順位相応 vs水戸 0-0

 相手のクオリティに殴られての2発で沈んだものの、少しずつビルドアップの形が見え始めた前節。結局耐えられないと勝点を得るのは難しいし状況としても好転はしていないが、ピッチ内での振る舞いは改善が見られている。

 ホームでの勝利を渇望する中で迎える今節の相手は水戸。今シーズンの北関東ダービー初戦。
 水戸は濱崎体制2年目。昨シーズンは序盤から盛大に躓いていたが、6月以降はリアリティ路線にシフトして勝点を稼いでの残留。SBがほぼ全員怪我で離脱するなどのアクシデントも重ねっていたが、1年通して継続したことにより得たものは大きいらしい。育成型クラブを自称するように、今シーズンは大量のルーキーを獲得。開幕戦のいわき戦に勝利して意気揚々とスタートしていたが、その後はここまで8戦未勝利。その間、ルヴァンでYS横浜にも敗れるなど苦戦。それでもここ3戦はドローで勝点を拾っており好転している。基本的には4-2-3-1で組んできているが、前節は右片上げの3-4-3っぽい形でボールを動かす時間もあった。前3枚でプレスのスイッチを入れて高い位置で奪うことを目指しているようだが、どのチームもそれをひっくり返そうと長いボールを用いて対策してきている。

 内容云々ではなく、ダービーであればまずは結果を求めたい。昨シーズンは2試合とも逆転勝利を収めているが、過去は過去。最初からやるべきことを徹底した上で勝ち切りたい。4-2-3-1の「3」の真ん中を誰が捕まえるかが鍵。あとは相手のプレスの矢印を折るようにボールを動かせればチャンスは作れるはず。


メンバー

 ウチは前節から2枚変更。アマ→勇利也、髙澤→和田。勇利也は今季初のスタメン。ベンチには竜士が戻ってきた。

 対する水戸はドローに終わった前節秋田戦から1枚変更。甲田→黒川。ウィンドーが閉まる直前に復帰した黒川が加入後初のスタメン。

前半

 春を感じる気温の高さであり、空っ風ではなく南風が少し吹くコンディション。コイントスに勝った水戸はエンドを選択し、ウチのキックオフで試合が始まる。

 いきなりウチはこの試合最初にして唯一に近い決定機を迎える。4分、ロングスローの流れから得た左サイドのCK。佐藤のアウトスイングのボールにファーで大畑が合わせた。良いコースにボールは飛んでいったがポストを直撃。先制点とはならない。
 中塩と城和と和田をニアに走らせて相手のゾーンをそっちに釣り、ファーで構えた勇利也がフリーになって大畑の前でうろついた結果、その背後で大畑がマークを外してヘディングできた。狙い通りだったが仕留められず。

 ウチは前節同様に立ち上がりはビルドアップせずにラインアップに主眼を置いていたが、10分過ぎからはCB3枚でセットしての前進を試みる。水戸は1+3で嵌めようとするも、ウチは両サイドのCBからCMFへの斜めのパスを刺して1stディフェンスを外すことはできていた。そうすると次はサイドに流してSHとシャドーで前進しましょって段階だったものの、水戸は後ろの陣形を崩さずに前線のプレスバックで対応。向こうの陣営及び番記者の話だとハイプレス志向とのことだがややコンタクトが遅く、ファウルでプレーが止まる部分は意図しているかは別として徹底されていた。佐藤への後ろからの無謀なタックルは一切擁護できないものはなかったが、目の前で見ていた敵将は拍手で称えていたので、恐らく意図はあるのだろう。それはそれで考え方としてはありではある。ただ個人的に全く持って理解できないが。

 水戸は黒川が右、中央に落合でスタートしていたが、佐藤の治療による小休止の後くらいから入れ替えてきた。さらにRSBの村田がかなり高い位置を取り、代わりに落合がCMFの横まで落ちてきてボールに触る機会が増えた。エドを村田がピン止めした上で、黒川や長尾がハーフスペースに走る。
 これに対しては中塩も風間も落ち着いて対応したし、一度ボールが後ろに戻されればラインアップした上で和田が前でコースを限定してくれたので、そこまで押し込まれはせず。

 それでも水戸は寺沼をターゲットにしたボールを多く入れてくる。ラインに張り付いてきた場合には城和が背後に立って跳ね返そうとしたが、少し低い位置で漂うと、ややマークが浮いた。一方でチームとしての約束事なのか寺沼はターンせずに一度落とす選択を続ける。前を向けば足を振るスペースもあるし局面も変わるのだが、安易にボールを下げるのでウチが陣形を整える時間ができた。

 36分、ウチはまたもCKからチャンス。風間のアウトスイングのボールは勇利也の手前で弾かれたが、こぼれ球に反応したエドが反転しながら右足でボレー。低く抑えられた鋭いシュートは枠に飛んだものの、春名が確保。

 両チームともにファイナルサードではほとんど形を見出せずに45分を終える。

後半

 後半開始時点での選手交代はどちらもなし。後半の1stプレーでややウチはふわっと入った感じはしたが、その後は敵陣に入る時間も作る。WBの位置を少し高くしたのと、佐藤が左まで顔を出して数的優位作り出そうとした。

 56分、水戸は落合→甲田で最初のカードを切る。
 それを見てウチも58分、和田→髙澤、平松→佐川の2枚替え。ユニットごと替えて前線の強度を保つ。

 平松は自身の身体の使い方で上手く相手を背負いながら前を向けるが、佐川は懐の深さを活かして少ないタッチで展開できるのが強み。近い距離感で佐藤・髙澤・勇利也辺りが絡んでパスを繋ぎたかったが、そこから先にサイドに振る前に相手に引っ掛かって前進しきれない時間が続く。
 水戸は水戸で徐々に前へと出ていく気概は見せており、重心も高くなったが、如何せんバイタル以降のアイデアとクオリティに欠けるので、ウチとしても救われた部分はあった(この辺りは他人のこと言えないし、お互い様感)。

 67分、ウチは風間→アマ。やはり3連戦トータルで中盤はプレータイムを管理しているっぽい。
 71分、水戸は長尾→高岸、寺沼→安藤の2枚替え。

 この辺りから連戦に加えて気温の高さも相俟って両者ともに疲労の色が濃くなる。
 ウチは田頭が頑張ってオーバーラップ・アンダーラップ問わず高い位置まで走っていきクロスまでっていうシーンを作り出すもなかなか相手の頭を越えない。
 水戸はシンプルに縦に長いボールをより多く蹴って安藤に任せた。ウチはややその圧力を正面から受けてラインを押し下げれてた。徐々に重心が下がり、水戸がボールを持つ位置が高くなっていく。すぐに崩壊させられるほどの脅威はなかったが、事故が起こり得る状況。

 82分、ウチは佐藤→酒井、田頭→永長で最後の交替。田頭が売り切れていたのは分かったが、ここで酒井をチョイスするのは3ポイントよりもよりも1ポイントが0になるリスクを軽減したかったのかなと邪推。ダービー&ホームという要素に左右されることなく今のチーム状況を考えての最善策なのかもしれない。
 83分、水戸も新井→石井、黒川→久保で最後のカード。

 84分、水戸がチャンスを作る。最終ラインの左でボールを受けた長井がシンプルに安藤に長いボールを入れる。ここは城和が跳ね返すも距離を稼げずにセカンドを甲田が確保。甲田は安藤とのワンツーでバイタル手前まで進み、右の村田に渡す。村田はそのままクロスを入れるも中塩がクリア。ただここもセカンドを高岸が拾ってワンタッチで甲田へ。甲田は軽やかな切り返しとステップで髙澤のアプローチが気にならない間合いを確保しながら中央に向かい、ファーのスペースに走り込んだ大崎に左足で柔らかいボールを供給。大崎が胸で落とすと久保が左足でボレー。このシュートは酒井が身を挺して防ぎ、こぼれ球を大崎が狙ったところも酒井が足を出してブロック。酒井投入が活きた格好となる。
 長いボールに対して弾き返せれば良いが、距離が短いとセカンド回収に対してウチのCMFの管理するエリアが広くて分が悪い。この試合に関しても中盤の枚数的に不利なので、相手のフェーズが続いてしまうのが難しいところ。

 その後はカウンターに打って出ようとするも上手く前進できず、セットプレーを獲得しても行かせないまま時計の針が進んでいき、スコアレスのままついに90分が終わってしまった。

雑感

 1ポイントを積んだという部分は今までに比べれば良いのだが、あの水戸のクオリティを考えると、ここで勝てないのは痛い。ただ、勝てた試合だと言える要素も乏しいので、両チームともに今のテーブル上の立ち位置がそのまま表れていたという印象。
 水戸がシンプルに蹴る展開に対し、ウチは最後までテンポアップできずに相手のゆっくりとしたスピードに合わせてしまった以上、試合自体は水戸が優位に進めていたのかもしれない。

 渡邉新太のような一発で仕留められる選手がいなかったこと、バイタルで崩す形を持ち合わせていなかったことにとても助けられた。シュートこそ本数打たれていたが、エリアの外からの勢いのないシュートも多く、xGも0.91と本数の割にそこまで高くなかった。終盤に相手のシンプルな形に対して押し返せなかったのは連戦の影響もあったが、交代を使いながら対処。もう少し出し手に限定をさせたかったが、試合を通して前から捕まえることなく後ろで構える選択をした。勝点を落とさないことに重きを置くとすれば、そこは現実的な策。

 一方で、オフェンスに関してはCBからWBに当ててCMFに落として逆に振るなど、相手の1stプレス剥がしてミドルサードに到達するまでは造作なくできるが、そこから先は進展がない。田頭とエドの所でエネルギー使って前進できるのは良いが、インテンシティが落ちてきた時に補完しきれていないのが気になる。あとは、サイドを抉ることはできるものの、中央を通す縦パスはあまりなく、相手としても外回しに追い込めば良いといった対応をされる。途中出場した高澤と佐川のボールタッチの回数はかなり少なかった。点が取れるようになるには時間が掛かりそう。そして時間を掛けて解決できるかも分からない…。

 1ポイントを積んだこと以外に得たものはかなり限られており、ポジティブな要素を見出すことは難しい内容。それでもシーズンは有無を言わさず続いていく。辛抱強く取り組んだ先に得るものはあるのか。何とも言えぬ感情を抱きながらも、次節に向かう。

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