理想のおうどん

描けずに迎える午前三時

黒鉛は擦りきれ進まない

こんな時間の来訪者

久々の友 食欲だ

おうどん食べたい

おうどんが

土鍋でクツクツ煮えている

箸で持ち上げると汁を跳ね上げ

くったりと出汁に沈んでいくような

とろとろにとろけた白ネギと

ほんのすこしの豚肉のかけら

ほんのり甘い出汁が

ふわふわと湯気を押し上げる

おうどんが食べたい

ああ食べたい

卵をひとつ落とそうか

うすい皮膜をまとったそれを

中盤ずぶりと突き刺して

もとの形も忘れるくらいに

ぐちゃぐちゃにかき回してやる

そんなことを思いながら

ふたを開ければグズグズの

固くなった白身にぱさぱさの黄身

突き刺しても溶けてくれない

いつまでも汁に残り続けるのだ

そんな私みたいに出来損ないの

おうどんが食べたい

うどんが食べたい想いをぶつけた詩
うどん食べたい……(寝ます)

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