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金木犀の夜

きのこ帝国というバンドを聞けば映画「花束みたいな恋をした」からクロノスタシスを思い浮かべる人はきっと少なくないと思います。

でも僕がきのこ帝国と出会ったのは金木犀の夜という曲からでした。

知ったのもちょうど金木犀の香りがしだした9月後半。大学3年生の頃でした。

それまでの恋愛経験の少なさを取り返すかのように遊んでいた大学3年生。当時今ほど始めている人も少なかったマッチングアプリで色んな人と会っていました。

そもそもback numberのオールナイトニッポンを聴くようになってからradikoでオールナイトニッポンを通学の行き帰りで聴くのが日常になっていました。

そんなとき菅田将暉のオールナイトニッポンのCMで流れてきたマッチングアプリでその存在を知り、なんとなく始めてみました。

そこから右往左往、様々な経験をしたのですがそんななかで出会った1つ歳上の大学4回生。

僕はこの人に恋をしていました。
同じバンドが好きで、そこから話が弾み一度会うことになりました。

写真より綺麗だった彼女は当時就活で悩んでいた僕の話をたくさん聞いてくれました。
そして話は今ハマってる曲になり、話は最初に戻ります。

「この曲いいよ、聴いてみて」と言われ聴いたのがまだ存在さえ知らなかったきのこ帝国の「金木犀の夜」でした。

好きな人に好きな歌を薦められて好きにならないはずがなく、しっかりと僕もハマりました。

ですが彼女との進展は僕の失敗で何もなく終わりました。

秋の始まり、金木犀の香り。

その人の記憶に残るには匂いを残せばいい、と言われています。

僕は秋になったら逃れられない金木犀の香りから始まる記憶を植え付けられました。

1年を振り返る冬とは違い、昔の記憶を自分の好きな味付けで思い出すのが秋の記憶だと思ってます。

そんな秋の記憶。いつまで経ってもほろ苦いまま。

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