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【より面白く!より激しく!】映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』感想

『ベイビーわるきゅーれ』からあらゆる面でパワーアップした続編。
今作も2人のゆるい日常描写と激しいアクションが描かれる。

前作と違うのは、今作は丞威、濱田龍臣演じる兄弟の物語でもあるという点。

物語はこの兄弟が「殺し」をする場面から始まる。
2人はアルバイトで殺し屋をしているが、正社員じゃないため待遇が悪く貧しい日々を過ごしている。

そんな中、彼らのマネージャーをしている赤木から「正規の殺し屋を殺せば空きのポストに昇格できる」という噂を聞いて、まひろたちを殺すことを決意する…という風に物語が始まっていく。

非正規雇用やサブスク滞納など、社会派とまでは言えなくても社会の"あるある"問題をテーマに盛り込んでいるのは前作同様。今作ではこの「社会的弱者」な立場の兄弟の話に焦点があてられる。

ちさととまひろが表なら、丞威と濱田龍臣演じる兄弟が裏として2組の殺し屋の人生が交錯する。

こんな出会い方をしてなければ仲良くなれたであろう2組

女 vs 男
プロ vs アマチュア
百合 vs ブロマンス

色んな点で対称的な2組だが、実は似た者同士。
「殺し」という彼らにしか分からない方法で通じ合っていく。
その姿は刹那的、若き2組の邂逅は青春を感じさせる。

見どころは、やはりアクション。
続編製作時のインタビューで阪元監督も語っていたが、今作はアクションのバリエーションが豊富。

序盤の銀行強盗での電話機や丸椅子を使ったアクションや、着ぐるみでの喧嘩など、色んなアイデアが詰め込まれてるから観ていて楽しい。

着ぐるみでのバトルの時の顔を出し方ってガンダムのオマージュかな?

さらに今回はコメディ要素も強め。

前作でちょいキャラだった死体処理係の田坂の活躍や、ちさとの賭け将棋の下り、着ぐるみ仕事の雇い主など「コントかよ!」と思うような場面が増えている。

鑑賞必須ではないが『花束みたいな恋をした』をイジり倒しているので、観ておいた方が楽しめるだろう。

前作ではまひろとちさとが、社会に適応するまでの苦労が描かれているが、今作にそういう描写は見当たらない

パンフレットや映画サイトでの監督インタビューだと、今作は多くの人が見やすいように敢えてコメディ路線に振り切ったらしいが、正直ここは好みかもしれない。

確かにコメディパートは面白いけど、作品の現実味が薄れてるようにも感じてしまった。前作くらいのバランス感覚の方が自分は好き。
だが、それで作品の面白さが損なわれるという訳ではない。

水石亜飛夢さん演じる死体処理係の田坂。今作では大活躍でしたね。

ゆるい日常から突然死と隣り合わせの世界に引き込まれる展開もこのシリーズの魅力。
伊澤さんのアクションは見慣れたこともあって前作ほどの衝撃は受けなかった。それでもアクションのキレは相変わらず素晴らしく目を引きつけられる。

特に終盤の伊澤さん演じるまひろと丞威さん演じるゆうりとのタイマンバトルが最高に熱い。丞威さんはアクション俳優として香港映画にも出演しているだけあって動きがキレキレ。

そして何より本作は終わらせ方が格好良い…。
ラストバトルのエモーショナルな雰囲気からのプロとしてケジメ。
そこからの暗転とエンドロール…ここ最近観た映画の中でもトップクラスの格好良さだった。この映画がより好きになった。

不満点もあるけど、観終わった後の多幸感は『ベイビーわるきゅーれ』だからこそ味わえるものだと思う。

「粛清人」など、世界観の拡がりを感じさせるワードも出てたし、国岡同様このままシリーズ化していって欲しい。

2023年製作/101分/G/日本

※ちなみに前作は鑑賞必須という程ではないが(設定ぐらいを知っていれば話には追いてけぼりになるということはない)、前作の脇役キャラにより焦点が当てられているので、未見の方は前作を観ておくことをお薦めしたい。

※ナタリー様による阪元監督のインタビュー記事。
この記事を読むと、客層の間口を広めるために敢えてこうした作風にしたことが伺える。

確かに多くの人が見やすい作品になっているので、是非もっと多くの人に観て欲しいな…(現時点でnoteでも感想を挙げてる人が少ない)


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