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ソナタ形式を彼女(彼)への告白に置き換えてみたら

今年卒業した30年間の大学ギター部のコーチをしている時の話です。
皆優秀な学生達ですが、その昔合宿でソナタ形式の講座をしたら反応が今一つでした。
ソナタ形式はクラシックの偉大な先人たちがこの音楽形式で作ると心に響く(ソナールから来てます)ので以下のようになってます。

「提示部」(序奏)第一主題(主調)ー第二主題(主に属調や並行調)
「展開部」(割と自由)
「再現部」第一主題(主調)ー第一主題(主調)
 第二主題(主調、同主調)ー(コーダ)


ただ、この形式だけ書くと何のことやら?分かりにくいのも確かですね。

要は「提示部」「展開部」「再現部」の3部形式で出来ており、
序奏とコーダはあっても無くても自由です。
要になっているのは「提示部」で出される第一主題と第二主題が割と自由な「展開部」を挟んで「再現部」でその名の通り再現されるのですが、ここで
調性に一工夫。第一主題は提示部も再現部も主調ですが第二主題は提示部の最初は属調になり再現部でやっと主調になります。

つまり最初に聴かせておいた第二主題は少し横向いて聴かせて、戻って来たら正面からド~ンと聴かせるイメージです。上の表にはありませんが、第二主題の前にブリッジといって、来るよ来るよ!みたいなフレーズを置くこともしばしば。
う~ん!やはり分かりにくいですね。

そこで、お年頃の学生の皆さんが興味を持って学べるように
好きな彼女(彼氏)に喫茶店(古いかな)で告白するフレーズにこの形式を私の主観で置き換えてみました。これは非常に熱心に聞いて貰えました。

〇喫茶店にで相手と待ち合わせ
序奏
たわいもない導入部の会話
「今日は寒いね~!」「先週、風邪ひいてしまった」などなど。
第一主題
第二主題があることを思わせるようなしっかりとした次の話題。
「せっかく久しぶりに会うから、二人で美味しいものでも食べようかと思って今日はデートに誘ったんだ」これはそのまま伝える。
第二主題(作曲家が一番聞かせたいフレーズ)
しばらく話した後で第二主題の前のブリッジ(架け橋)として
「今日実は話したいことがあって」と切り出します。
ここが大事なのですが、照れ隠しもあり正面からではなく、少し横をむいて
「君が(あなたが)好きなんだ」と最初の告白。
(ポイントは主調ではなく属調なので真正面からではなく少し横を向くように話す事)
展開部
微妙な告白したので話題を変えて、まったく別の話題に移る。
「そういえば、この間面白い映画を見て~」的なものでも何でも。
(作曲家によっては主題を変えて使う方も多いです)
ここでの一番重要な事は聞き手(告白された方)の心情です。
「あれ!話題変わってしまったけれど、さっきとても大切な事言ったよね?もぅ一度言わないかなぁ」と無意識に思わせること。
ここまでの伏線を張った意味は全てここにあります。
再現部
さあ、展開部の他の話題も尽きたころ、いよいよ第一主題に戻ります。
もう一度先ほどと同じ調子で「せっかく久しぶりに会うから、二人で美味しいものでも食べようかと思ってと話したよね?」と話しを戻します。
ここで聞き手はこの兆候はもしかして「あの言葉が来るかも?」と感じて身構えます。そこにブリッジで「さっきも言ったけれど、今日実は話したいことがあって」この言葉が提示部と同じ調子なのも大事です。
聞き手は「来る!あの言葉が!」と期待感は最高潮に!
そして、その期待通りに今度は真正面から(これも大事な事で、真正面からが主調での再現)
「君が(あなたが)好きなんだ」と告白。
その後は同意を得られれば2人で盛り上がるコーダ。
駄目なら一人で家に走って帰るコーダ(笑)
この音楽的パターンが聞き手の心に残るという形式なのですね。
つまり、一度軽く聴かせたメロディが焦らされた後に、同じパターンで来るので聞き手が展開を想像できて、受け取り準備万端になっている所へ調性もドストライクで来る訳です。

勿論、これらは全てあくまでたとえ話ですが、しかし街でクラシックが流れていて「今さっきのあのメロディがまた聴きたいな」と思って、それが感動的にまた流れて心に刺さったらソナタ形式の可能性は大です。

蛇足ですが、この記事はあくまで音楽のソナタの形式学を、分かりやすい恋愛告白形式にはめたもので、本当にこの形式で告白して失敗しても私は責任は負えませんのでそこは自己責任でお願い致します(笑)









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