厳島弁才天 裏話

宝殿楼閣の中央に弁才天女が座している。
そして目の前で繰り広げられている親子のやりとりを見つめていた。

 子どもといっても、立って歩ける元気な子どもが転んでしまった。そして子どもは大泣きしている。保護者が体を起こさせとにかく機嫌がなおるまでヨシヨシをする。「あーよしよし。可哀想。痛いね。可哀想。」

その光景をとなりで眺め、
「ああ、これじゃあしかたないわね。
この先は乳飲み子をやめなければ先には進めぬ。まずは乳飲み子をやめなさい。乳飲み子をやめ自分でたちあがり、そして自分の足で歩きなさい」

「泣いても喚いても何をしても振り回されぬ。駆け引に答えることはなにもない。まずは乳飲み子をやめなさい」

宝のような言葉を置いて帰っていった。

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