見出し画像

閉鎖された場所という恐怖

どうも大関です。@nobooknolifeso

『ボラード病 (文春文庫) / 吉村 萬壱』を読みました。この小説はホラーではないけれど、恐ろしさを感じた。

生れ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結び合い、「海塚讃歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らすことができる故郷―。密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。

戦争中の隣組のような監視しあう海塚市の人たち。
被災から復興した海塚市の他にどこにも行けない住民は、海塚市に留まることしかできない。
そこで暮らすしかない住民たちが選んだのは故郷を讃えること。
見たくないものは見えないことにされる。

中にいたら正常に見えても、外から見たら異常に見えることはよくあることです。
その中で正常さを保つには異常であり続けなければいけないのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?