多忙の春

あらゆることがめまぐるしく過ぎ去る。
いや、過ぎ去るというと受動のようだ。ちゃんと能動的に過ごしている。
お前がやると決めたんだろ。はいそうです。ただ、こんなに忙しくなるとは思っていなかっただけです。そんなもんこっちは知らねーんだよ!ひぃ〜お助け〜!
という一人問答を毎日繰り広げている。繰り広げている場合ではない。忙しいつってんだろ!

コヒツジズ第8回公演「新生・日本昔話のような話」が無事終演した。
無事終演どころかもう何日経っているのだろうか。
冒頭で言い訳がましく言い訳しましたが、ちょっと多忙だったのです。
ご来場いただいた方々、本当にありがとうございました。
たくさんの方が観に来てくれて本当に嬉しい。コロナ禍の真っ只中の昨年(今もまだ渦中だろうけど)より、体感としてお客さんが少しずつ戻ってきた感じがします。
どこもチケットが芳しくないのは小劇場での最大の問題だとは思うが、足が遠のいていた人たちが観てみようかなと思えてきているのだなと思うと、嬉しい限りだ。
賑わっている客席は本当に良いものだとしみじみ思う。

本作は、昔話の登場人物たちがなんだか昔話のようなそうじゃないような話を繰り広げていく短編集。
昔書いたものと、新作書き下ろしとが混じったもので、ちょっと記してみると、
【昔】
意地悪な登場人物選手権〜スタート前〜
英才教育金太郎
お供達
お友達
泣きそこなった赤鬼
意地悪な登場人物選手権〜ゴール前〜

【新作】
労働雪女
寝てる場合じゃない
日本昔話のような歌
さるかに合戦部

となっている。
昔の作品がなんか昔っぽい〜と散々言ってたのは、まあなんか普通に稚拙な部分も多いからなのだけれど、コンプライアンス的なところでもこの数年でだいぶ変化があったなと思う。
いわゆる笑いどころも、「昔こんなんで笑いとってたん…?」と自分で書いたのにドン引きするということも起こっている。
若い女(当時)がルッキズムやジェンダー部分にやんわりと無頓着だったのも伺えて、なんとも言えない気持ちに。
したがってその辺りの部分はゴリゴリに書き直したりした。

社会派コントだから!と稽古場でしきりに言ったりもしていたが、改めて社会派コントだったと思う。
というかもう、芝居で伝えたいことなんて、社会のことしかない。
シンプルに社会を変えたいと思っている。変えたいから書いている。
その辺りは昔も今もあんまり変わっていないかもしれない。

愛想のない女だが、作品はチャーミングでいたいと常々思う。
今回は前回公演でも出演していただいた内海詩野さんに衣装を担当してもらい、とっても趣のある衣装を作ってくれて、それもチャーミングさに一役買ってくれて良かった。
コヒツジズも客演のみなさまも、人の心に残るチャーミングさで魅了してくれて、とても楽しい公演になったのではないかと思う。
池崎さんの新曲もイカしている。あの人何言っても作ってくれるので何でも言っちゃう。
私は歌詞を書くのが趣味(趣味とは)なので、いつか下崎浩士(下崎浩士とは)でオリジナルアルバムを作りたい。

そして女優陣のキュート&テクニックの高さに、私が謎に鼻高々である。
今回小屋入りして、西出さんと沙季ちゃんに「なにかダメ出しありますか?」と聞かれたので大きな声で「ない!!!」と答えた。
ないんだもん。そのかわいさと巧さを見せつけてやってくれ!と答えたら本当に余す所なく見せてくれたので大満足である。

男性陣もパワーと愛嬌でおもしろ狂気な空間を作ってくれていて、ありがたかった。
各々キャラクターにオリジナリティがあるのに、みんな腰が低くてそこも好印象だった。
色々揉んだ所も多く、難しいことも多かったと思うが、ホンの意図を汲んでくれようと奮闘する姿は美しいなあと思った。

今回は諸々ヒヤッとすることが多く、本当に無事に公演を終えられるということは奇跡のようなことなのだなあと、改めて。
しかし死ぬほど疲れるし死ぬほど嫌になることばかりなのだが、それを差し引いても舞台が好きだなあと心底思うのだった。

観に来てくださったみなさま、本当にありがとうございます。
また次の公演でお会いしましょう!

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