宝物は

大事に大事に抱えてる

金色に輝くその箱の

中身を誰もが夢想した

ある日から鍵が掛けられ

ある日から鎖が巻かれ

中身を誰もが幻想した

時が経ち

ぽろりぽろりとメッキが剥げる

鍵は壊れて鎖は錆びつき

それでも箱は開かない

誰もが錯覚したその箱の

中身は一体なんだろう

誰もが想像に飽きた頃

1人で箱を開けてみる

指は錆びに汚れ

ひしゃげた鍵穴に手子摺った

その箱に

入っていたのはただの紙

空と書かれたただの紙

突然紙が燃え上がる

炎に揺れるその影には

更に剥がれたメッキが光る

下からは粗悪で腐りかけた木が覗く

ぼろぼろぼろぼろぼろぼろと

手から全てが崩れ落ち

ああ現実だと声を震わせる

ありがとう

夢をみたよ

さようなら

さようなら

さようなら

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