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タクシー映画って良いよね【映画5選紹介】

突然ですが「タクシー映画」って良くないですか?

そう思ったキッカケは『パリ・タクシー』という映画を観た時のこと。
パリを舞台にタクシー運転手とマダムの交流を描いた話だったのだけど、これがしみじみと良い作品だった。

内容を思い返しているうちに「そういえばタクシーが舞台の映画って面白い作品が多いな」という考えに至ったという訳です。

自分が観てきた「タクシー映画」はそのほとんとが面白かった。
※ちなみにここで言う「タクシー映画」はタクシー車内が舞台となっている映画のことと解釈して下さい。

「何でタクシーが舞台の作品は面白いんだろう?」と考えてみた。

・運転手と乗客という本来出会うことのない2人が出会う

・一期一会の出会いが互いの人生に影響を与える。

・タクシーという密室劇でのやり取りが面白い

など、タクシーという舞台が既にドラマチックというか運命的なシチュエーションになっているからなのかもしれない。

映画のジャンルでいうと「ロードムービー」に近いと思う

この記事では『パリタクシー』の感想を挙げようとしていたが、内容を変えて自分がこれまで観てきたタクシーが題材の映画でお薦めの作品を5本紹介します。

タクシー映画を観たことがある人もまだ観たことがない人も是非読んでってください。

タクシーが題材になってる映画だとこういう作品もあるけど今回は「運転手と乗客の交流」に焦点を当ててるため入れてない。

【パリタクシー】

2022年製作/91分/G/フランス

舞台はフランス。
タクシー運転手のシャルルは日々の生活に疲れ切っていた。そんなある日、彼はマドレーヌというマダムをパリの反対側まで送り届けることになる。最初こそ不愛想な態度をとるシャルルだったが、マドレーヌとの交流はお互いの人生に影響を与え始め…というあらすじ。

『パリタクシー』というタイトルから、てっきり洒落た雰囲気の作品かと思っていたので予想外に社会派な内容に驚いた。

劇中で語られるのはマドレーヌの波乱万丈に満ちた過去。
そこから伝わるのは理不尽な「男性優位な社会」への怒りと苦しみ。
遠い国であるフランスと日本、似てる部分があることに驚いたし、同じ男としては見につまされる話でもあった。

ただメッセージ性こそ強いが、終わり方は穏やかで優しい。

監督のクリスチャン・カリオンは「映画はメッセージそのものではなく、あくまでも感動するために存在するもの」と語る。その言葉通り、本作に込められているのは怒りだけじゃなく未来を見据えた優しさと希望だ。

何より主演の2人の演技が素晴らしかった。
シャルルを演じたダニー・ブーンの表情が魅力的(顔を見ただけで人生に疲れてるのがすぐわかるの凄い)。91分という上映時間もあってか気付いたら映画が終わってたくらい自然に引き込まれていた。

【ナイトオンザプラネット】

1991年製作/129分/アメリカ

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ、5つの都市を舞台に同時刻に走るタクシー内で起きる出来事がオムニバスにまとめた作品。

監督は『コーヒー&シガレッツ』、『パターソン』など映画好きに限らずファンが多いジム・ジャームッシュ。

個人的な真夜中にテレビで流していたくなる映画No1がこの作品。
本作に限らずジャームッシュの作品って雰囲気が抜群に良い。

エピソードも笑える話だったり、強烈なブッラクユーモアだったり多種多様。自分のお気に入りのエピソードが見つかるんじゃないだろうか。

各都市の風景も良い。
映し出される街並みは観光パンフレットに載ってるような美しさではなく生活感が溢れている。だからこそ、そこに住む人々の存在をより身近に感じられる。

ウィノナ・ライダー、ジーナ・ローランズ、ロベルト・ベニーニなど豪華キャストが出演しているという点でも楽める。特にこの作品のウィノナ・ライダーはファッション含めて最高に可愛い。

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【人生タクシー】

2015年製作/82分/G/イラン

『オフサイド・ガールズ』、『これは映画ではない』等で知られるジャファル・パナヒ監督がタクシー運転手に扮し、乗客を通じてイランのテヘランで暮らす人々の生活を映した作品。

乗客との掛け合いが愉快で人情噺のような落語のような雰囲気に近いものを感じた。一見するとドキュメンタリーだと思うが、実は綿密な脚本に基づいて撮られている(自分も鑑賞中はドキュメンタリーだと思っていた)。

監督と乗客とのやり取りも面白いが市井の人々を通じてイラン社会の現状(貧富の差だったり、表現の自由だったり)も見えてくる。

「重たい話ほど軽く」という言葉があるが、この映画のメッセージ性のバランスも絶妙で観た人の心に引っかかると思う。

ジャファル・パナヒは反体制的な作風からイラン国内にて映画製作を禁止されている監督でもある。その年のベルリン映画祭で最高の金獅子賞を撮った作品。自分の2015年鑑賞のベスト映画でもあるので是非観て欲しい。

【コラテラル】

2004年製作/120分/R15+/アメリカ

舞台はロサンゼルス。
平凡なタクシー運転手のマックスはある夜、ヴィンセントと名乗るビジネス風の客から一晩で5か所を回るためにマックスを専属ドライバーで雇いたいと言われる。

高額な報酬に引かれて専属ドライバーを引き受けたマックスだったが、ヴィンセントは実はプロの殺し屋だった…というあらすじ。

3本目に紹介する作品はこれまでとは少し毛色の異なる作品。
監督は『ヒート』、『インサイダー』で知られる名匠マイケルマン。

トム・クルーズがこれまでの爽やかな役柄と異なり、銀髪に無精ひげの殺し屋という新しい役柄に挑戦したことでも注目された作品。

マイケルマン作品はいつも都会が艶やかに撮られているのが素晴らしいが、今作でも夜のロサンゼルスの街が艶やかに撮られている。ジャジーな音楽も雰囲気にマッチしている。

マイケルマンといえば「男と男の闘いの物語」を撮る監督だが、今作でもタクシー運転手と殺し屋という2人の男の運命が交錯する瞬間が描かれる。
ジェイミー・フォックス演じるマックスの変化にも注目して観て欲しい。

(Amazon Prime他、U-NEXT、Netflix等で配信中)

【タクシー運転手 約束は海を越えて】

2017年製作/137分/G/韓国

韓国の歴史的事件を題材にドイツ人記者とタクシー運転手の実話をベースにした物語。
パッケージだけ見るとポップな作風に思えるけど(実際に序盤はそう)、物語が進むにつれ話はどんどんシリアス&ハードになっていく。

題材となっている「光州事件」、自分はこの映画で知ったけど(詳しくは映画を観るか調べてみて欲しい)本当に恐ろしい事件だ。そして今現在世界でも同じようなことが行われてることにも戦慄させられる。

物語としても面白いが歴史を知るという点でも大きい意味を持つ作品。
韓国映画は自国の歴史を題材にした映画が多いのだけど、その中でもこれはt特に素晴らしいし好きな作品。

タクシー運転手のマンソプを演じたソン・ガンホはさすがの存在感。
マンソプとドイツ人記者のピーター、2人の国境を越えた絆に心が熱くなる。

(Amazon Prime他、U-NEXT、hulu等で配信中)

ということでいかがだったでしょう。
ここで紹介した「タクシー映画」、作風はどれも異なるけど面白いので、気になった作品がある人は是非観てみてね!

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