スーパーマーケットの燕の巣と4人のオジサン
第1章 二人のおじさん
2010年頃私は福光という場所のスーパーVさんの軒先をお借りしてメロンパンの移動販売車で定期催事販売をしいたオジサンです。
毎週土曜日の朝10時から夕方5時までこのスーパーが私の売り場であった。
毎年このスーパーに巣をつくる燕がいた。
ある日の午前中、一人のオジサンが話しかけてきた。
「今年も巣ができて嬉しいねー」とニコニコしていた
このオジサンは毎年ここにできる燕の巣を楽しみにしているお客様だった。
そしてスーパーに入りお惣菜を数点購入し頭上の巣を見上げて帰っていった。
その日の午後一人のオジサンの声がした。
「巣ができて困った、困った」
この人はこのスーパーの管理人さん。
毎日施設の掃除をしている。
二人のオジサンがこの巣をそれぞれの思いで見ている事がわかった。
私は翌週またここを訪問した。
燕の巣がなくなってしまっていた。
午前にやってくる燕の巣を楽しみしていたオジサンは「今年もだめか カラスや」と言ながらお惣菜を数点購入し頭上を見上げ燕の巣があった場所を悲しい目で見上げ帰っていった。
午後にやってくる燕の巣に困っているオジサンは「カラスも生きんなんしね」と言い巣の下を掃除していた。
第2章 翌年
翌年も同じ場所に燕の巣ができた。
燕の巣を楽しみにしているオジサンは、今年も巣ができたと喜んでいた。
そして燕の巣が迷惑なオジサンは、今年も巣ができたと困っていた。
今年もこの二人のオジサンを見るのかと思った。
このオジサン達の話をスーパーの中のうどん屋の店主のオジサンに話した。
するとうどん屋のオジサンは「あの巣を壊すのはカラスではない」と教えてくれた。
巣の下に散乱する糞などが汚いと以前お客様からクレームがありそれ以来施設が卵が生まれる前に撤去している事が分かった。
燕の巣から落ちる糞が汚いと嫌がる人が多いらしい。
人間が自然の摂理に手を加えていた事が分かった。
第3章 人の知恵
その日は燕の巣を見ながら私は考えた。
燕がここに巣をつくる理由ははなんだろう?
きっとこの建物の構造だ。
その日の午後に巣ができない方法を構造を考えたらどうでしょうと、うどん屋のオジサンに話した。
翌週、燕がいつも巣をつくる軒先の出っ張りにカバーがついていた。
これぐらいは自然の摂理に人間の知恵で逆らってもいいと思った。
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