93日目(湿度)

会社の後輩に子供が生まれた。本当におめでとう。
これからやってくる苦労も倦怠も懊悩も、そして余りある歓喜も
全部「知らない事」だし「両親に体感させてきた事」でもある。
知らないことがまだある人生は、それはそれで幸せなことなのだろう。

手を伸ばすと掴める幸せと、
どうあがいても偶然や奇跡でないと届かない幸せがあって、
今この手の中にあるものはどちらなんだろう。
たまにそんなことを考える。
指の隙間からするすると零れ落ちていく砂のような、粒子みたいな幸せは
少しの湿り気がないとくっついてこないのだ。
そのために「うれし涙」というものがあるんじゃないかと、
割と本気でそう思う。

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