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【諍いに大きいも小さいもない】映画『ソルフェリーノの戦い』感想

2012年、フランスのソルフェリーノ通りでは国の未来を左右する大統領選挙が行われていた。その裏ではある元夫婦の争いが勃発していた。
熱狂の選挙と交互に描かれる夫婦の争いを描いた映画『ソルフェリーノの戦い』

監督は2月23日に公開予定の『落下の解剖学』ジュスティーヌ・トリエ
『落下の解剖学』は2023年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門でパルムドールを受賞しゴールデングローブ賞でも脚本賞&外国語映画賞を受賞するなど話題の作品である。

ちょうどJAIHOで配信されていたので久し振りに観た。
ただ、この作品を観るのは初めてではない(調べたら4年前にユーロスペースで観ていた)。実は最初忘れていたが下のポスター画像を観て思い出した。このジャケ写、印象的なんだよね。

2013年製作/98分/フランス

2012年、フランスの命運を決める国政選挙の日。世間が選挙で盛り上がる裏ではある元夫婦の争いも勃発していた…

前回観た時も思ったがやはり面白い。けたたましく泣く子供の声から一気に物語に引き込まれる。
全体的にドキュメンタリーチックでその場に居合わせたような感覚を味わえる。

この映画、見どころは実際の国政選挙の様子をゲリラ撮影した映像が使用しているところ。だから臨場感が素晴らしい(下の予告編だとその一部も見れるので興味ある方はどうぞ)

この人々の狂騒っぷりも面白いが、その裏で行われる元夫婦の争いも面白い。この映画観ると、日本とフランスの文化の違いを改めて思い知らされる。

フランス人の政治に関する高さもそうだし(これはフランスに限ったことではないが)、気持ちをこれだけぶつけ合う姿も日本ではなかなか拝めないと思う…

選挙の結果が近づくにつれ高まっていく熱気とともに夫婦の諍いもヒートアップしていく。国を分けるほどの争いと夫婦の争い。スケールの違いはあれど諍いの本質は同じなのかもしれない。

手持ちカメラによる映像が混乱っぷりを表してくれる。
最初は妻側に立って観ていたが見続けていくと「この2人、どっちも似た者同士なのかもな」という気持ちになっていった。
「争いは同じレベルの者同士でしかおこらない」これもよく聞く言葉だがまにその通りなのかも。

後、元夫役を演じたバンサン・マケーニュが良い。行動は激しいんだけどどこか愛嬌があって刺々しさが薄れている。

映画のほとんどで喧騒が続くので、深夜の争いが止んだ後の穏やかな場面(友人がレコードで音楽掛けるところ)がとても心地よかった。

ということで『ソルフェリーノの戦い』。JAIHOで配信中なので興味ある方はどうぞ。『落下の解剖学』もめちゃくちゃ楽しみ!


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