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男前の基準を振り返る

歳をとり、誰しもこれまでの恋愛を振り返れば あぁ、あの人が自分にとっての男前の基準を決定した人物なのだ という原点にたどり着くのではないだろうか。
私の恋愛は国籍も年齢も恋愛の内容もバラバラだったが、それでも二人基準になった人が思い浮かぶ。
もし神様に時間と空間を超えて会わせてあげるよ、と願いを叶えてもらえるならば迷わずこの二人に会いに行きたい。

一人はDavid Attenborough(デビッド・アッテンボロー)さん。
BBCの自然科学ドキュメンタリーシリーズでお馴染みの彼は今年97歳。
その功績と影響を讃えられ、エリザベス女王に Sir の称号を与えられた。
サー・アッテンボローは若い頃からテレビ制作に携わってきたが、本格的に自然関係のドキュメンタリーを始めたのは1970年に入ってから。それ以来、自分の道を信じ、自然保護目的のテレビ制作を実に50年以上も続けている。
見た人はわかると思うが、BBCの自然ドキュメンタリーシリーズの色々はスケールが大きく、費用も時間も莫大で、そのメッセージの影響力は計り知れない。

小さい頃から自然が好きだった私の憧れの人物だ。
もしこれからもっと大きくなり、何かを成し遂げる夢を持てるなら、アッテンボローさんのような大人になりたい。
気さくで、聡明で、自然保護という大きな問題に真摯に取り組み、大きい小さい関係なく全ての命を敬い、力強いメッセージを送り続ける。
幼い時に思い描いた素敵なカッコいい大人というのは彼のような人だと思う。優しくユーモア溢れる語り口に自然の知識と尊敬が詰まっていて、未だに子供のように興味津々で聞き入ってしまう。
多分その延長で銀行員や証券マンではなく、教室で若い世代に向け地球の美しさの熱弁を振るう自然科学・昆虫学者と結婚した。

もう一人は高見沢俊彦さん。
もちろん今30年越しに再びアルフィー にはまっているというのもあるが、私が会ってみたいのは80年代半ばの高見沢さんだ。私が中学生の時に下敷きに挟んでいた、ノートに似顔絵を描いていた、テレビに釘付けになった高見沢さんだ。

色んな国で沢山の素敵な男性と出会い、その何人かと恋愛もした過去を振り返ると、私の中の "男前" の原点は高見沢さんにあるのがはっきりした。
美しい外見はもちろんだけど、控えめで寡黙で本を読んでいる、不器用でも何かを始めると一生懸命で負けず嫌いで、ポジティブに前を向いて進む(あくまでもイメージです)。
そしてロマンチックな言葉を綴る。サンマリノ共和国から贈られたKnightの称号がよく似合う美人だ。彼もまた半世紀近く、自分の信じた道を進み音楽を続けてきた。
思春期の自分の世界にはいなかった、才能があり努力をし、賢くロマンチックな美しい男がこの世に存在することを証明してくれた。

私が恋をした男性は総じて色が白く、鼻筋がスッと通り、痩せており、髪が長く、楽器を弾き、負けず嫌いで、読書家だ。そして全員ロマンチックなラブレターを沢山くれた。
私が12歳の頃に高見沢さんの存在に気づかず、誰かチャラチャラしたアイドルかど根性スポーツ選手に傾倒していたらその後の恋愛は違ったものになったであろうことは簡単に想像がつく。
三つ子の魂・・・ではないけれど、多感な時期の私に “これがかっこいいオトコというものだ” と刷り込ませた高見沢さんの存在と責任は重大だった。

二人に会えたとしても何か聞きたい事はない。
ただ “あなたの知らぬところでしたが、私の中の基準となっていただきありがとうございました” と感謝の辞を述べたい。

サー・アッテンボローとナイト・タカミザワ
偶然か必然か、普通の人には付かないような称号がついている。

シマフィー

*過去記事に加筆・修正をして再掲載しています

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