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今年の目標を立てる前に、編集者としての3年分の仕事を振り返ってみた。

2019年の仕事はじめ。やらなきゃいけないことと、やりたいことを整理して、目標を立てるぞ……!

と思ったけど、その前に、2018年なにやったっけ……? ってところで一瞬止まってしまった。そういえば、いまの会社に入社して編集の仕事を始めて3年が経っていた。どうせなら、3年分の仕事を改めて振り返りながら、3年でなんとなくわかってきた気がする「編集ってなんだ?」というものをまとめようと思う(これ、ほんとは年末にやりたかったやつ)。

いまの会社でわたしの仕事は、大きく分けて二つある。それは、他社の仕事自社の仕事。他社の仕事とは、他の企業さんからフィーや予算をいただいてする、いわゆるクライアントワーク。自社の仕事とは、会社の予算を使ってあれやこれやをして、利益を出す仕事。3年分の自分の稼働で考えると、比率的には8:2くらいだろうか。それぞれ振り返ってみる。

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他社の仕事その① WEBメディアのコンテンツ制作

「本屋(SPBS)」のイメージが圧倒的に強いうちの会社だが、事業の軸は「企画編集」。わたしが所属する編集部もいろいろな仕事をしていて、その中でも割合が多いのは「企業のオウンドメディアのコンテンツ制作」。

わたしが3年間がっつり関わらせていただいたのが、日本コカ・コーラ社のメディア機能を兼ね備えたコーポレートサイト『Coca-Cola Journey』。3年も担当しているので思い出深い記事がいっぱいで……。

入社初日に、「大学生のデートコース考えて」と振られたこんな企画とか(五百田達成さんにコメントもらえて嬉しかった!)、

大好きな作家の山内マリコさんに執筆してもらえた短篇小説企画とか、

社史をわかりやすくイラストを用いて紐解いていく歴史連載企画とか(大変だった…)、

東京オリンピック×「コカ・コーラ」というビッグなテーマで、あのベテランノンフィクション作家の野地秩嘉さんに執筆いただいた企画とか。

膨大な資産を持っている会社なので、どうやったらそれを活かせるか? 誰でも知っている「製品がおいしい」以外の、「イノベーションの創出」「地域貢献」「カルチャー創生」などの企業価値を、どうやったらわかりやすく、おもしろく伝えられるか? をトコトン考えた。オウンドメディア だからこそ、他メディアにもできるニュース性の高い情報の掲載ではなく、「眠っている資産を掘り起こし、別の角度から光を当てることで、ユーザーに企業の新しい顔を見せること」「裏側で働いている人の顔と思いを伝えること」が大切なのだと教えてもらった。

他社の仕事その② 紙メディア

WEBが増えているとはいえ、紙メディアもいろいろつくらせていただいた。ジャンルはバラバラで、自治体の広報誌とか、商業施設のフリーマガジンとか、飲料メーカーの製品リーフレットとか。

特に印象深いのは、入社前から携わらせていただいた某音楽会社の社内報。大きな会社になればなるほど、上も下も右も左も、お互いの声が聞こえなくなるということは前職で痛いほど知っていたから(笑)、できるだけトップの考えていることがわかりやすく届くようにに、隣のフロアにいる人の顔と人柄が伝わるようにと、わかりやすさと親しみやすさと透明性を意識して取り組ませていただいた。光栄なことに、会社にとっての転換期に社長や取締役の方々などのお話を伺うことができたのも、いい経験。

このとき考えたことは、いま、自分の会社で新規事業に取り組んだり、チームをマネジメントするときにも生きている気がする。

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自社の仕事その① 自社出版物

入社して以来、自社出版物にはまだ一つのプロジェクトにしか取り組めていない。でも、すごく貴重な経験になっている『ATLANTIS zine』。『TRANSIT』前編集長の加藤直徳さんがあたらしい雑誌を創刊するまでの過程を、全6号のリトルプレス(ZINE)で追っていくというプロジェクト。

加藤さんの想いは、この記事をぜひとも読んでいただきたい!

ZINE自体の編集長は加藤さんで、わたしはプロジェクトリーダーとして、加藤さんの編集サポートと、社内のチームと連携しながらの販売計画策定・PRなどを担当。ベテラン雑誌編集長の仕事を肌で感じながら、つくるところから売るところまで一貫して見ることができたのは大きな財産。

それから、加藤さんから雑誌づくりを教わる「雑誌編集ラボ」の企画・運営もした。いまなら「コルクラボ」での学びを活かして、もっといろいろできたかもしれない……!という思いはあるものの、完走できてよかった。

そして何より、ZINEが全号完売して、しかもその後に発売された新雑誌『ATLANTIS』もうちの書店ですごく売れて、ほんとうによかった!!! 本はつくるのも売るのも大変だということがよーくわかったし、その分売れたときの喜びもひとしおだということを知った。

自社の仕事その② 自社メディア

昨年1月に立ち上がった自社メディア。編集体制が途中で変わったり、いろいろと試行錯誤中だけれど、夏頃からはコンテンツ制作や運営への関わり度を増やしているところ。秋以降徐々にコンテンツ数も増えてきて、少しずつ読んでいただける人も増えて、これから……! 外部編集長の竹村俊助さんとWORDSのみなさんと一緒に、他社さんのメディアで学んだことを存分に活かしていかないとなぁ。

憧れの平野啓一郎さんへのインタビューは、2018年で一番緊張したし、一番嬉しかったお仕事かもしれない。

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それで、編集者の仕事って?

ほかにもちょこちょこ、イベント企画とかをしてきたけれど、ジャンルや媒体、対象や形態を問わず、この3年間でほんとうにいろいろな経験をすることができたなぁと改めて。

いろんなものを「編集」してきて思うのは、編集というのは、「世の中にすでにあるさまざまなモノを、掘り起こしたり、集めたり、組み合わせたり、削ったりしながら、新しい価値をつくりだして、届けていく」仕事で、編集者とは、「一人では何もできなくて、作家さんもライターさんもカメラマンさんも書店さんもエンジニアさんもデザイナーさんも、とにかくたくさんの人たちが一番力を発揮できる場づくりをしていく」人間なんだなということ。

そんなことが、3年かけてようやくわかったところで、さあ、わたしは今年何をしよう?

……というのは、また別の機会に書くことにします。おやすみなさい。

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