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【日本よ、これがフランスの戦隊ヒーローだ】映画『タバコは咳の原因になる』感想

突然ですが、皆さんは配信サービスに加入してますか?
Netflix、Amazonプライム、Disney+…今や世の中は様々な配信サービスが溢れている。この記事を読んでる方も何かしらの配信サービスに加入しているのではないでしょうか。

自分はこれまで配信サービスには一つも入っていませんでした。
理由は色々ありますが、家で映画や番組を観る習慣がないというのが一番の理由だと思います。

そんな自分が初めて入った配信サービスが『JAIHO』
映画祭などでしか上映されていない作品なども取り扱ってくれてるので、まさに映画好き(特にミニシアター系)に特化した映画サービスといえます(PR記事みたいな文面になってますが、PRや紹介記事ではないです)。

加入した理由は、JAIHOで配信している映画『タバコは咳の原因になる』を観たかったから。

ということで、前置きが長くなってしまったけど、今回の記事では『タバコは咳の原因になる』の内容を感想を交えて紹介していきます。

2022年製作/77分/フランス

映画はスーツ姿の男女が謎の怪物と闘っている場面から始まる。
彼らは『タバコ戦隊』という名前のヒーローらしい。
会話の内容から日々、世界の危機を守るために活躍していることが伺える。

彼らの見た目や戦ってる場所(いわゆる採掘場みたいな場所)、などからも日本の戦隊ヒーローからインスパイアされたのは明らか。
まさにフランス産の戦隊ヒーローと呼べるだろう。

『タバコ戦隊』の必殺技は相手を癌にさせる。技を出すときは各々のメンバーがタバコの成分を叫ぶのだ。

ただ、ここで皆さんに一つ謝らなければいけない&注意することが。

タイトルに『フランスの戦隊ヒーローだ』と挙げましたが、本作は一般的なヒーロー映画ではありません。

大枠で見たら本作も「ヒーロー映画」だとは思うんですが、MARVELやDC、日本の特撮ヒーローなどの「スーパーヒーロー作品」のような内容を期待すると大きな肩透かしを喰らうと思います。

じゃあ、どんな内容なのか?
ネタバレにならない程度に内容を語っていきます。

ちなみにタイトルはこの有名キャッチコピーをもじりました。

怪人を無事倒した彼ら。その直後、司令官から「メンバー間の信頼度が足りないから合宿して親睦を深めろ」とのお達しを受けて、山奥で一緒に過ごすことになる。

そこで唐突に始まる「怪談大会」。本作のメインはむしろここ。
映画のほとんどは、登場人物たちによって語られる怪談噺の再現なのだ。

あらすじ聞いてても、この時点で「?」になりませんか。でも、本作はそんな意味不明なシュール描写に溢れている。涎を垂らしたネズミの司令官に突然、自殺するアシスタントロボとキャラクターたちもどうかしてる。

ちなみに語られる怪談も切り口は斬新というかシュールで一般的なホラー系とも違う。

この場面からも本作のシュールな雰囲気が伝わるかと。なぜ血塗れの人がいるのかは映画を観てのお楽しみ。

こんな変テコな映画を作ったのはフランス出身の鬼才カンタン・デュピュー。

これまでにもテレパシーで人を殺していく殺人タイヤを描いた映画『ラバー』や鹿革ジャケットを異常に愛する殺人鬼を描いた映画『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』など、奇妙過ぎる映画を世に輩出してきた監督だ。

自分は去年の秋に『地下室のヘンな穴』を鑑賞したのだが、予測のつかないあらすじに翻弄されっぱなしだった。一部でカルト的人気を誇るというのも間違いないだろう。

そんな監督が日本の特撮ヒーローを題材にした映画を撮ったとなったら絶対観たい。日本では映画祭で上映されただけで、劇場で一般公開しなかったのに驚いたが観て納得。これは尖り過ぎる…!

突っ込みはもはや野暮。
「笑える」とは違うシュールでぶっ飛んだ可笑しさ。
唖然とさせられるんだけど、何故か癖になる不思議な味わいがある。

個人的に松本人志に観てもらいたいと思う。
松本人志のコントに通じる世界観があると思うんだよなぁ(ただ、ボロクソに言いそうな気もする)

ということで、気軽にお薦めはできないけど、この記事を読んでるくらい興味を持った人ならハマるかも。『タバコは咳の原因になる』チェックしてみては。

※映画配信サービス『JAIHO』
月額770円なのもありがたい。
日本で劇場公開してない作品を取り扱ってくれるので、映画好きの人は要チェック。


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