難透難徹 vs長崎 1-2

 大量失点での惨敗からどの程度修正されているかが試される状況下だったが、その前の焼き増しのような試合展開で敗れた前節。開始6分で色々悟り始め、最初の20分で試合のコントロールする術を喪失した。相手の出足が緩くなったことで攻め込む回数こそ増えたが結局仕留められないまま、反対に甲府は1つの隙すら見逃さずとどめを刺した。
 ミッドウィークにはルヴァンカップ2回戦を戦うも、柏に完敗。メンバーは大きく入れ替えていたとはいえ、簡単に楔のパスを出されて局面打開されることが多かった。アマが恐らく脳震盪で負傷退場しており、その点も気がかり。

 リーグでは2試合連続で4失点を喫している中、今シーズン2度目の勝利を目指して挑む今節の相手は長崎。前節を終えての順位表では2位に着けている。
 2シーズン率いていたカリーレ氏の契約のゴタゴタがオフシーズンに発覚し、結局カリーレ氏は来日せずにサントスの監督に就任。大混乱に陥るかと思いきや、海千山千の下平氏が新指揮官となったチームは開幕から好発進。4-3-3を基本とし、個々のクオリティで殴る。中盤は逆三角形、底にて秋野が舵を取り、IHの加藤とジェズスが運動量とクリエイティビティを見せる。増山と笠柳のウイングも推進力があるし、頂点はエジガルジュニオとフアンマのどちらかが構えるので破壊力抜群。最終ラインでは柏からレンタル中の田中が完全に開眼。育成年代から日の丸を背負ってきたDFは出場機会を得ることでスケール感が大きくなっており、守備時の対応と元々の足元の技術が相俟って充実の日々を送る。秋野がサリーダする形も持ち合わせているので、秋野と田中のレフティが最後尾からゲームメイクすることもある。

 中盤の強度で上回られて陣形崩れた状態でロストし、そのままゴールまで持っていかれる場面が頻発。なかなか前進できずにいるので、何かしらのテコ入れはあるか。


メンバー

 ウチは前節から3枚変更。田頭→酒井、風間→玉城、和田→北川。大畑をRWBで使い、酒井がCB。アマは恐らく脳震盪のプロトコルに則りメンバー外となったが、カップ戦でのアピールを経て玉城がスタメン、ベンチには竜士や菊地などが久々に入る。

 対する長崎はウノゼロで勝ち切ったフリエ戦からノーチェンジ。9戦負けなし、目下4連勝中であって、流れを継続したいはず。

前半

 直近のリーグ戦2試合連続で開始早々の失点を許していたが、この試合ではウチが最初にチャンスを作る。

 2分、右での前進をキャンセルして最終ラインで作り直したところから。中塩→エド→玉城とテンポ良く繋がり、玉城は平松の動き出しを見つけて差ラインの後ろにボールを送るが、ここは櫛引に返される。ただ、セカンドを北川が回収し、左足でクロス。これもニアで櫛引が頭に当ててコースを変えたが、跳ね返りのハイボールに勇利也が競り勝つ。そのボールに平松が反応してコースを変えた。しかし、シュートは原田に防がれる。
 時間帯を考慮してのシンプルな展開を用いながら、決定機まで持っていった。勇利也がPA内まで絡めているのは良い兆候。

 が、2度あることは3度ある。6分、長崎の最初のCK。加藤のインスイングのボールが城和と北川を越えていくと、ファーでジェズスが頭で合わせる。このシュートが中塩に当たってコースが変わり、ゴールネットを揺らした。

 こうなるとその後どのような展開になるかも予想できた。9分、長崎のあっという間の追加点。最終ラインの櫛引がノープレッシャーの状態で右の増山にフィード。増山はフェイントでカットインを匂わせつつ、深めの切り返しで強引気味ながらエドと中塩を剥がして縦に突破。そのまま水平方向にボールを入れると、ニアでエジガルが合わせる。そのボール自体は酒井の脚に当たって横に逸れるも、こぼれたところをジェズスが難なく詰めてドッピエッタ。

 難なく2つのリードを得た長崎は戦前のプラン通り、ある程度の省エネ。ウチがミドルサード以降で前進する術が乏しいことを考えてプレスの開始点を低くしてボールを持たせた。
 案の定、ハーフウェー超えた辺りで停滞して作り直す→段々と陣形を押し下げられる→長いボールを蹴らざるを得ずにロストという場面が多くなる。
 一方で、左サイドは攻略の兆しがある。出場するたびに単騎での前進が計算できていたエドだったが、この試合では近くに北川がいた。2人の距離感とパスのタイミングは問題なく、北川がハーフスペースで相手IHの背後を取るので1つのポイントを作れた。

 28分、ウチが1点を返す。大畑が自陣で笠柳に対してアプローチして後ろに下げさせる。そのパスが内側にズレたところを平松が見逃さずにスプリントしてマイボールにする。平松は田中に身体を寄せられながらも勇利也に繋ぎ、勇利也は左に走ってきた北川へ。北川は1stタッチでモヨのベクトルを折り、身体を上手く寝かせながらニアに流し込んだ。
 プレスで嵌めてそのままゴールまで持っていった。北川の働きは流石だが、ここでも勇利也が押し上げてゴールに絡んだのはポジティブ。

 その後も少しずつ敵陣には入れるようになっており、最少得点差で折り返す。

後半

 後半になっても左はモヨと加藤の脇の所で北川とエドがボールを出し入れしていく。また、右の大畑と佐藤もローテーションしながらPA角まで取れるようになっていった。しかし、なかなかクロスがゴールに結びつかない。

 65分にウチの決定機。ハーフウェー付近でボールを持った中塩から左のエドへ。直前の投入されたギリェルメのプレスが全然限定されておらず、エドは前に運びながらハーフスペースに入っていた北川とワンツー。再びボールを受けたエドはワンタッチで中央へ。バイタルに入ってきていた玉城がボールを受け、右から寄せに来た秋野の股を通して佐藤に繋ぐ。最後は佐藤が左足で狙うも、ミートしきれずGKの正面に飛んだ。

 その後もサイド起点でファイナルサードまでボールを運ぶことはできたものの、要所でノッキングしたりクロスが合わなかったりとゴールには至らず。

 スコアを動かせないまま、1-2で90分を終える。

雑感

 相手との噛み合わせはあるとしても、IH北川とエドのコンビネーションは見事だった。ずっとそこを狙い撃ちすることで対峙するSBをあわや退場にまで追い込んだ。ここから勝点を積んでいくためにも、フィニッシュまで至る場面を作りたい。

 しかしながら、負けたという事実はこの試合でも変わらない。そろそろ何らかの手を掛けないと、手遅れになるのではという漠然とした不安も残る。少しずつ形になってきたハーフスペースの使い方の部分を足掛かりに、チームが好転していくことを願う…。

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