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短文事例問題集の解き方に関する一提案

はじめに

 こんにちは!しまだと申します。
 本記事をお開きいただき、誠にありがとうございます。

 R5予備試験合格後、ありがたいことに勉強法に関する質問を複数受けております。

 自分としては「これくらい当たり前なのでは?」と思うような情報でも驚いていただけるので、そのことに当方も驚いております。
 そして個別に情報を提供するよりも、広くNoteで提供したほうが皆さんに知っていただいていい(かつ質問を個別で受けたときに「この記事参考にしてくださいね~」と言いやすい)と考え、本記事をアップすることとしました。

 本日はタイトルにある「短文事例問題集の回し方」という、初学者から中級者にかけての方が悩みを持たれている問題について一意見を述べていこうと思います。
 ただし下記まぞくさんの極めて明快有益な解説記事もありますし、もはや語り尽くされていることもあるため、本記事から新たに学ぶことは少ないかもしれません。

 それでも書きたい(しかも賢しくも有料記事で!)と思ったのは、「法律の勉強が苦手だなあ」と思い勉強してきた私ならではの視点が、悩む受験生の方にも共感・参考にしていただけるのでは?と考えたからです。

 また、合格メソッドを全て詰め込んだわけでもないのに価格を割高にしています。
 それは「本気で」論文学習に取り組み人にだけ届いてほしいからです。

 読んでいただいた人には、論文合格への水先案内くらいはできたものと自負しています。

 前置きが長くなりましたが以下から本題が始まります。
 ずばりキーワードは「全体を見てから進め、徐々に強度を高める」です。

【短文事例問題集における獲得目標】

 前提として、本記事で扱う「短文事例問題集」は予備校が各種講座に基づき提供するものに限定します(市販のものはいったん袖においときます)。
 有名どころのうち、私が解いたことのあるものは下記3つです。
・アガルートの「重要問題習得講座」(重問)
・加藤ゼミナールの「基礎問題演習テキスト」(基礎問)
・伊藤塾の論文マスターで扱う「問題研究」(問研)

 どれを選択すべきか、という点についても後日記事にしようと思います。

 上記いずれの問題集においても、およそA、B⁺、Bランク(たまにCランク)の論点に関し、事例、答案例が掲載されています。
 (重問には間に解説もついていますが、解説はしばらく放置しておいていいです。個人的には「答案以外の場所で補足すること=受験生としての立証責任を充たせない『言い訳』にすぎない」と考えて、判例番号を参照する以外は読んでいないです

 これらの問題集を使い、皆さんは以下のことができるようになるよう目指していきます。
①    事例を読み、整理
②    法令に基づく主張や法律構成を適示
③    当該法令を充足するための要件に関する論点についての解釈を示し
④    当該解釈が本事例で適用可能かの判断を示す
 この作業は、予備論文で実際に行う作業としてはほぼ同じです。

 もちろん、短文事例問題集が扱う問題は予備試験過去問に比べると簡単か、初学者でも取り組みやすいように加工してあります(特に基礎問)
 そのため、短文事例問題集を完璧にした「だけ」では予備論文を突破するのは難しいです。
 
 ただし短文事例で扱われている問題集はいずれも典型的な問題が多いです。そのため問題集で典型を「知っておく」ことで、過去問独特の「難しさ」がどういった点にあるのかを知ることができます
 逆にこういった問題集をやらないでいると、過去問のどこに「難しさ」があるのかが切り分けられない恐れがあります。

📒以上をまとめると、受験生は短文事例問題集を通して
「典型的な問題の典型的な処理方法を学ぶ」ことを獲得目標としましょう。


【やってはいけないやり方=悪しき完璧主義】

 先に絶対やってはいけないやり方をいくつか紹介します。

・第1問から解く

⇒民法で言えば総則の94条2項あたりの問題、刑法なら不作為犯や因果関係あたりの問題から始まると思います。
 ただ司法試験関係の論点というのは、必ずしも一番頻出の問題が「第1問」で扱われるとは限りません。
 例えば「民法で一番頻出な大きな分野は?」と言われて総則を答える合格者はそういないと思います。あくまで債権や物権などの各権利がメインであり、総則もその権利の主張の中で取り扱われるにすぎません。

📒なるべく典型の問題から始めましょう(方法は後ほど)


・一つ目の問題を最初から全力でやる

⇒この場合の「全力」は、以下で示す各フェーズを一つ目の問題から一気にやることです。
 具体的には、事例を読み答案構成をする⇒自分の構成と答案例との比較をしっかり行う⇒取り扱われた論点に関する補強をすべくインプット教材を復習する(人によっては予備校の講義からさらに基本書、判例集、別の問題集、副読本、、、、、)
 このやり方は、1日10時間の勉強体力があり、かつそれを毎日継続できるような「鉄人」にのみ資格があります(たまにできる人がいるので無下に否定ができないのも痛いところ)。

 普通の人がこれをやろうとすると、まず着手した5~10問程度で限界が来る、そのあとの問題で息切れして習熟度にムラが出る、最悪の場合その問題集をやり切れない自分に嫌気がさして問題集を浮気する、などの副作用が生じます(いずれも私は経験済み)。
 そんなに辛いやり方をする必要がない、というのが今の私見です。

📒むしろ挫折しにくいやり方で問題を全体に可能な限り満遍なく取り扱う、これこそが短文事例問題集のやり方としての王道と考えます。


【本題~提案する方法】

 いよいよ実際のやり方を説明していきます。
 提案する方法には大きく分けて3つのフェーズがあります。

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