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知らない間に夏が終わって、

お久しぶりの日記です。本当にお久しぶりだ。
天気の良い日が続いていてワァなんにもせずに寝っ転がりたい!という欲求と戦う毎日です。最近何してるの?て聞かれるといっぱい文字書いてるよとしか答えられませんがつまりそういうことです。がんばります。

最近のことをいくつか。

「君の名前で僕を呼んで」を観た。

夏の北イタリアを舞台に17歳と24歳の青年が織りなすひとつの恋の物語だった。オタク的に平たく言うとBLなんだけれど、これをBLと括るには勿体ない…という1番好きなBLに送る賛辞の言葉を添えたい。
括らないでくれ…でもBL好きなひとも…そうでもないひとも観てくれ…という気持ちになる。そして北イタリア(場所は明言されない)の夏の風景がとにかく美しい。夏の青と緑の光が石造りの屋内に差し込むコントラストは実に見事でカラッとした空気のなか2人の関係は徐々に近づいていく。
終盤主人公エリオに向かってお父さんが話すセリフがこの映画の全てを物語っていると感じた。ひとの心と肉体はたった一度しか与えられないものなんだ。そして───

ユダヤ教における同性愛の立場を考えると日本人の自分が感じる以上にタブーに脚を踏み入れる行為なんだろうなと思うと同時に、そういった宗教的世界観を本当の意味で理解することは出来ないことに世界平和の遠さを感じたりもする。視点が変わればだれだって悪人になるし善人にもなるよね。
吹き替えで観たのだけれどオリヴァー役の方の声が津田健次郎さんでしかもそれ負けないルックス、立ち振る舞いだったことに感動した。

ところで「永遠に美しく」ってあれ百合じゃないですか?

お友達のすり餌さんの画集が刊行されるのだそう。めでたい!
もう、一目見た時からあんまりに素敵で「いますごい良いひとがいて…」と方々で勝手に褒めそやしていた。そんな方の画集が出るのだ。なんにもしてないのになんだか誇らしい気持ちです。
作風の特徴としては蒔絵を彷彿とさせるようなフラットな表現、和風の古典モチーフを扱いつつ、しかしその処理は非常に現代的でシャープであることがあげられると思う。とにかくグラフィックとしての魅力に溢れている。まだまだお若いのにこれほどのクオリティに到達していることに素直に尊敬するし、少しだけ嫉妬もします。話せば人懐っこいけれど本当にすごいひとです。

昨今、絵描きの画集が出版される敷居が下がっていることに思うところがある、というひともいるようですが僕自身はどんどん出版されたらいいんじゃないかなと思っています。常々音楽と同じようにイラストも親しまれ楽しまれて欲しいと願っているので、ミュージシャンのアルバムくらいの立ち位置になっていったら嬉しいなと思いますし、それはつまり2冊目、3冊目だって気軽に出て欲しいという願いに繋がります。もちろん音楽も大好きなのでCDが出るということがどれだけすごいことかも理解した上で…

そういう意味では去年末ごろに発売されたマツオヒロミさんのマガジンロンドは僕の思うイラストレーターの画集として理想の形で感動しました。毎回違った角度で新しい価値を提案することの面白さにシビれますね。

もちろんイラストレーターの本質は受注生産の職人であることは前提として…



https://www.netflix.com/title/21304015

ノッティングヒルの恋人を観た。
年々最新の高解像度!という質感の映画よりややざらっとしたような質感の映像に安心を覚えるようになってきた。これは懐古なのか…?
有名すぎて逆に観たことがないタイトルがいくつもあってこれもそのひとつ。お若い時のジュリア・ロバーツは本当にかわいい。今もとてもお美しいね。
僕はどうも口や手など身体の末端が大きいひとがすきなようで(アン・ハサウェイなど)ニコッと笑った時に(花が咲いたようだ…)というえらく詩的な感想を抱いてしまう。思えば好きなイラストレーターの方々も末端は大きく描くひとが多いような気がする。
簡単に言ってはいけないけれど作品はよくある綺麗にまとまった感じで小ざっぱりと観ることができた。

こういう作品を観るといつも真っ先に主人公の男が誠実な奴かどうかが気になる。創作の中でも現実でも良い奴が好きです。心の底から。

表参道で開催されているまのでまりなさんの個展初日へお邪魔しました。2年ぶり2回目の開催で前回も足を運んで拝見、その時直接ご挨拶したのがきっかけでちょくちょくイベントで顔を合わせたり…という感じだった、はず。(曖昧)
今ノリに乗っているクリエイターのひとりと言っても過言ではないでしょう。スタイルとしては森本美由紀さん的なファッションイラストの文脈を多分に持ちながらオタクカルチャーとの融合をものすごく高度な水準で成立させてしまったひと、という印象。気さくなねーちゃんだけれどものすごいひとです。

特に今回の新作12点ではこれまでよりさらに踏み込んだディティールで今まで登場しなかった動物というモチーフも絡めた上でタロットカード的なグラフィックに落とし込まれているのが圧巻です。
動物を描くこと、とりわけ自身のスタイルに完全に馴染む形でデザインすることは非常に難しい作業になるけれど、まのでまりなさんの1番すごいところは"さもカンタンに描いたかのように見える"ところにある。まるでがんばれば自分にもできるんじゃないか?と一瞬でも思わせる親しさがあるのです。ですが自分がやってみたらびっくり仰天、とんでもなく高度なことをしれっとこなしている。もちろん本人の中での試行錯誤は当然あるものとして、まるでそんなものが無いかのようにイラストは悠々とそこに存在します。それがどれだけかっこいいことか…。
会期ははじまったばかりなのでぜひお立ち寄りください。
僕が宣伝するまでもないか。フフ。

https://x.com/joze_phine_/status/1715586744316510235?s=20

まのでさんの展示を観た同日上野の森美術館で開催されているモネの展示に滑り込んだ。当日の行きの電車の中で要予約であることに気づいてスマホからチケットを購入。良い時代になったもんだ…。
入場は3000円でこれも驚いたけれど本当にモネだけ(100%モネってそういう…)で見応えは抜群。今後この点数、クオリティの展示が開催されることは極めて稀なのではないかと感じました。入場は時間制限が設けられていて時間になればスルッと入場できる模様。ショップは特に制限がかかっていなかったのでどえらいことになっていました。コミケかな…?

モネというと今回は展示されていないけれどやっぱり「日傘を差す女」が有名でしょう。これは3部作となっているのだけれど最初のモデルだった奥さんが32歳で亡くなって以降人の顔がはっきり描かれなくなっていくことにモネの奥さんへの愛情を感じてなんだか胸がぎゅっとなります。そのへん一度ちゃんと勉強したいなぁ。
モネの晩年は視力が落ちたことも手伝って写実と記憶を頼りに描いたような曖昧さが顕著になっていきますがそれがそのまま思い出の風景のように感じられて僕はとても好きです。

年明けまでやっているようなので時間がある方はぜひ。

今回はこんな感じで。
他何かあるかな…

モネにすごく影響を受けてる僕の画集も売ってるのでよかった買ってください。最近自分をオルタナティブ印象派イラストレーターって名乗ろうかなって思っています。冗談です。重版になったら嬉しいな。

それではまた!

ご支援頂いたお金は新しいグッズの制作や遠方のイベントへの遠征、取材旅行の費用などに充てさせていただきます。あと単純にモチベーションがものすごくあがります。