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日本感染症学会「COVID-19シンポジウム」個人的メモ

4月18日に日本感染症学会が特別シンポジウム「COVID-19シンポジウム-私たちの経験と英知を結集して-」を開催しました。YouTubeでライブ配信されて誰でも見れたので、気になるところをTwitterでメモしながら聞いていました。

↓演題とスケジュール(PDF)、要旨とかはないです。
https://www.societyinfo.jp/jaid2020/files/programme_20200418.pdf

臨床症例や薬の臨床試験については他に詳しい方がいっぱいいるので、個人的に気になる「市民との関係」につながる、押谷先生の「クラスター解析から COVID-19 の疫学と対応策」と、武藤先生の「専門家の説明責任と市民の行動変容」のところのメモをまとめて書きます。お二人とも新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーです。

<注意>
ライブ配信を聴きながらメモしたものなので、ここに書いたものが全てではありません。そのままの発言ではなく、多少の意訳があります。情報は開催日の4月18日時点のものなので状況が変わる可能性があります。

押谷先生「クラスター解析から COVID-19 の疫学と対応策」

よく会見で出席されているので顔や声に馴染みのある人も多いのでは。

以下、メモによる箇条書き

上気道から検出されるウイルス量は、重症度に依存せず、年齢と相関する。高齢になるほど多い。そのため、軽症者でも周囲に感染させる可能性がある。

最初のころの記者会見などで「若年層クラスター」と呼んだのは失敗だった。青壮年(16〜50歳くらい)はライブハウスなどの集まりで例外的にウイルス量の多い人がいるとクラスターを形成する。中高年(45〜65歳くらい)で特に活発な人は地域での交流や出張などクラスターを形成。高齢者は院内感染などを起こしやすい。
(しましょの解釈:年齢や行動によって集団感染が起きる場所や方法が異なるだけで、年齢に関係なくクラスター形成の可能性がある)

現在4月中旬の感染者数の増加は3月中旬の連休の人々の行動を表していると考えている。発症の報告が3月末から増えており、連休の1週間後となっている。
(しましょの解釈:3連休の油断のこと)

4月11日(?)までの感染経路をまとめたデータ。50人以上感染させたクラスターの半分は院内感染。感染者数増加については、地域内での流行、地域的広がり、院内感染などを見ていく。
(しましょの解釈:クラスター対策は2月26日時点の110人のデータが元になっているが、直近までのデータを集め直したものがあるらしい。そのうち論文か厚生労働省かどこかで公表されるかな)

今後の見通し。行動変容ができれば感染者数を急激に減らすことができる。しかし日本でも世界でもこのウイルスが完全にいなくなることはない。長期にわたって向き合う必要がある。
(しましょの解釈:それはそうだろうなあ)

武藤先生「専門家の説明責任と市民の行動変容」

数年前にちょっとしたイベントでお会いししたことがあります。

以下、メモによる箇条書き

画面越しの座長である大曲先生に向かって「見えてますかー👋」
(しましょの解釈:相変わらずお茶目な方)

医療倫理からの課題:感染していることを前提に話し合っておくこと。標準化された病気の説明、例えば「軽症」という言葉のギャップ。緊急事態下の集中治療のトリアージ。他の診療科と連携した方針策定。

公衆衛生倫理からの課題:私権の侵害と感染症対策のバランス。個人情報やパーソナルデータとプライバシーの利点とリスク。

緊急事態措置がもたらす社会的経済的影響について。統計を使った政策ができることを期待したい。「自宅で過ごす」による安全な居場所を失う人のケア、教育を受けることを念頭においた体制へ。今のままだと何年後にすごい影響が出そう。
(しましょの解釈:「期待したい」と強調したことは、今はできていないんだろうなあ)

スティグマ、偏見、差別について。感染の犯人を探したり責め立てても意味がない。人との接触を減らせない医療従事者や家族への偏見。「うちの県で1例目になりたくない」という意見。院内感染を報道で取り上げたり責めることに何の意味もない、そこはニュースではない。
(しましょの解釈:現に、親が看護師である子どもは引き受けない保育園があるらしいことが問題になっています。あと、結びつきが強い地方だと「お隣さんの〇〇さん感染したらしいよ」「あらやだわー」とかありそう)

受け取りたい情報だけ受け取りたい状況になっている。デマは早く伝播し、正確だが複雑な説明は拡散しにくい。事態が変化して考え方が変わるのは当然で、過去との違いを責め立てるのは意味がない。
(しましょの解釈:最近Twitterのリツイートで回ってくるのは地獄がほとんどなので「リツイートを表示しない」アカウントが増えてしまった)

専門家会議の姿勢や態度に批判があるのは知っている。改善しながらやっていかないといけない。「ウイルスとの戦争」という例えがあるが、現実の戦争では、戦争をかき立てる指揮官は死なずに弱い人が犠牲になる。戦争ではない、インクルーシブなメタファーが必要ではないか。

情報源とその信頼度についてアンケートを実施。情報源の項目で用意したのは、報道番組、新聞、ニュースサイト、都道府県。どの情報源でも、全く見ていない人、全く信頼していない人が一定数いる。そういう人に対して呼びかけるにはどうすればいいか考えて、部活のように立ち上げたのがnoteとTwitter。

noteとTwitterをやっている理由。わかりやすく全世代の人々に伝え、行動変容を促すため。コンセプトは「秒で理解、秒で拡散」。
(しましょの解釈:この2つは、長くしっかり読ませることをそもそも目指していない。「長くしっかり」は他の記事にあるし、そうした記事を読まない人向けと割り切っているらしい)

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今のところアーカイブはありません。専門家の中でも評価が高かったので、もしかしたらアーカイブ配信があるかもしれないし、速報性の高い内容なので情報鮮度の時間差を考えると難しい気持ちもわからなくはないですね。

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