延頸挙踵 vs愛媛 0-1

 昨シーズン終盤からの怒涛の勢いでPOに進出し、昇格候補に挙げられている千葉に対し、前半から呑み込まれてしまっての複数失点が響いた前節。HTを経て後半開始の前への出方は見ていても高揚感があったが、そこから押し切れるかは今後に向けての課題。

 2試合連続でのホームで戦うこととなる今節の相手は愛媛。J3から復帰し3年ぶりの対戦。
 2013年から2年間監督を務めていた石丸氏が再登板して3シーズン目。就任初年度は昇格できなかったが、昨シーズンは序盤から順調に勝点を積んでいき、夏頃には14試合無敗を記録。最後まで首位の座を明け渡すことなくJ3優勝を果たした。3部でしっかり落とし込んでいるからこそ侮れない。ポジショナルな志向を持ちつつ、非保持時は前から圧力を掛ける意識が強い。最前線の松田力の迫力は勿論、その後ろでゲームメイクを担う石浦はヴェルディ産駒らしい能力を見せ、非常に脅威。

 どちらもここまで勝利がないだけに、ここをきっかけにという気持ちはあるだろう。愛媛が落ちたシーズンも最後まで残留を争ったが、その際は直接対決で負けなかったことが残留に直結した。結果が出ないとどうしても疑心暗鬼になるだけに、一つ目に見える成果が欲しい。


メンバー

 ウチは前節から2枚変更。竜士→惇希、和田→佐川。これまで3戦でインパクトを残した2人がスタメンとなった。エドが今シーズン初めてメンバー入り。

 対する愛媛は敗れた前節熊本戦からノーチェンジ。

前半

 先週とは打って変わり風もさほど強くなく穏やかなコンディション。愛媛のキックオフで始まった試合は立ち上がりから愛媛がペースを握る。
 序盤はシンプルに最終ラインの後ろを目掛けて蹴ってきた。ピッチ上ではやや北風が吹いているようで、ウチが風上に立つ形となったものの、愛媛のフィードが押し戻されてヘディングのタイミングが難しくなった。特に中塩のところをポイントに狙ってきており、そこを跳ね返したとしてもセカンドを尾崎や深澤が拾ってマイボールにした。そこへのケアのため惇希があまり高い位置を取れなくなる。

 13分、愛媛の決定機。ハーフウェー付近でのスローインに際して松田が下りていったところに酒井がそのまま付いていく。松田はボールをワンタッチで内側に流すと入れ替わるように谷本が上がって前進し、もう1つ横の石浦へ渡す。石浦はヒールで深澤に落とすと、右の尾崎に展開。尾崎がアーリークロスを入れるもターゲットの茂木を越えて流れていく。ただ、外側から松田が走り込み1stタッチで上手く佐藤の前に入るようにコントロールし、そのまま左足でニアを狙うとシュートはポストを直撃。角度がなく櫛引がコースを切っていたとはいえ、肝を冷やす。

 17分、愛媛がスコアを動かす。惇希が仕掛けて引っ掛かった後にファウルで止めてFKに。ウチは陣形を整えようとしていたところ、愛媛はすぐにリスタート。深澤が労せず1stラインを突破してハーフウェーも超えたところで左のハーフスペースを猛然と山口が駆け上がってボールを受ける。アマが寄せにきたのをみて山口は大外の茂木へ。山口がレーンを斜めに横切るようにスプリントしてアマと佐藤を引っ張ることで生じたスペースに石浦が入ってパスを受けてすぐに茂木にリターン。茂木はクライフターンから身体を外に開きつつ足先で向きを変えて石浦への楔を刺す。石浦はまたも少ないタッチで山口へ。今度は茂木がスプリントしてスペースを空け、再びそこで石浦がボールを受ける。オープンにトラップして左足で細かなフェイクを挟んで正対する大畑の動きを止め、ニアゾーンに走り込んだ谷本に通す。谷本はトラップせずに腰の回転の勢いでグラウンダーのクロスを入れると、フリーの深澤の元へ。谷本は落ち着いて1stタッチで右側に流してからシュート。絶体絶命だったが、櫛引が驚異的な反応で防ぐ。しかし、そのこぼれを誰が処理するか見合った隙に深澤がプッシュ。
 連続性のある動きで愛媛がボールとウチの選手の立ち位置を動かしてきた。走り込んできた選手をケアしようとする意識付けがされている以上は仕方ないが、それによって危険なエリアでスペースを割譲するのは本末転倒。でもってPA付近ではゾーンの外側で上手くフリーでボール引き出される。

 愛媛はボールを持った際にSBがインサイドを取ってスペースを使い、SHとの関係性で前に進んでいく。特に左サイド(ウチの右サイド)は山口が佐藤の内側でアマが届かない位置を取ることでフリーでボールを受けられる。佐藤が後追いせざるを得ず、アマがフォローに出るとそれによって生じたスペースを石浦が見逃さずボールを引き出してくる。または、石浦がそもそも外側でボールを受け、スペースに山口がアンダーラップすることもあった。
 それによってミドルサードから前に侵入するとクロスを選択することが多い。ウチはCB2枚をゴール前に構えさせているから主に城和が跳ね返すも、全体が押し下げられているのでバイタルで愛媛にセカンドを拾われて陣地回復できず。クリアした場合でも前線に誰も残っておらず愛媛がビルドアップ開始するとの流れが続く。

 ウチは30分過ぎから少しずつ前進できるようになる。髙澤がボールに触りたいと落ちてくるようになり、それによって惇希と他の選手の距離感を補完。左で作って中塩や髙澤から逆サイドの佐藤に大きく展開することで局面変えようとする場面が何度か見られた。
 また、1点取って愛媛が少し籠り始めたので酒井と中塩が1つ前まで持ち運ぶようになった。ただ、これに関しては愛媛が2ラインを作っているのでその先に刺し込む場所もなく、サイドでノッキングしてしまうことも多かった。

 42分、ウチにようやく決定機。左サイドで髙澤が倒されて得たFK。佐藤のアウトスイングのボールをニアで酒井が逸らし、ファーで髙澤がダイビングヘッド。しかし、シュートはポストを叩いた。

 耐えられずに失点したものの、何とか最少得点差で前半を終える。

後半

 HTを経て両チームともノーチェンジで後半に入る。

 アマと風間の立ち位置に少し深さを入れたことで徐々にCBから中盤に斜めのパスが入れられるようになり、そのまま前を向けるようになった。ただ、髙澤や惇希に展開したところでレイトタックルや過剰な力の加わったコンタクトでプレーを止められてしまい、上手く流れを作ることができない。

 54分、ウチの後半最初のシュート。中塩のロングスローは城和の後ろで跳ね返されるが、こぼれ球を風間がコンパクトに足を振ってボレー。しかしこれは辻に防がれる。

 57分、またもロングスローからチャンスを作る。中塩からニアの城和目掛けたボールは跳ね返されたがセカンドを大畑が頭で前へ。これを松田がクリアしきれずルーズボールとなり、先に落下点に入った佐川がボレー。近くの佐藤に当たって不規則な回転の掛かったボールはゴールに向かっていったが、バウンドした際にスピンによってゴールを逸れていった。

 直後の58分、愛媛に追加点のチャンス。ゴールキックに対してウチが前から人数掛けて奪おうとしたところを剥がされて左の山口が独走態勢に入る。アマが何とか戻ってきたが、そこから中央の窪田へ完璧なパスが通ると、窪田はワンタッチで茂木の前のスペースへラストパス。茂木は左足でファーを狙ったが、ここは櫛引が左足を残しており、上手く防いだ。

 続く59分も愛媛の決定機。中塩から惇希へのパスを尾崎がインターセプト。こぼれ球を拾った窪田が前を向き、強引に縦に仕掛けてクロス。これは城和が跳ね返したが、深澤がセカンドを回収。深澤→谷本→山口→松田と綺麗に繋がり、松田の落としから最後は谷本が右足でシュートを放つが、櫛引がセーブ。

 何とか同点に追い付こうとしていたが、61分にビルドアップ時のミスからアマが2枚目のカードで退場。そもそも相手のタックルにもカード出すべき場面が多々あっただろうとは思うが、このプレーに関しては弁解の余地がなかった。アマはこの試合でも何とか藻掻きながら戦っていただけに、この退場を攻めることはできない。

 で、ここからは2ライン敷く姿勢を見せる愛媛に対して攻めあぐねるかと思いきや、1人少ないことで却ってスペースができてボールは動くようになった。ただ、バイタルでは窒息気味になるので玉城や風間が1つ前まで飛び出して何とか仕掛けた。佐川が1つ惜しい場面を作り、セットプレーからもゴールに迫った。85分には相手も1人少なくなったが今更くだらないプレーにカードを出したとて後の祭りである。

 最後まで1点が遠く、0-1で終了。

雑感

 生みの苦しみであると信じたいところではあるが、課題感はここ数試合とさして変わらない。

 前半を耐えられるかどうかが全てになっている…。それは置いておいて、人を掴みにいくのは大事だが、それでバイタル空けるのは違うし、CMFがフォローすべきエリアが広すぎて過労死する。あとは、前から掛けに行ってCBがそのままマークについていった場面でいなされることが度々あった。前半は特に松田がスローインで落ちた際には必ずCBが深追いしにいった。前を向かせなければ良いが、少ないタッチで回避されて石浦にボール引き出されるとなかなか自分たちの流れは来ない。ボールを奪い切るポイントで仕留めたい。

 攻撃面では今シーズン初の無得点。髙澤のヘッドも佐川のボレーも決まらない日はこんな感じだなと思いつつ、少ないチャンスを活かさないと当たり前だが結果には結びつかない。髙澤や佐川が散々潰されながら身体を張ったり、アマが自ら深い位置まで運んだりと奮闘していたからこそ、ゴールまで繋げたかった。

 次は中3日でフリエのアウェー戦。なかなか厳しい相手との対戦となるし、個で殴られるのは勿論、噛み合わせ的にも簡単ではない。アマが有給になること含めて、諸々難しい。苦しい状況だからこそ、原点回帰できるところに戻って直向きに戦いたい(一周回っての精神論)。

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