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「永島志基第1回作品展 曲目解説」


永島志基第1回作品展

曲目解説 永島志基

-チングルマの詩(1994)

もう私の代表作と言っても過言ではないと思います。この曲の出来た時の話は詳しくこちらのNoteの記事でも書いていますので、そちらをどうぞご一読くださいませ。

-美味しい舞曲第5番・ショーロ(2017)
この美味しい舞曲集を書いている時の私の作曲課題はどれだけ12曲のシリーズの中に様々な曲を書けるかでした。ブラジルのショーロの形式は3部形式と特徴的なリズムの舞曲感、そしてショーロの語源になっている「泣く」というベースが歌いすすり泣くような部分からできていますので、その素材をこの曲にすべて入れてみました。

-Koruoka(2023初演)
長年様々な私が指導しているアンサンブルのアシスタントを務めてくれているお礼で彼女のために書き上げた曲で、彼女が好きな②弦の甘い音質と⑥弦がレ弦という希望を聞いて出来ました。最近の作品の中でも特に気に入っています。

-真夏の午後(2023初演)
私が30年間指導した一橋大学・津田塾大学・東京農工大学のギター部の部員で入部してくれて、卒業してからも色々と私の合奏団など手伝ってくれた彼に新譜のCD様に書き上げた曲を聴いてもらい気に入ったこの曲を献呈させてもらいました。

組曲「宝石の一日」(1998~2014)
-第1楽章 琥珀の朝
-第2楽章 水晶の昼
-第3楽章 瑪瑙の夜
元々は、国立民族博物館の「安土城」CG完全復元の音楽として1楽章を書いて、その後に宮沢賢治原作の「銀河鉄道の夜」を父が漫画で書き上げた時にインスパイヤされて2,3楽章を循環形式で書き上げました。

組曲「庭の調べ」より(2022)
-季節の終わり
-朝の調べ
今回の新譜の主要曲になっている庭の季節感を書いた組曲「庭の調べ」の中から小品を2曲選びました。季節が変わるグラデーションを音にしたものと、朝の清々しい空気感を音にしました。
晩秋に寄せる2つのスケッチ(2021)
-冬の訪れ
厳しい木枯らしから始まり、少し春を感じさせる暖かさが繰り返されながら本格的な冬を迎えるイメージで作曲しました。
雲の彼方に(2021~2023)
-前奏曲
-舞曲
私は今まで⑥弦をレ弦にする曲は多数ありますが、これは①弦もレ弦で作曲しました。きっかけは生徒さんでアコギがお好きな方からの助言で私のもっと変則チューニングの曲を聴いてみたいと言うお話から生まれた曲です。
実際に面白い曲が出来ましたが、オスティナートでレーシ・レーシと弾きながら自由に低音でメロディを組んだら、思っていたより技巧的に難しい曲になりました。

重奏
●二重奏(本田美春&永島志基)
小組曲「心の空模様」より(2019~2023)
日向に吹く風
穏やかな陽だまりにさわやかな風が吹くようなこの曲を
今日の為に二重奏にしました。
●二重奏(林裕美子&源正人)
7つの小さな前奏曲集より
-第1番 スペイン産生ハム(2013~2019)
-第2番 エビのアヒージョ(2013~2019)
-第3番 シャンディガフ(2013~2019)
この3曲の二重奏は今日の演奏者のために改編したのですが、その機会がコロナ禍で演奏会がキャンセルになり、やっと今日聴いて頂けます。

●二重奏(大浦恵美&中村久美)
Twins 組曲
-Baby Twins(2018)
-Twins(2017)
-Twins Dance(2018)
双子のお二人の為に2017から二年かけて書き上げた曲で一つのフレーズをすべて二人で分けて弾く形式を取っています。

●四重奏「ムジク・クアドリアーデ」
(古賀駿也・平井貴大・藤崎雄司・鎌田賢太郎)
組曲クアトロ・パロスより
-HAGY(2017)
ギターカルテットクアトロパロスの為に書き上げた組曲の3楽章です。元々、美味しい舞曲の第4番「ゆったりとした舞曲」がもとになっています。

●四重奏「くにたちギターカルテット」
(野島史行・牧野真弘・長塚真琴・平井勇一)
-ギターカルテットの為の「如水」(2015~2023)
-1楽章「森の溢れる泉」
-2楽章「内なる雨音」
-3楽章「海への奔流」
この曲は私が指導していた大学ギター部の母体となる一橋大学ギター部の50周年記念の委嘱作品として書き上げました。一橋大学のOB・OG会の名前が「如水会」という事もあってギター部の部員を森の奥の水の誕生から(クラブデビューから)海に(社会に)流れ込むまでを音楽にしました。当初私もさほど合奏曲が書き慣れていない部分もあり、難しい部分もありましたが今回の演奏会の為に全学章見直してギター4重奏用にまとめました。

☆ゲスト演奏
●二重奏 ギターデュオ「さつき」(深沢みなみ&杉田文)
-Over the Hope(2017)
この曲はある若いギター二重奏の二人が佐藤弘和氏が他界してもう曲を書いてもらえないというので書きました。曲のゲストの演奏のさつきも彼女たちのリサイタルで素晴らしい演奏してくれています。
-SATSUKI (2021)
そんなお二人の為に、彼女たちの爽やかなイメージで書き上げた曲がこの曲です。軽やかにそれでいて決してやさしくはない曲ですが、彼女たちは素晴らしい疾走感を持って演奏してくれます。

●合奏

ギターアンサンブルの為の「百花繚乱」(2020)
指揮:永島志基
この曲の作曲の経緯は、ロンドンを拠点に活躍するギタリスト・コンポーザーと親交があり、2020年の1月に日本で行うジョイントコンサートで初演しようと2重奏の作品を書きました。お互いに主題を交換して作曲をしようとやり取りをして、私はある曲のリズムを参照にした主題を提案しました。しかしコロナの影響でこのコンサートはキャンセルになってしまったのです。この主題をとても気に入っていた私は、その後の合奏連盟の委嘱作品の依頼を受け、この主題を使って新たに4部合奏版として書き直したのです。編成も人数も増えて、プロギタリストが技を競い合うような音楽の華やかさから「百花繚乱」という名前にしました。今日もこの曲を演奏したい方々が集まってきてくれて作曲者としてこんなに嬉しいことはありません。

 



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