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【エッセイ】自転車日本一周記6

遠野市は聖地

さて、アニメや漫画。物語の舞台となった場所。そこに行くことを聖地巡礼と言う。なんかしょか訪れた。

たとえばここ。

岩船駅前

これについては分かる人だけわかればいい。聖地なんてそんなものだろう?

そして岩手県は遠野市。
ここは個人的に聖地と呼べる場所だった。しかし、本当に個人的な話だ。

今で言う『推して』いたキャラクターの出身地。と言うだけだ。物語で描写がされていた訳でも、深く語られているわけでもない。ただ、そんなキャラクターが人格形成をされた場所はどんな場所なのかと気になっただけ(地元を思い浮かべるシーンが多かったのは確かだ)

それにしても岩手県を舞台にした物語はたくさんある。なによりも遠野物語が生まれた場所だ。特別な文化が育っているのだと今でも感じている。

そんな遠野市に入る前。海岸線を走っていた。三陸高田とか気仙沼とかあの辺りだ。

4月の雪を浴びた。

想定外。甘かったね。上に羽織るものは一着だけ。それも薄いやつ。風は防げども水分は染み込む。寒かったらしい。当時のSNSでそう呟いているのを確認できた。

たしか手袋をこの当たりで買ったんじゃないかな。
でも、本降りじゃなかった。走ることに影響はなかったし、実際遠野市まで問題なくたどり着くことが出来た。でも、次の日は本降りだった。

しんしんと雪が降る中、進むことは諦めて遠野市を色々見て回った。
博物館や図書館、古本屋まで。色々見て回った。遠野物語関連の資料は面白かった。
ひとりでその街を一日滞在したのはこのときだけなんじゃないかな。

楽しかったし、いい街だなと思った。あちこちに「かっぱ」がいるのも面白かった。

次の日は雪は降っておらず4月の雪は積もらなかった。

そのまま北上。盛岡市に向かう。

この途中で初のトラブルが発生する。

それがスポークが折れる。と言う自転車の故障だ。

ホイールの形を円に保つための何本も放射状に伸びているアレだ。
後輪のそれが一本折れた。

するとどうなるかと言うとホイールが歪む。ぐわんぐわんと走るごとに気持ちが悪い振動となって伝わってくる。加えて走り続けるとドンドンとダメージは大きくなって次のスポークの折れへとつながる。

盛岡市に入ってすぐに自転車屋さんを捜し回った。何件かに断られたのは、スポーツ自転車といわゆるママチャリのスポークの規格が違うから。それに、ちょっと怪しく見えたのだろうとちょっとだけ思う。こんなとき日本一周の看板を掲げていると割と簡単にやってくれるのかもしれない(それが良いことばかりだとは思わないけどね)

三件目。ようやく、直してくれることになったけれど。保証は出来ないと言われた。実際にこのスポーク折れ問題は日本一周中に多く出くわすことになるし、いろんな自転車屋さんを見るきっかけにもなった。

出発から二週間あたり。慣れてきたのと同時に自転車のトラブルは増え(パンクはよくしていたよ)、実は脚がずっと痛みを訴えていた頃でもある。
毎日大体100キロを目安に走っていた。運動はしていたほうだけれど、ここまで酷使したことはなかったから当然だ。

これらも、気が付けば忘れるくらいになっていくのだ。

そして、岩手から青森に抜け北海道に抜けるはずだった。だから八戸を目指していたはずなのに、ここでどうしてだか、秋田県に突入し弘前へ直接たどりつくことになるのだけれど。
まっ。それだけ。特に面白いことは起きなかった。道を間違えただけさ。本当にそれだけのこと。日本一周からしたら些細なことだろ?

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