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マリオ育ちじゃない自分から観た『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の感想

任天堂の世界的大ヒットゲームである『スーパーマリオ』シリーズを映画化した作品『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。

その人気は凄まじくアメリカでは4週連続1位を記録し、現時点で全世界で10億ドル(日本円にして約1360億)という驚異的な興行収入を突破している。

日本でも公開3日間で19億円の興収を挙げており、100億円の記録も視野に入っているという大ヒットぶりだ。

興行収入だけじゃなく評価もすこぶる良い。
映画レビューサイトfilmarksでは5点満点中4.1という高水準を維持し(2023/5/2時点)、レビューを読んでも皆の興奮が伝わるものばかり。
俄然、鑑賞への期待が高まるものだ。

しかし自分には一つ懸念していることがあった。
それは私自身マリオにそこまで思い入れが無いということ。

絶賛されてる感想を読むと、鑑賞者自身のマリオとの思い出に直結するようなものが多い。だが自分はマリオのゲームをやり込んだことがない。

もちろん、マリオのキャラクターや簡単な設定くらいは知っている。
だが、任天堂のゲーム機をゲームボーイ以外を購入したことはない自分にとってはマリオのゲームに触れること自体あまりなかった。

マリオとの思い出というと、子供の時に友達の家でマリオ64をやったり、大学の部室でマリオカートを先輩とやったりとか、思い返してもそんな断片的な記憶しか浮かんでこない。

ということで、今回の記事は、そんなマリオへの思い入れがない自分が観た『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の感想を挙げていきたい。

特に私のようにマリオに思い入れが無くて、鑑賞するか迷ってる人の参考になればいいと思っている。

2023年製作/94分/G/アメリカ・日本合作

【感想】

結果から言うと「自分の思い出を刺激された」とか「刺さる」とか、そういう体験はなかった。

ただ一本の映画としてとても楽しめた。

まず脚本がすごく丁寧。
94分という短い上映時間の中に沢山のアイデアが詰め込まれているのに、重たさを感じないしテンポが良い。

ところどころ、色んな映画のオマージュを感じる演出があって何度かニヤリとしてしまった。

序盤は「このペースで足りるかな」と勝手に心配していたがそんなこと全然なかった。

キャラクターも良い。
主役のマリオは言わずもがな。怖がりなルイージにお調子者のキノピオ。格好良いピーチとメインキャラクターからサブにいたるまで全員キャラが立ちまくっている。

「マリオブラザーズ」というタイトルだけあって、物語はマリオとルイージの「兄弟愛」に焦点が当てられている。

マリオは囚われてしまったルイージを助けに行くが、その道中でピーチと良い雰囲気になったりドンキーコングとライバル関係になったりなど、それぞれの関係性がしっかり描かれているのも良い。

主人公側だけじゃなく敵(クッパ)側のキャラクターも良い。クッパの歌は笑ったし側近のカメックと一緒にジャムる場面とか洒落てて好き。

個人的にはマリオとドンキーとの憎まれ口を叩き合うライバル関係が良かった。

製作を担当したのは『怪盗グルー』シリーズや『ペット』、『SING シング』などで知られるイルミネーションスタジオ。

個人的にイルミネーションの作品はノリや雰囲気重視でそれが楽しいと感じる反面、雑に感じる部分も多いという印象がある。
なので、今回のマリオはいつにも増して丁寧に作られているなというのが観終わった後の第一印象だった。

細かいところは気にせずノリで押し切る感じるという印象。それが良さでもあるんだろうけど。ちなみに私が一番好きな作品は『ペット』

「マリオ」の生みの親でもあり任天堂株式会社の代表取締役でもある宮本茂氏と、イルミネーションのCEOであるクリス・ダンドリの対談インタビューを読んだが、リモート中心で意見を交わし制作には6年もの歳月を費やしたらしい。

こうした制作話からも「マリオ」という世界的なブランドを特に大切に扱ったんだろうことが伺える。

特に任天堂に関しては過去の実写映画化も踏まえて映画化に慎重だったんだろうな。ちなみにこの実写映画、幼いころにレンタルで観たけど自分は楽しかった。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の批評を語るうえで、海外の批評家からの評判が芳しくないという記事をよく見かけるが、自分は最初から批評家目線を意識して作ってないように思う。

本作を「ファンムービー」と評した批評家のレビューがあったが、それこそ的を得た表現で、製作陣はゲームで遊んでくれてるユーザーを第一に製作しているように感じた。

マリオはそのユーザーの数が膨大だったからこそ多くの人の共感を呼んだのだろう。

世界最大のレビューサイト「Rotten Tomatoes」では批評家と一般で賛否が真っ二つになっている。

ただユーザー第一だからと言って、私のようにゲームに馴染みのない人を置き去りにするようなマニアックな作品になっている訳ではない。

話の作り自体はオードソックスかつシンプル。
マリオを全く知らない人でも理解できるようになっている。内容も小さな子供からお年寄りまで、年齢層問わず多くの人が楽しめることだろう。

本作を「思想が無いからこそ楽しい」という感想も見かけたが、自分は少し違うと思う。マリオ一族が移民でブルーカラーという背景など、社会性はあるがそういうメッセージ性を前面に押し出していないだけ。

何よりも自分が劇場で観た回の場内の反応が素晴らしかったので、その体験を述べておきたい。

自分が観たのはIMAXの午前の回。全席が埋まるという盛況ぶりで小さいお子様連れの親子、友達同士、海外のファミリー層など客層も幅広かった。

満席な上に小さい子が多いから、当然上映中もクスクス声とか小さな喋り声は聞こえてくるが、それが全くノイズにならない。むしろ楽しんでる様子が伝わりこちらまで嬉しくなる。

映画館内の騒音問題はよく取り沙汰されるが、何を騒音と思うかなんだなということにも気づかされた。

きっと、ここで映画を観た体験はこの子たちが大きくなった時の思い出になるんだろうな、そうなって欲しい。

観終わった後の周囲から「面白かった!」、「お母さん、もう一回観ていい?」など感想を直に聞けば、もうそれは映画として大成功だったんだろうなと。自分自身とても良い映画体験をさせてもらった。

※シネマトゥデイによる宮本茂氏と、イルミネーションのCEOであるクリス・ダンドリの対談インタビューの記事。kこt

こちらはSCREEN RANTによる海外の対談記事。

※劇場で頂いた入場者特典。ミニクリアファイルとステッカーと冊子。冊子はキャラクター紹介されてて子供が読んでも楽しめそう!

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