監修し確かな情報がかいてあり、かわいいイラストや色が添えてありなにより無料です。
しかし、そういうものは私には「難しく、頭に入ってきづらい」ものでした。
(単純に、産後ホルモンバランスの崩れか疲れなのか、数ヶ月は文字情報が極端に目が滑るようになった…というのもありましたが)
個人的に思うのが「情報に偏りすぎていて重い」と思うことでした。

「確か」であるのだけど…受け取りづらい。重く感じる…。

情報とは実は結構な質量があって、一方的にどさっと渡されても持ち続けることはとても困難です。
なので受け取った分やこぼれそうな分はきちんと「返す」が大事だと私は思っています。
そして漫画の面白さって「返す」にあるよなぁ…と個人的に思っています。
なので万が一「漫画で”情報”を読者さんに”渡して”欲しい」と情報を渡すことだけを想定しているのであれば私は適任ではないなぁと思ったのです。

漫画の中のキャラ、山田家の両親はまず質問や疑問や悩みをほむほむ先生やかかりつけ医に渡します(現在見える情報)
それをうけとってほむほむ先生やかかりつけ医が山田家の両親に返します(専門的な情報)
…すると情報だけがキャラクター(患者、患者親)の元にどんどん詰みあがってしまうので、あと1ターン
受け取った情報に対して山田家の人がどう感じるか、感想や不安や勇気や様々な気持ちを再度ほむほむ先生や主治医に伝える、話す。会話する。
受け取るばかりでなくてよい、情報のやりとりだけでなくてよい。
自分はただひたすら教えを乞うだけの人間なのだと思わなくていいのだと。

投げて、戻して、終わり。でなくもう一度投げ返すこと。医療とキャッチボールできること。ここを入れさせて欲しい。
私にとってそこが漫画の面白い所だと思っているから。

堀向先生は「もちろんです。漫画の表現やストーリーはお任せします」と快諾してくれました。「漫画」部分はほぼ丸投げです!なんとふとっぱら!!(もちろん情報はしっかりがっつり監修入っているのでお墨付きです)

これなら漫画が描けるのでやったぜ!と小躍りしていた所一つだけオーダーをうけました。

僕だけを信じないようにとオーダーする医師

最初言われた時は「?」と思いました。堀向先生との共著で堀向先生を信じない??
個人的には堀向先生の発信されているブログの記事とかすごくわかりやすくて私は信頼してるけど、それはNGってこと??

「”堀向健太”を持ち上げるような内容にしないでもらいたいのです」

あ!なるほど!と思いました。

「ケアや治療は誰か一人の医師がもつ特別なもの…と誤解されないように、患者さんの今目の前にいるかかりつけ医、専門医を信頼できるような…
かかりつけ医と良好な関係を築けるような表現にして欲しいのです」

実際とても技術に長けた”この人に手術をしてもらえれば”みたいな名医はいると思います。
そして病状や状況によっては”この先生でなければ”助かることが難しい命も沢山あると思います。

しかし、アトピーはマメなホームケアと患者と医師が連携した細やかな薬のコントロールがとても大切な病気です。
どこかの特別な先生を信じなければ治らない、
あの先生だけがもっている秘伝の薬や、個人の先生が提唱した特別な生活をしなければ治らない…のではなく今解明されているアトピーとは?を正しく知る方が回復への効果は高いです。

「本を出すことで僕が担当する患者さんを増やしたいわけではないのです。
”僕だけ”を信じるのではなく”標準治療・根拠”を正しく信じられる、”かかりつけ医と自分”を信じられるようなメッセージを入れて頂くことはできますか?」

ガッテン承知~!!そーいうの得意~!!と二つ返事でOKしました。

最後はほむほむ先生と会わない

この打ち合わせの帰りにほぼ漫画のイメージが固まりました。

これは…山田家は(最終的に)ほむほむ先生と会わない方がいいな。

堀向先生をフィーチャーするだけならほむほむ先生が手取り足取り「教えて」くれる方がスムーズです。流れとしてもとてもわかりやすい。
でもそれではかかりつけ医をみつけられないし、かかりつけ医に相談もできない。

キャラクターが起こさない行動は読者さんに見てもらえない。
見てもらえない物語は無いのも一緒だ。

なのでこの漫画には二人の医師が出てきます。
著者の堀向先生をイメージしたウサギのキャラクター「ほむほむ先生」と、かかりつけ医の「さとう先生」
山田家の人々には徐々にかかりつけ医のさとう先生と会話していけるようにしよう。

こうして章を重ね、4章3のラストのお話は決まりました。
山田家は最後一言もほむほむ先生と言葉を交わしません。なぜなら物語を経てかかりつけ医と良好な関係を結んでいるので不安や疑問や喜びはすべてかかりつけ医とシェアすればよいからです。

「おしまい」でいいのです。

…でもそれだとちょっと寂しいなぁ…と思ったのでほむほむ先生には次の旅をしてもらうことにしました。

「…かかりつけ医と少し話してみようかな…この本を元に相談してみようかな…」読者さんの世界に繋がるよう、架け橋になるほむほむ先生が飛び出して来てくれるような…。
そう願いを込めてラストだけリアルな雲の絵にしてみました。

この雲が読者さんの空へとつながっていますように、と。

そんな漫画家と専門医がかいた本です。

(ちなみに堀向先生のコラムターンは普段診察室で聞き忘れやすい、でも地味に困る生活の細かい疑問や不安や噂に対して出典(根拠)を基に
微に入り細に入りくわしく書いてくれているのでめちゃくちゃ有用だぜ!!出典や根拠がわかりやすく書いてあるからかかりつけ医にも相談しやすいよ~!)


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