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【最高しかない】映画『みんなのヴァカンス』感想【この多幸感よ】

南フランスの避暑地を舞台にひと夏のヴァカンスを謳歌する若者たちの姿を描いた映画『みんなのヴァカンス』。

これ滅茶苦茶良かった…。多分、今年1,2を争うレベルで好きな作品。
こういう出会いがあるから映画を観るんだと思わせてくれる。

愛知では9月17日から名古屋シネマテークで上映されており、9月29日の12時5分の回で鑑賞。サービスデイということもあってお客さんは30人近くと8~9割ほどの入りだった。

ギヨーム・ブラック監督の作品はこれまで何作か観てきたが、ここまで刺さったのは初めて。観ながら「今、最高の作品を観てる!!」と多幸感に浸りまくっていた。

何でここまでハマったのか、その魅力を感想ともに少しでも伝えていこうと思う。

ネタバレらしきネタバレもないけど、気になる人は鑑賞してから読んで頂くと嬉しいです。鑑賞を迷ってる人がいたら素晴らしい作品なので観に行って下さい。

2020年製作/100分/フランス

【感想】

本作は「ヴァカンス映画」というジャンルに括られる。ヴァカンスという言葉だけ聞くと馴染みが無いけど要は日本でいうところの「夏休み映画」。

夏休みを舞台にした作品のほとんどがそうであるように、この映画も登場人物たちの「ひと夏の体験」が描かれている。だから凄く身近だし物語にも入り込みやすい。

上『海辺のポーリーヌ』下『オルエットの方へ』。どちらも大好きなヴァカンス映画

この映画にハマった理由はいくつかあるけど、共感したり自分の思い出を刺激される場面が多かったというのが1番の理由だと思う。

避暑地に向かう下りから旅行先でのやり取りとか学生時代を思い出して懐かしくなったし、劇中の台詞を借りるなら自分も「負け組」側の人間だから彼らの行動にも共感したんだよね。

特にサプライズを喜ぶだろうと思ってた相手にブチギレられるのは、実際に経験があったから「うわー」って懐かし恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまった。その後、しつこく連絡して、またブチぎれられる場面も自分と重ねて「うわぁ…」ってなった。

ギヨーム・ブラック監督の作品って気持ちが空回りする男性が描かれることが多いんだけど、今作は特にピンポイントで刺さった。

フェリックスとアルマの温度差も恋愛あるあるで切ない

この映画、出てくる人に悪い人がいない点も好き。

正直、フェリックス含め登場人物たちに「何だコイツ」と思う場面はあるけど(プール監視員のマルタとか)、そういういけ好かない面もその人の一面でしかない。最終的に全員、根は良いヤツなんだなと思わせてくれる。

というか、意地悪な人はいない。全員、自分の生き方に誠実だし善人であろうとする。良い意味で「優しい世界はここにあったのか…」と思ったよ。

自分はブロマンスが好きなので、シェリフとエドゥアールが旅行を通じて仲良くなっていく描写にもニヤニヤしてしまった。ああいう描写本当好き。印象的だったのは夕食時の2人とフェリックスの距離感。

友達を友達に紹介したら、その2人が凄く仲良くなって疎外感を感じるってあるあるだと思うけどあの場面はまさにそれだと思う(フェリックスはアルマのことで頭がいっぱいだったというのもあると思うけど)。テント内の2人の会話も可笑しくて最高だった。

この3人でまた続編作って欲しい。

険悪だったフェリックスとエドゥアールが徐々に距離を縮めていく場面も良かった(仲良くなりきらないところも良い)。この3人組、少し抜けてる感じが愛おしいしそれぞれに共感する部分があるから映画が終わる頃には大好きになってた。映画に悪い人が出ないと述べたけど、主人公たちだけでなくこの映画に出てくる人全員魅力的。

映像の素晴らしさも好きな理由の一つ。
クスッと笑えて優しい雰囲気に柔らくて美しい映像が見事にマッチしてる。草木の隙間から差し込む光が美しし過ぎてそのままスクリーンの中に入り込みたくなるほど。

これは撮り方が素晴らしいというのはもちろん、舞台となっている避暑地のディーという土地の素晴らしさもあってのことなんだろう。

この作品を観たクリエイターの方が「こういう作品を作るのが一番難しい」と言っていたが確かにそう思う。

例えば日本で避暑地を舞台に同じような作品を撮ってもこの印象画のような映像にはならないと思う。

やはりその土地の元々の気候や風土ってあるんだよね。日本にしか出せない魅力というのも当然あるだろうけど、ヨーロッパ映画のこうした土地の良さは正直羨ましい。

ギヨーム・ブラックって女性を魅力的に撮る監督だよね。

今年は『トップガンマーヴェリック』が素晴らしい作品で心を掴まれたのだけど、この作品も負けず劣らず好き。

『トップガン』が面白さで夢中にさせてくれる作品なら『みんなのヴァカンス』は好きのツボを押されまくるような映画で、面白さのベクトルは違うけど、どちらも素晴らしい。自分の今年の1、2位は現時点でこの2作品だな。

ひとつ失敗したと思ったのは、もっと早く観に行けば良かったということ。初週は混むと思って控えたのと、スケジュール的にも合わなかったので遅くなったけど、早めに行ってたらお代わりしに行ってたな。そこだけが残念。

手元に置いておきたい映画なので、とりあえずソフトは買おうぞ。あー本当好き。良い映画に出会えて幸せだ。

パンフレットと名古屋シネマテークの案内。パンフレットは装飾含めこだわりを感じる内容なので気に入った人は是非買って欲しい。


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