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機内アナウンスが教えてくれた「美しさ」

久々に飛行機に乗った。
席に備え付けられた画面で、映画を見ていると、ときどき一斉に画面が止まり、機内アナウンスが流れる。
だいたいは、気流が荒れる、という必要な注意だったりするのだが、この日は機長の声で何回か「左手にサンゴ礁が見えます」とか「右手に◯◯島が」といった声が響いた。

2時間のうちに3回はあっただろうか。その度に映画は止まる。
アナウンスを聞いて、窓を覗く人もいれば、そのままの人もいる。座っている席と逆側の景色について言及されると、席を立つ人もいる。
一方で、見ているものが強制的に一時停止されるわけで、その停止の理由が「あっちを見るとキレイだよ」なことに少し困惑している人もいる。

僕は2回目のアナウンスで席を立った。自分が身を置く青い空の下に、ちいさな雲がいくつか浮かんでいて、その下にまた違う青の海があって、その中にサンゴ礁が見えた。

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知り合いのCAに聞いてみたところ、機内アナウンスは機長の権限でおこなわれるから、このようなものがあってもいいらしい。
もちろん、美しい景色への注意喚起に幾度も機内アナウンスを使う機長はそうはない、という。ルール違反ではないが、よくあることではないということは、他の乗務員に反感を買うケースもあるだろう。

東京に戻ったら、変わらず、エンターテインメントが強制的にストップされていて、みんなが、汚いものに怯えていた。
今こそ大きな声で「あっちに美しいものがありますよ」と言える人でありたいと思った。

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