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【ナメて掛かると痛い目みるよ】映画『処刑山 デッド・スノウ』感想

SNSをしてると、たまに自分の知らない作品で盛り上がってる場面を見かける。この作品の存在を知ったのもTwitterだった。何でも絶版になっていたソフトの再発売が決まったらしく、ファンが喜んでいるツイートをいくつも流れてきたのだ

その喜び方が本当嬉しそうで「こんなに熱狂的なファンがついてるのは、きっと面白い作品に違いない」と気になったのが鑑賞のキッカケだった。

映画『処刑山 デッド・スノウ』は2009年に製作されたノルウェーの映画だ。監督は同じくノルウェー出身のトミー・ウィルコア

本作を撮った後に、ジェレミー・レナー主演の『ヘンゼル&グレーテル』でハリウッドデビューを果たし、ノオミ・パラス主演の『セブン・シスターズ』を撮るなど、絶賛活躍中の監督である。

本作はトミー・ウィルコア監督が世界的に注目を浴び、ハリウッドデビューをすることになった出世作でもある。

2007年製作/91分/ノルウェー

映画はノルウェーの雪山に7人の医学生が訪れるところから始まる。卒業を前の休暇という事で、ペンションに止まった彼らは雪遊びやお酒を飲んだりと思い思いの休みを満喫する。

そんな学生たちの前に怪しいおっさんが現れる。彼は地元の人間で、学生たちが訪れている雪山はかつてナチスが暴虐の限りを尽くした後に全滅した土地だと語る。おっさんの話をうさん臭く思う学生たちだったが、山小屋の床下にナチスが隠したと思われる財宝を発見する…。

このあらすじから想像できる通り、「旅先で若者が酷い目に遭う」というホラー映画の定型の物語。低予算ということもあってゾンビの見た目などはチープだし「処刑山」という邦題ジャケットからも安っぽさはある。恐らく話題になってなければ筆者も気に留めない作品だろう。

だが、そんな風に油断して観ると脚本や演出が意外なほどしっかりしているので驚かされる。序盤の楽しい雰囲気がどんどん不穏になっていくという空気作りも上手いし恐怖演出も良い。トイレの板の隙間から外を覗く場面はいつ現れるのかドキドキしたし、ジャンプスケアにもしっかり驚かされた。

特に感動したのはキャラクター1人1人の見せ場がしっかりあること。こういうタイプのホラー映画だと、気に入ったキャラクターがすぐ死んでしまうのが勿体ないと思っていたのだが、本作は全員が魅力的。

理不尽な目に遭いながらも全員が生き残るために死力を尽くす、この姿が格好良い。鑑賞して少し経つが、今も1人1人の活躍を思い出せるのも自分にしては珍しい(この手のホラーとかは観終わってしばらく経つと「アイツどうだっけ?」みたいになることが多いから)

ホラー映画のパロディから胸が熱くなる場面と、観てて楽しいし胸も熱くなる場面もある。トミー・ウィルコア監督が本作で注目を浴びたというのも納得。

この『海に行けばよかった…』という台詞、邦題オリジナルのコピーかと思いきやちゃんと台詞がるのに地味に感動。名台詞だと思う。

この『処刑山』だが、2014年には続編にあたる『処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ』も製作されており、そちらの方が面白いという噂なのでそちらも早く鑑賞したいところだ。

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