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紐を引っ張って牛タン弁当を温める方法はどんな原理なのか

(2010年12月20日作成)

仙台といえば牛タン。仙台駅で牛タン弁当を買って家で食べました。

ところで最近、食べる直前に紐を引っ張って温められる駅弁があります。これはどういう仕組みなのでしょうか。

ほんのり温かくなる

というわけで実験をしてみました。用意したのは、仙台駅で購入した「網焼き牛たん弁当」、1つ1000円。

外見はこんな感じ。左下には使用方法。下にうっすらと黄色い紐がのびてて、どうやらこれを引っ張るらしい。商標登録で「ナルホット」。

僕の想像では蒸気が出るほどの加熱じゃないかと思い、新幹線の中だと周りに迷惑がかかりそうなので、家でやってみました。では引っ張ってみよう。バシっと。

「ボォォォオッッ!!」

な、なんだ! 一瞬だけどものすごい音が……。そのまま触らずに5分くらい待つとちょうどいいらしい。ところが3分後、気づくと表面のシールが焦げてる。

え、そんなに熱いのか。さらに2分後、そろそろ食べ頃らしい。披露!!

おいしそう(´ρ`*)

けど、うーん、ビックリするほど柔らかくはないんだけど、まぁ駅弁にしてはそこそこ美味しいかな……じゃなくて、これが意外と熱くない。湯気が全然出てなくて、ご飯や牛タンもほんのり温かい。室温の状態で電子レンジで軽く20秒くらいチンしたくらいでした。

生石灰と水の反応熱を利用する

気になるのは、この温かくなる原理。食べ終わって、さっそく上の容器を外してみよう。

発熱ユニット?

表面には、こんなことが書いてある。

発熱剤として生石灰と反応水が入っています。飲食はできません。反応後は消石灰になります。肥料などに再利用できます。30分ほど熱さが持続します。取り扱いにご注意ください

ふーむ、生石灰と水が反応して、そのときの発熱を利用しているのか。

さらに気になったので、この発熱ユニットをはがしてみた。

反応後の消石灰らしい。触るとほんのり温かい。さらにこの消石灰を全部どかすとこんな感じ。

袋が真ん中で割れている。ということは、最初は水が入ったこの袋は紐で閉じられていて、紐を引っ張ると袋が切れて水があふれる。その水と生石灰が反応して発熱する…という仕組みらしいです。

それっぽく書くとこれ。

CaO + H2O → Ca(OH)2 + 64kJ

64kJってピンとこないけど、理論上の計算だと写真の量くらいの生石灰で、コップ1杯の水を80℃くらい上げるくらいの熱量です。消費期限のシールも焦げるわけだ。

ただ、おそらく瞬間的な熱量だろうから、牛タン弁当全体がアツアツにまではならないんでしょう。

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