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経済的に破綻した翌月に子供が生まれた夫婦の話し。(その14)村下会長のピンチを救った男

 この物語は私達夫婦が13年前から今までに経験した実話を基に、登場人物などは架空の設定で書いております。
また内容も一部脚色しておりますので全てが正しく記載されておりません。

私達夫婦はこの物語を通じてたどり着いた心境をお伝えし、皆様のお役に立てればと考え、二人で相談をしながら書いております。


 私が知る限り常に絶好調だと思っていた新住宅株式会社の内情が火の車、倒産寸前だった聞き驚きました。
 その原因は村下会長自慢の自社ビル。
その建設費用が重く圧し掛かり毎月の資金繰りが圧迫した。
そして拡大路線で進出した中部圏の各支店が赤字だった上に、会長の強い地元への愛で再建に乗り出した獅子吼の開発に失敗してしまい、三重苦でまさに崖っぷちだったと話しだしました。
周りからは華やかに見られていたが、実態を例えるなら深い傷をおい大量の出血状態。血は止まらずに、輸血も足りない。
村下会長は経済的にも精神的にかなり参っていた言ってました。

 そんな時、落ち込んでいる社長に一人の若手営業マンが提案にきたそうです。
その営業マンこそ鮒男。
鮒男は、全社の営業マンを一か所に集め ※決起集会 を行いたい。
そして営業マンには100%ノルマ達成という目標を打ち上げたい。

入社年5年目の鮒男からの提案

 決起集会を金沢で開催し、やる気のある若手営業マンを集めたい。
不採算の支店の営業マンは心が折れている、やる気がない。
だから新しい空気をいれて仕事に情熱を持たせたい。
住宅が売れていないのは心の問題です。
そう力説する鮒男。
そして北陸エリアにやる気のある営業マン集めたい。
集中的に富山、石川、福井に導入し、知名度がある北陸3県で営業をおこない「毎月全員が一棟受注をノルマにする、それを達成させる」と言い切ったそうです。

この提案を聞いた村下社長も「元気をもらった」と言っていました。

すぐに「わかった!どうせなら有名な割烹店の宴会場を貸し切りって、全員で酒を酌み交わしてそれをやろう」「決起集会が送別会にならんように頼む」と鮒男と握手し「やれっ!」と快諾したそうです。

決起集会は大成功。
村下会長も大いに吞み喰い騒ぎ、役員、社員、パートまで全てのスタッフが一つになったと実感したそうです。

その結果でしょうか順調に受注がとれ、当面の事業資金に目途がついたそうです。

そしてこのタイミングで別の問題が発生したため、せっかく受注した注文の納期がおくれそうになったそうです。

村下会長の会社は個人向け注文住宅専門のビルダーです。
一棟毎に骨組みの柱を図面のとおり切り出す自前のプレカット工場をもっています。
この自社プレカット工場が経費を抑え、一棟あたりに高い利益を生み出す仕組みになっていました。
これから復活だ。まさにこのタイミングで、プレカット工場の工場長が体を壊し離職してしまい、注文の納期に遅れが生じたそうです。

このピンチに立ちあがってくれたのが工場で勤務していた数名のパートの主婦さんたち。
一緒に決起集会で騒いだ効果なのでしょうか?妙にやる気があったそうです。
「ワシの あげまん はこの主婦達や」といい笑いを誘う村下会長。

「最初はなおっかなびっくりや でもな、やっていくうちのどんどん仕事を覚えて、腕前が上がったや。鉋(かんな)なんか職人のようになったし、
うすーく削るんや動きがさまになってるや。」と村下会長は鉋がけの真似をし楽しそうに当時を思い出していました。

この勢いで村下会長はピンチを乗り切ったのです。
そして自分のストロングポイントを強化するため 獅子吼の開発と利益が少ないこのパットパットゴルフの営業をやめ住宅の仕事だけに注力したと話してくれました。

なのに今また此処をもう一度復活させたい。という夢を語りだしました。
私は、なぜまたこのパットパットゴルフ場を?と思いながら話を黙って村下会長の夢を聞くことにしました。

つづく



※決起集会は、プロジェクトの成功のため勢いをつけるために行われる飲み会
決起集会は開催の目的は「プロジェクトに挑戦しよう・やろうと決めたことに対して集まった人々が、成功に向けての士気を高め合う」ことが目的。


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