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ヘンリー8世という歴史の綾

中世フランス史関連のYouTube動画を漁っていると、関連動画としてヘンリー8世についての解説動画も多数上がって来ます。ほんとに沢山。

そんなにオススメされるならと面白そうなのを1つ2つと釣ってみたら。。

ヘンリー8世と6人の妻については多くの人によって解説されているので詳細は割愛しますが、いやいやいや、ヘンリー8世のゲスっぷりが凄いですな😅

政治手腕よりも宮廷愛憎劇の方で有名になっちゃってる感が否めないヘンリー8世。

しかし一方でヘンリー8世がアン・ブーリンを見染めなければエリサベス1世はこの世に生まれておらず、たとえ生まれていても、彼がアン・ブーリンを無理くり王妃にしなければ(※1)、エリザベスは庶子の身分のままで王位が廻ってくることはなかった(※2)訳で。。

※1:ヘンリー8世は愛妾のアンを王妃にするため、最初の王妃キャサリン(オブ・アラゴン)との離婚を認めないカトリックから離脱し、イングランド国教会を設立してそのトップに自分が収まるという暴挙ウルトラCを強行する。
※2:側室制度があり庶子でも王位を継げたアジア諸国と違い、ヨーロッパでは継承権は嫡子にのみ与えられた。

そのアン・ブーリンも後に寵愛を失い、不義密通と反逆の罪を着せられて処刑され、王妃の座はアンの侍女だったジェーン・シーモア(エドワード6世の母)へ。

アンが処刑されなければヘンリー8世の死後にエドワード6世が王位につくこともなく、するとあの「怖い絵」で有名なジェーン・グレイも死なずに済んだかもしれませんよね。

キャサリン妃の娘メアリー(1世)も、父親やアン・ブーリンからの酷い仕打ちがなければ(※3)、プロテスタントをそれほど敵視することもなく(メアリーはカトリック)、後年女王(※4)となってからブラッディ・メアリーなどと言われるようなことにもならなかったでしょう。

※3:母キャサリン妃は離婚させられた後死ぬまで幽閉。メアリーは母と引き離された上に庶子の身分に落とされ、腹違いの妹にあたるエリザベス(1世)の侍女にされたり幽閉されたり何度も殺されかけたりした。
※4:ヘンリー8世の最後の妻キャサリン・パーが嘆願したことで、ともに庶子の身分に落とされていたメアリーとエリザベスの身分が回復され、王位継承権も復活した。

摂政として国の危機を乗り切り、国民から慕われた王妃キャサリンの娘はブラッディ・メアリーと呼ばれ、逆に国民から憎まれていたアン・ブーリンの娘エリザベスが名君(後年美化された部分はあるにせよ)として称えられる。

うーん、歴史の綾とはこのことよ。

ヘンリー8世の所業が巡り巡ってイングランドが海の覇権を握り、日の沈まぬ海洋帝国となる端緒をひらくことになる訳ですもんね。

この時代はドラマや映画も沢山制作されているので、ナタリーポートマンの「ブーリン家の姉妹」やケイト・ブランシェットの「エリザベス」あたりから見て見ようかな。

と思ったらどっちも結構エグいらしいです😅

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