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結婚式は誰のもの

せっかくの有休なのにまた会社のメールを開いては見て、小心者な私は、面倒になりそうなやつには返信までしている。性格上じっとしておれずせっかちでもある。

せっかくの、という言葉がつくとなんだか残念な思いがしてくる。せっかくのお休みなのに、せっかく天気がいいのに、せっかくいい会社に入れたのに。だからなんだというのだ。

でも、不意にメールチェックしてしまう自分がなんだか情けなくもあり、嫌になりそうになり、仕事だけの大人にはなるまいと思っていたのになぁと話を大っきくして解釈している。

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悶々と晴れない気持ちなのは、楽しみにしていた旅行がキャンセルになったからだろうと思う。

3/11に東北に旅行の予定を立てていたのだけど、相方が熱を出して、やれ検査だ、ご飯と寝る部屋は別々だと、それなりにバタバタして緊張感もあって大変だった。結果、陰性だったものの、相方はひどく喉風邪をこじらせ「誰?!」というような別人のハスキーボイスになってしまった。泣く泣く旅行はキャンセルした。相方さんはそれなりにお仕事を頑張っている人で、頑張った成果で旅行券をもらい、それでもって東北に行こうということになっていたのだったが、2日前までなら返金もあるという事で、この有休でキャンセル兼払い戻しに行ってきたのだった。

いいことなかったなーと落ち込んでいると、移動中の電車の中で、岸田奈美さんの、テイクアンドギヴニーズに掲載されている記事を見つけた。電車なのに泣いた。いいことあった。

https://www.tgn.co.jp/essay05/

人は感動すると共有したくなる。感動すると元気が出る。

この記事に感動したのは、私も結婚式のことを考えていたタイミングだったからかもしれない。

お付き合いして丸4年、入籍は今年の1月だったからまだ俗に言う新婚さん!なのだけど、一緒に住み始めてから丸3年もすると、新婚感はまるで皆無だ。新婚と言えば、入籍と共に同棲を始めて、すっぴんの眉毛のない私なんて見せられない恥ずかしい!!という初々しさを伴うものだと思うので、そういう意味では、新婚さん、、、てなんだっけ状態である。

結婚式…どうしよう。どうしよう、というのは、やるはやるでも、なんだか踏ん切りというものがつかないという気持ちに近い。

この記事を読み終わり、こっそりと涙を拭い、ふと気づいたのは、「昔に戻って、あの時のしんどい感情に、いやでも向き合うのだな」と薄々、心のどこかで気付いていたからかもしれない。

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私の家族には、かれこれ1年、音信不通の妹がいる。家出も同然家族の元を離れてしまった。

LINEは既読にならず、一方的に送るメッセージだけが虚しく溜まり、電波の届かないところにあるか電源が入ってないですよという機械的なアナウンスにも慣れた。音信不通というやつは、この1年の話の結果ではない。私が上京してから今の期間とほぼイコールであるから、かれこれ12年の年月の積み重ねから生まれたものであり、その間の不和と言うことになると、あぁもう時よ止まれと思う。

そんな家族がいることは、決して妹1人という個人事ではなくて、家族全員のことだった。お母さんが悲しみ、お父さんが激痩せし、お兄ちゃんが何度か妹を危険に晒す窮地から救う、みたいな、できれば出会いたくない様々な場面をくぐり抜けてきた。

妹に会えないという、漠然とした悲しみは消えるものではないと思うが、このまま家族がなんとなく気持ち悪いまま、消化不良の気持ちを抱えたまま過ごしてはいけないと思う。家族だから、それぞれの幸せを願いもするし、一方でどうしようもない窮屈さや、難しさもある。

妹のことを綺麗さっぱり無かったことにして次に進むのではなくて、一つのこととして受け取るために、どんなにちっちゃな式でも、言葉が足りなくても、伝えないといけないことがあるような気がするので。


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物事の「けじめ」というんでしょうか、楽しみだったことがなくなった時の気持ちや、ずっと心の中に残ってるしこりやわだかまりの根源について、自分なりの区切りを付けることって私はすごく必要だと思うんですよね。

例えば今回の旅行だって、以後牛タン屋さんの目の前を通るたびに、「仙台の地で食べる牛タンはどんなに美味しかったろう」と熱を出して苦しんだ相方さんの隣でいつまでもグチグチと言いかねないのは元より(たまったもんじゃない)残念だった、ツイてない、自分の行いが悪かったのか、などの心に溜まる檻のような気持ちは、きちんと処理してあげないと、いつか行き所を無くして、しまいには心の不感症になると思っている節があるんですよね。

だから。落ち込む、悲しい、切ない、泣きたい、1人になりたい、をちゃんと咀嚼して整理して、断捨離してあげると、まぁ美味しい飯でも食うか、になり、喉が痛くても食べられるプリンでもデザートに買って行こうか、となる訳なのです。

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題名の答えはまだ出ないので、相方のハスキーボイスが治った暁には一度、プランナーさんの元へ行ってみようかなと、とりあえず旅行の断捨離が済んだ今日なので。



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