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020.映画とその周辺。雪のシーンが美しい「ゴールデンカムイ」

週一で映画に行くのが楽しくなって、つい誘われるままにシネマイレージのカードを作った。6回観ると1回タダになる。そして火曜日も1,300円で観られる。今週は水曜が春分の日で祝日なので、せっかく無職なんだもの、と火曜日に出かけた。「落下の解剖学」に行こうか迷って、レビューを読んでちょっとやめておこうかな、と。それでスルーしていた「ゴールデンカムイ」のチケットをクリックしてしまった。

アニメは第一期を見た。主題歌がMAN WITH A MISSIONの「Winding Road」と発表されて存在を知った感じ。第二期以降になると、どうしても週一、30分のアニメを見続けることができず、見たり見なかったりしているうちに離脱。ただマンガはアプリで全巻無料のキャンペーンの時に、スマホで全部読んだw 面白かった。

映画をスルーしていたのは、マンガで充分面白かったし、その原作から逸脱しておらず、同様の面白さ、と聞いたので、ならば観る必要ないか、と思ったから。結局、実写化されたアイヌ文化に興味があったし、主題歌のACIDMANの「輝けるもの」を映画館で聴くのもいいかなと思い直した。

「ゴールデンカムイ」監督: 久保茂昭 原作: 野田サトル 2024年


1904年の日露戦争、203高地の雪の中の白兵戦で始まる。120年前だ。ここで杉元が「不死身の杉元」と言われる所以(ゆえん)が表現され、後に出てくる何故お金が欲しいのか、の伏線になるシーンも。ロシア軍とのとてもスピーディーで見応えある戦うシーンが続く(日本が戦争をしていない時代に生まれてよかったとつくづく思う)。戦争終結後、一攫千金を夢見て砂金を探している杉元に、とある男が奇怪な隠し金の話をはじめることで、ストーリーが動き出す。アイヌの少女アシリパ、脱獄王の白石、尾形、谷垣、鶴見中尉、土方、牛山等々、主要キャラクターが次々と登場。陸軍第七師団と土方歳三一派、そして杉元たちでのアイヌの隠し金争奪戦がスタートする。

物語は荒唐無稽なのだが、アイヌ文化をしっかり描いていることで、リアリティが保たれ、嘘くさくなく楽しめる。そこがうまいところだな、と思う。アイヌの村のシーンもよかった。素朴で好奇心旺盛な子どもたちや、アイヌ語を話すおばあちゃん。博物館だと展示品をガラス越しに眺めるだけになりがちなので、アイヌの衣服を着て、暮らしている全体を美しい映像で動きをもって見られるのが良かった。
山にも街にもどのシーンにも雪があって、自然の中で、北海道で、暮らしている人の姿が描かれている(うまく言えないけど、書き割りやハリボテみたいなセットじゃなく丁寧に撮影されて背景を感じる)ので、それもリアリティを補強していたし、美しかった。

登場人物はキョーレツな変人・変態オンパレードで、男ばっかり。女性陣はか弱い梅ちゃんと、可愛いアシリパ(変顔はするけど)。トシヨリも男性はエネルギッシュな土方なのに女性は巫女のようなフチ。時代的なこともあるし一つの映画の中では仕方ないかもだけど、もっと激しく面白く主人公として活躍する女の話があったらいいのにな〜と小樽の小競り合いのシーンを見ながら思ってしまった。女の人にあまりキョーレツな変態がいない、と言うのもあるか…。
映画はマンガの3巻の途中までで、続きはWOWOW。観る前からそれはネットニュースで知っていたので、得心していた。それに関わらず、一本の映画として完成し完結できているのではないかと思う。有料チャンネルには入らない!って決めてるので、続きはいつか地上波でやってくれるまで待つわ。インカラマッの怪演に期待。

キャストが発表された時はブーイングされていた山崎賢人さん、健闘されていたと思う。アクションは面白く見たし銭湯シーンの肉体にも説得力があった。が、普段の杉元は、時々、内省的で繊細に見えた。賢そう。マンガの杉元と違うよう。あと、気になったところをいくつか。クマが出てきた時の足音はゴジラが出てきたんかと思った。ちょっとやりすぎのような。オオカミの動きも多少違和感。人皮もすぐ剥げちゃうし、なめされてるし。…あまり細々言うのもアレですね、総じれば面白く楽しめた映画だった。
エンドロールも楽しく、どこで「輝けるもの」鳴るんやろ?と少し心配になってしまった。ちゃんと聴いて帰ってきました。


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