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「苦楽を共にする」と言うけれど。

好きなことは一人でもできるけど、苦手なことは一人ではできない。

パーソナルトレーニングを受けてみて、はたと気付いた。

美術館や水族館を巡るのは私にとってはライフワーク。

初めて訪れる施設の場合や、興味の方向性が近い友達の顔が浮かんだ時、お誘いすることも多々ある。

「あの作品が好き」「あの動物が可愛かった」と、感動をシェアできるのも、相手が対象のどんなところを見ているかを聞いてみるのも興味深くて、好みがまるっきり一致していればもちろん、逆に自分と全く見方が違っていても楽しかったりする。

だけど、もしも相手の真の目的が、その後のカフェでの女子トークだったりしようものなら、好きなものを心ゆくまで楽しむことは不可能に近い。

だからこそ、本当に好きなものは、友人と訪れた後に一人で再訪することも少なくない。

好きなものは案外ひとりで楽しめるものだ。

だけど、苦手なものとなると別である。

ジムのトレーニングも、苦痛を伴う日々の仕事も、励ましてくれるトレーナーや、一緒に考えてくれる先輩や、他愛もない雑談に花を咲かせられる同僚がいてこそ耐え抜くことができる。


誰かと楽しみを共有しづらい世の中になった。

でも、本当に辛いのは、苦難を誰かと伴走して乗り越えにくくなったことだと思う。

苦しい時に「隣にいて」と言えないことが、どれほど人の心を掻きむしるものなのか。

緊急事態の声に包まれる今、考えずにはいられない。




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