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自作曲の想い出.3「雲と少年」


雲と少年

スペインから帰国して2~3年経ったある日、父の友人としてアニメーターのマオラムド(大橋学)さんを紹介されました。
出会った時には知らなかったのですが、私が子供のころから見ていた素晴らしいアニメーションを何十本も手掛けた素晴らしいアニメーターでした。

父とは手塚プロ時代からの知り合いで、自身の作品で手掛けている「雲と少ねん」というアニメーションの音楽を探していて、「シキさん作曲と演奏をお願いできませんか?」と頼まれました。彼の知り合いで紹介してくれた朝霞の公民館で2回ほどコンサートを行った後の話だったと思います。
書き上げたのが1992年ですから、「チングルマの詩」が1998年ですから
その時期から6年も前の事になり、王立音楽院の課題で書いた曲を除けば
私の正式な処女作という事になると思います。
彼が見せてくれたその原画がとても透明感のある画質で、その印象を頼りにギターをつま弾きながらなんとか完成させて録音して彼に渡しました。

アニメーションはプロセスの状態で彼の自宅で見せて頂き、私の音楽を流して二人で見た記憶があります。
彼のやさしさの話は、昔彼の家に押し売りが来て(懐かしいですね、今で言う強引な訪問販売と言ったところでしょうか)玄関口で話しこむ事2時間近く。アーティストとはいえ、色々大変な彼の実直な話を聞いた押し売りは同情して「こんな物でも少しでも足しになれば」と商品を置いていこうとしたら、マオさんが「それでは申し訳ないから、絶対に受け取れない!」と押し問答になったらしいよと、父が笑いながら話してくれました。
父もマオさんも亡くなってしまい、懐かしい想い出でこの曲を弾くといつも頭に過ります。


時間が経ってからこの曲を気にいってくれて、ギター二重奏と三重奏にも
リメイクしました。
自作品の良いところは、この手の改編などに誰に対しても気を使わなくて良いところですね。(まあ当たりまえですが)
聴き比べてみると違いが分かります。
3重奏版

二重奏版




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