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のびしろしかないわ。

私は今年、本厄だ。

前厄だった2023年。
体調面で不安な時期を過ごすことが多かったり、仕事で厄介ごとに巻き込まれたり、そこそこ色々あった。

今年は本厄だから、こりゃまずいぞ。
そう言ったのは私ではなく夫の方で、私の厄を吸い取ったのか、流行病に2つ罹患した彼は、強めの厄払いを切望していた。

そんなわけで。
2人の休みがあった昨日は、厄払いに行ってきた。初七日を過ぎても、大きな寺院は平日のわりに人が多い。11:30から行われるご祈祷には広い本堂の畳が埋まるほど、人が詰まっていた。

やや待つと、若いお坊さんより「予定時刻より開始が少し遅れる」とマイクを通してアナウンスがあった。その左手首には、Apple Watchらしきものが光っている。おぉ、ナウなお坊さん。よく見れば本堂の両サイドにはどデカいスピーカーがついていて、ライブハウスを彷彿とさせる。ここはハコか。

5分ほどおくれて、護摩修行がはじまった。
事前説明で「最後の合掌をする部分(詳しくは忘れてしまったが)以外は自由な姿勢で良い」と案内があったけれど、儀式が始まると自然と姿勢を正してしまう。慣れない正座に足が痺れないか気になって、終始足指をもぞもぞしていた。

大太鼓がドドンと響き、前方両サイドで2人のお坊さんによる儀式が始まった。お札がくべられた火はどんどん大きくなり、その火の粉は前に座すお坊さんの頭をゆうに超えた。

左のお坊さんの方が声が大きく、右のお坊さんのお経がかき消されているのが気になったが、徐々に大きくなる太鼓の音でその邪念は消えていった。

最後に合掌し、儀式がおわると、順に護摩修行で焚かれた火の煙を浴びて退出するよう指示があった。みんな思い思いに、体に煙をつけてゆく。私も全身に行き渡るように煙を手繰り寄せ、特に頭は念入りにつけておいた。

退出後、お札を受け取ってすべて終了。
きちんと儀式に参加するのは2人とも初めてで(厄年ではない夫は「身上安全」祈願で参加)、しばし儀式の感想を興奮気味に語り合った。

お札に記された氏名を見て、「すごい、めちゃくちゃ上手に書いてある!」と興奮する夫を「当然だろ」と冷たくあしらってしまったので、今年はもっと優しさを意識しようと思う。

お寺を出る前におみくじを引こうとしたが、なかなか見当たらず、本堂の周りを3回ほど巡ってようやく見つけた。100円ちゃりんのガラガラポン。出た数字の引き出しを開けると紙がくしゃくしゃに折れていた。

凶。しかも夫婦そろって凶。
失せ物は見つからない、引っ越しも良くない。人とはトラブルになりがち。ザ厄年!黙っておみくじを結びつけ、ささっとお寺を後にした。

こんな時の昼ごはんは、なんだろうか。
ここまできたら何か縁起の良さそうなものを食べたい。付近の名物うなぎを探したが、あまりに値がはる。縁起が良いもの、験担ぎ、かつぎ、かつ……カツ!
その時、心はカツに決まった。

駅ビルにあるチェーンのカツ屋さんは、ご飯と味噌汁とキャベツがおかわり自由。ロースの油がつらいお年頃だが、カツ一口にキャベツを口いっぱい頬張ると、不思議といくらでも食べられた。最初のキャベツを平らげて、おかわりキャベツも秒で消えた。

こんな日にはカツが美味いのは相当嬉しい。
ありがとう、カツ。

運勢最悪厄年の始まりだけど、ここが底辺ならあとは上がるしかない。そう話す帰り道、夫婦は高らかに歌った。そう、Creepy Nutsのごとく。

のびしろしかないわ!

のびしろに期待する、2024年。
さぁ、好きなように生きるぞ。


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